【ASDとADHDの違い】対人コミュニケーションとこだわりから理解する見分け方

ADHD

自閉症(自閉スペクトラム症:ASD)は、対人・コミュニケーションの困難さとこだわりを主な特徴としています。

ADHD(注意欠如多動性症)は、多動性・衝動性・不注意を主な特徴としており、多動性・衝動性が強くでるタイプや、不注意が強くでるタイプ、両者の特徴を合わせもつ混合タイプなどがあります。

こうした特徴だけを取り上げると、ASDとADHDは全く別の特徴を示しているようにも見えます。

 

著者は、ASDとADHDに関する発達特性を学びはじめた頃は、両者は全く異なる特徴だと思っていました。

一方で、著者の周囲でASDとADHDに関する発達特性のある人を見ていると、似たような特徴があると感じることがあります。

中には、ASDの診断を受けていながら、ADHDではないか?と思うこともありますし、その逆もあります。

もちろん、発達特性は重複しているケースも多いと考えられているので、もともと両方の特徴を持っており、発達過程の中で特定の特性が強く出ている場合もあります。

発達障害の重複(併存)に関してはこちらで紹介しています:関連記事:「発達障害の重複(併存)について-療育経験から理解と支援について考える-」。

 

それでは、ASDとADHDの違いは一体どこで見分けることができるのでしょうか?

 

そこで、今回は、ASDとADHDの違いについて、対人コミュニケーションとこだわりから理解する見分け方について解説していきます。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

今回参照する資料は、「岩波明(2017)発達障害.文春新書.」です。

 

 

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【ASDとADHDの違い】対人コミュニケーションとこだわりから理解する見分け方

それでは、ASDとADHDの違いについて、「対人コミュニケーションの困難さ」と「こだわり」から両者の特徴・見分けについて見ていきます。

 

ASDとADHDの違い:「対人コミュニケーションの困難さ」から考える

最初に違いを見分けるポイントの一つとして、ASDの主な特徴の一つである、「対人・コミュニケーションの困難さ」についてです。

ADHDはもともと持っている行動力などから、友人関係がむしろ広いという人もいます。

不注意有意な人でも、対人関係そのものは苦手ではないという場合も多いと言えます。

また、ADHDは他者の気持ちの読み取りそのものは苦手でないといった特徴もあります。

著者の周囲にもADHDの人がいますが、対人関係が苦手といった印象は見受けられません(他の要因から苦手というパターンはあります)。

 

それでは、ASDの対人・コミュニケーションの困難さはADHDとの違いを見分けるものになるのでしょうか?

以下に著書を引用しながら見ていきます。

ASDの特徴である「対人関係、コミュニケーションの障害」(他人の気持ちが理解できない、場の空気が読めないなど)は、ADHDと区別する鑑別点にはならないことが多い。

 

著書では、ASDとADHDの両者を見分けることが難しいと述べており、必ずしもASDの対人・コミュニケーションの障害がADHDとの違いを見分けるものになるとは限らないと記載されています。その理由が以下です(以下、著書引用)。

ADHDは対人関係は元来良好であることが多いが、思春期以降において対人関係が悪化することがまれではないからだ。彼らは、児童期から思春期にかけて対人関係のおける失敗を繰り返すうちに、次第に他人と交流することに不安が強くなり孤立するケースが見られる。

 

著書から言えることは、ASDは幼少期から対人・コミュニケーションの問題を抱えているが、ADHDは思春期以降に対人関係上の失敗体験により、周囲と関わりが苦手になるケースがあるということです。

つまり、ある程度年齢がいくと、発達経過に伴う二次的な要因などから、ADHDにも対人・コミュニケーションの問題が生じるケースがあるということになります。

 

ASDとADHDの違い:「こだわり」から考える

以下、著書を引用しながら見ていきます。

ASDとADHDを区別するには、むしろ「同一性へのこだわり(常同性)」が鑑別点として重要である。ASDでは、特定の対象に対して強い興味を示したり、反復的で機械的な動作(手や指をぱたぱたさせたりねじ曲げる、など)がみられるが、このような症状はADHDではまれである。

 

著書の内容から、ASDとADHDの違いを見分けるポイントは「こだわり」ということになります。

こだわりとは、何か特定の対象への強い興味関心や手順やルールなどへの固執、手をひらひらさせるなどの常同行動などがあります。

こだわり行動は、ADHDにはほとんど見られないため(重複ケースは除く)、両者を見分ける上で重要なポイントになります。

著者の周囲のADHDの人を見ても、確かに、こだわり行動がとても強く出ている人は少ない印象を受けます。

そのため、両者を見分けるためには、〝こだわり行動に着目することが重要”だと言えます。

 


以上、【ASDとADHDの違い】対人コミュニケーションとこだわりから理解する見分け方について見てきました。

重要な点は、「こだわり」が違いを見分けるポイントとなることと、ADHDは発達経過に伴いASDの対人・コミュニケーションの困難さと似た状態を見せることがあるということです。

著者は、これまで療育現場で様々な発達特性のある子どもや成人の人と関わってきました。

その中で、大切だと感じるのは、特性をしっかりと理解しその特性に対する配慮だと感じています。

特性への理解がズレてしまうと、支援が進まないということが起こります。

そして、特性によって生活上どのような点に困難さが生じているのかといった生活のアセスメントや、これまでの発達経過の中でどのように特性と付き合ってきたのかという発達的視点をもつことがとても重要だと思います。

今後も、発達特性の理解をさらに深めていきながら、より良い支援を目指していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

ASDとADHDには似ている行動が多くありながらも背景は異なると考えられています。詳しくはこちらで紹介しています:関連記事:「【ASDとADHDは似ている?】忘れ・ミス・衝動・対人関係からみる“似て非なる”行動の背景」。

 

ASDとADHDには「過集中」が特徴してよく見られます。「過集中」に関する両者の違いについてはこちらで紹介しています:「【何かに没頭する行動とは?】ADHDの過集中についてASDとの違いも交えて考える」。

 

岩波明(2017)発達障害.文春新書.

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