自閉症(自閉スペクトラム症:ASD)の人たちは、〝物事を極端に捉える・考える″ことがあります。
例えば、勝負事では絶対に勝たないとダメ!話し合いの中では自分が納得できないと猛反発する!など曖昧さを許容できないことがあります。
このような極端な思考は、〝白黒思考″あるいは〝0‐100思考″などと言われています。
〝白黒思考(0‐100思考)″は、自閉症の人に多く見られる思考であり、こうした特徴のある自閉症児・者と関わる人を含めて当の本人もまた生きづらさを抱えている場合があります。
それでは、自閉症の白黒思考にはどのような対応方法が有効だと考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、自閉症の白黒思考への対応について、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、3つのステップを通して理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「前田智行(2023)子どもの発達障害と二次障害の予防のコツがわかる本.ソシム.」です。
自閉症の白黒思考への対応について
自閉症の〝白黒思考(0‐100思考)″への支援について、以下の点が必要だと考えられています(以下、著書引用)。
①0‐100思考を認める、②ストレスを下げる環境調整を行う、③価値観を増やすという3つのステップに分かれます。
それでは、①~③のステップについて具体的に見ていきます。
①0‐100思考を認める
白黒思考の特徴は場面によっては強みになることもあります。
例えば、勝負事の世界では常に本気になれる、全力を出すことができます。
このように、まずは白黒思考を全てネガティブに捉えずに、まずは、その人の思考をあるがままに受け止めることが大切だと考えられています。
著者も療育現場で白黒思考の強い子に対して、すべてがネガティブに働くものではないと感じています。
場合によっては、探求心や負けず嫌いな精神を活動の中で遺憾なく発揮することもあります。
そのため、まずはこうした思考を受け止めながら次の対応策に繋いでいくことが重要だと思います。
②ストレスを下げる環境調整を行う
勝ち負け・テストなど結果の出る活動に対しては、ストレスを下げる環境調整もまた必要だと考えられています。
著者は療育現場で、勝ち負けのあるゲームに対しては、加算方式のルールを活用する場合があります。
つまり、勝ったか・負けたか、ではなく、負けよりも勝の数が多ければ勝利!といったルールを設定したり、○○ポイントを獲得すれば勝利!100点が限界ではなく、120点、200点、1000点などどんどん得点が増えることも可能にするなど、加算方式のルールを採用することもあります。
また、子ども同士であれば、お互い負けず嫌いな子ども同士が競争するとトラブルになる可能性があるため、勝ち負けをある程度コントロールできるように、大人VS子ども、というチームを編成する場合も多くあります。
子ども同士がチームになることで、仲間意識も増えますし、仮に子どもチームが負けても、怒りの矛先は大人になるため対応・調整ができる所が多くあると感じています。
③価値観を増やす
著書には②の環境調整を行い、ある程度の柔軟性がついてきた場合に、価値観を増やす取り組みが必要だと記載されています。
価値観を増やすための取り組みとして著書で紹介されている方法には、〝モデリング″と〝数値化″があります。
著者の療育現場でも〝モデリング″と〝数値化″を活用することがあります。
〝モデリング″で著者が有効だと考えている方法は、仲の良い子ども、あるいは尊敬する先輩他児の振る舞いを見せて、他の価値観もあるといったことを学んでもらう機会を作るというものです。
他児に対する好感度が高い方が〝モデリング″の成功率は高いと感じています。
〝数値化″もまた、柔軟性な思考を高める上で重要な関わり方だと思います。
方法としては、何か自分の振る舞いでうまくいかないことがあった際に、その行動を著者と振り返ったとしましょう。その際に、点数を高めにつけて評価します。そうすると、もっと改善しようといった動機づけが働くことがあります。
このように曖昧さを〝数値化″することも有効であると感じています。
以上、【自閉症の白黒思考への対応】3つのステップを通して考えるについて見てきました。
繰り返しになりますが、3つのステップのうち③への対応は①と②がある程度うまく進んだ後でないと取り組むことが難しいと著書には記載があります(①と②が前提対応です)。
極端な思考から多様な価値観を認識していけるようにするためには、対応方法にもいくつかの段階があるということです。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も自閉症児・者に見られる特有の思考様式について理解を深めていきながら、療育での実践に繋げていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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