ADHD(注意欠如多動症)とは、多動性・衝動性・不注意を主な特徴としています。
ADHDにも多動性・衝動性が強くでるタイプ、不注意が強くでるタイプ、両者の特徴が混ざっている混合型など様々なタイプがあります。
多動性や衝動性に関しては、「落ち着きのなさ」や「待てない」といった特徴があります。
例えば、家庭だけではなく公共の場で走り回ったり、順番を守れない、人が話している途中で割り込んで話すなどがあります。
著者は長年、療育現場で発達に躓きのあるお子さんたちと関わってきていますが、その中にはADHD児もおり、上記のような特徴が見られることが多くあります。
それでは、ADHDの特徴として代表的な「衝動性」について、どのような対応が必要なのでしょうか?
そこで、今回は、ADHD児への療育について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、衝動性の対応について理解を深めていきます。
今回参照する資料は、「司馬理英子(2020)最新版 真っ先に読むADHDの本:落ち着きがない、忘れ物が多い、待つのが苦手な子のために.主婦の友社.」です。
ADHD児への療育:衝動性の対応について
著書の中では、〝衝動性”について、「ちょっと待つ」トレーニングを取り上げており、以下の5つを関わりをポイントとしています。
1 待てないとまわりの人はどう思うか、待てるとまわりの人がどう思うか、を教える
2 ルールを教える。望ましい行動を教える。
3 ちょっと待ってから行動する練習
4 待つ練習
5 「早く早く」とふだんから追い立てない
以上の5つです。それでは、それぞれについて著者の体験を踏まえてお伝えします。
1 待てないとまわりの人はどう思うか、待てるとまわりの人がどう思うか、を教える
これはある特定の衝動性の行動(例:順番を守れない)に対して、まわりはどう思い(例:一緒に遊びたくない子)、気をつけるとまわりはどう思うか(例:一緒に遊びたい子)ということを伝えていくものです。
ある特定の行動を細かく区切ることで、ある行動によりどういった結果が生じるかを伝えるものと言い換えても良いかも思います。
著者も、こうした特定の行動に焦点を当て、ADHD児に伝えることはよくあります。
その際に、「こうした方がうまく遊べるよ」といったように、行動を変えることのメリットを本人が感じ取れるような声掛けが大切にしています。
2 ルールを教える。望ましい行動を教える
順番を守れない、遊びのルールを守れないことがよくあるADHD児に対して、事前にルールなどを提示することが必要です。
ポイントは、新しい環境や新しい遊びなどの際には、事前に想定されるリスクなどを踏まえ、ルール設定をしていくことが重要かと思います。それは、望ましい行動を教えることでもあります。
著者は、ADHD児には、事前の伝えを大切にしています。それによって、そこから外れそうになった場合にも、先に確認したルールなど事前の伝えに戻ることができます。
3 ちょっと待ってから行動する練習
日常の中で少し考えてから行動する習慣をつけることが大切です。
例えば、何か欲しいものがあり、すぐにもっているお金を全部使おうとするのではなく、計画的に自分で考えて使うようにサポートするなどです。
著者は、ADHD児と関わる中で、やりたいことが複数あるとき、また、他児の行動に直ぐにひっぱられ自分がやりたいことができなくなってしまわないように、少し考えるように子どもと相談するようにしています。
こうしたことを繰り返した結果、衝動的に行動する前に、少し考える癖がついた子どももおります。
4 待つ練習
次の○○の遊びの時間は○○時からというように、時間を意識して待つという練習です。
著者は、ADHD児を見ていると、すぐに○○君と遊びたいなど待てない子も中におりました。
こうした子に対して、○○時から遊べるというように、それも待ち時間が長くなりすぎないように、時間を提示することがあります。
もちろん、状況によっては待てないこともありますが、生活の様々な文脈の中で、待つという状況は発生しますので、少しずつ、その子のその日の状態も見ながら練習していけると良いかと思います。
5 「早く早く」とふだんから追い立てない
焦らず、せかさず、ゆっくりと余裕を持って対応することが重要です。
ADHD児は、他のことに注意がとられるなど注意の転導性が高く、また、計画を立て実行するということが苦手なため、少し余裕を持って対応する必要があります。
著者は、ADHD児との関わりの中でどうしても、「早く早く」と追い立ててしまうことがあります。それは、様々なことには時間という制限があるからです。
しかし、「早く早く」と追い立ててうまくいったかというよりは、少し余裕をもって焦らず対応した方が結果として、自ら時間を意識して準備などをする様子が増えてきたという印象があります。
以上、ADHD児の衝動性に対して5つのポイントを挙げました。
ADHD児の中にはとても能力としては高いお子さんも多くいますので、そちらの高い基準に大人が照準を合わせてしまうと、相互にとって良い関係や良い関わりが難しくなってしまうと思います。
大切な点は、その子の発達特性を理解し、丁寧に関わり続けることだと思います。
私自身、まだまだ未熟ですが、今後も特性の理解を深めていきながら、より良い配慮や支援を目指していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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司馬理英子(2020)最新版 真っ先に読むADHDの本:落ち着きがない、忘れ物が多い、待つのが苦手な子のために.主婦の友社.