ADHD(注意欠如多動症)とは、不注意・多動性・衝動性を主な特徴としています。
その中でも、不注意優位型と多動・衝動性優位型、そして、両者の特性を併せ持つ混合型があります。
著者が関わっている療育現場の子どもの中にも、一定数、ADHDの子どもたちはおります。
ADHDの子どもたちは、様々なものに興味を見せたり、すぐに行動に移す実行力、何かに没頭すると高い集中力などを見せる強みがあるという印象を受けます。
一方で、忘れ物の多さ、スケジュール管理がうまくできない、衝動的な行動・言動からトラブルを自ら引き起こしてしまうなどの苦手さもあります。
それでは、こうしたADHDの人が持つ苦手さにはどのような理由があるのでしょうか?
そこで、今回は、ADHDの行動特徴について、わかっていてもやめられない理由について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら考えを深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「米澤好史・松久眞実・竹田契一(2022)特別支援教育 通常の学級で行う「愛着障害」サポート 発達や愛着の問題を抱えたこどもたちへの理解と支援.明治図書.」です。
ADHDの行動特徴について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
ADHDはすぐ反省しますし、悪いこともわかっています。今後どうしたらいいかまで全部言えます。今、宿題をしないと明日間に合わないこともわかっています。しかし、やめられないのです。
著書の内容からもわかるように、ADHDのすべき事項を忘れてしまうこと、トラブルへと繋がってしまう行動などは、本人からするとやってはいけないとわかっていてもやめられない行動ということになります。
著者もADHD児を見ていると、一見すると、この子の理解力からは考えられない行動を見せることがあります。
それは、計画性の無さであったり、少し前に自分で言っていた内容を忘れてしまっていたり、些細なことでイライラしたり、他児に口を出してトラブルになるなどがあります。
こうした行動は、少し考えれば、自分の行為がどのような結果に結びつくのかを予測できるように思いますが(その子の理解力から考えて)、それがなぜかできないといった印象です。
わかっていてもやめられない理由について
それでは、これまで上げてきたADHDの行動特徴はなぜ生じるのでしょうか?
以下、著書を引用して見ていきます。
ADHDとは、行動・注意・集中・言語・感情・思考・時間管理の自己抑制機能を吟味する力が未発達
行動の特徴を見るとどのこどもにも1つは見られるがADHDはすべての面で欠如しやすい
ADHDは「どうすれば褒められるか」はわかっているがこの行為ができない
著者の内容から、ADHDの行動特徴の理由には、自己抑制機能の未発達があるとの記載があります。
それも、定型発達児と比べ、行動・注意・集中・言語・感情・思考・時間管理のすべての面で抑制がうまく機能しないといった特徴があるのだとしています。
つまり、行為→結果が予測できても、一度、それをやりたい欲求や不満といった感情が湧くと、抑制が機能しないということになります。
確かに、著者もADHDの子どもの行為を一緒に振り返ることをこれまで多くしてきましたが、印象としてやってはいけいないことや好ましい行動などはわかっている印象があります。
しかし、感情的になったり、特定の興味にフォーカスすると、衝動的な行動や言動が見られたり、他の情報を忘れてしまうのだと思います。
ここで大切になるのが、こうした自己抑制機能がうまく働いてないという理由を関わる大人の人たちが理解して対応していくことです。
つまり、自己抑制機能がうまく働かないと、生活の中で多くの失敗を経験しやすくなるため、失敗経験の多さから生じる自己肯定感の低下を防いでいくことが大切になります。
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以上、ADHDの行動特徴【わかっていてもやめられない理由について考える】について見てきました。
ADHD児を見ていると、一見すると多くのことができる、わかっているように思えることも多く見受けられます(実際にそういった面もあります)。
一方で、わかっていてもやめられないとういう行動の抑制がうまく働かないという特性もあります。
こうした行動とその理由を理解し対応していくことはとても大切だと療育経験が増すごとに実感しています。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も、行動の背景にある理由にまでしっかりと目を向けながら関わることができる技量を身につけていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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