幼い頃の感覚を鍛える遊びは、後の発達において重要と言われています。感覚にも、触覚、視覚、聴覚、嗅覚、味覚など様々なものがあります。
感覚を鍛えるためには、特に5歳頃までの経験が重要であるといわれています。
私は以前いた療育施設で、発達につまずきのある未就学児を対象に療育をしていました。その中で、感覚を鍛える遊びはたくさんやってきたと思います。何より子どもたちの遊びの様子を見ていてとても好きなのが分かりました。
そこで、今回は私の現場経験から「感触遊び」を例に取り、どのような遊びをしてきのか、子どもたちの様子なども踏まえてお伝えしていこうと思います。
まず、一言で「感触遊び」といっても様々なものがあるかと思います。例えば、油粘土、紙粘土、小麦粉粘土、砂や泥、スライム、水、片栗粉、寒天など、私がいた療育施設では人気でした!
これらは五感の様々なところを使うかと思いますが、特に触覚経験を豊かにするものかと思います。
感触遊びといっても触って楽しむ要素が入ることで、例えば、シャボン玉や風船、絵の具なども感触遊びの分類に入れることがあります(私が以前作っていた保育計画などで)。
特に重度のお子さんであると、触るという経験が非常に重要です。そのため、風船などの感触も、膨らませる前後で感触が違うため、いろいろと触ってもらうようにしていました。
感触遊びをする上での注意点は、口の中に入れたり飲み込んだりしないように注意して見ておく必要があります。私の以前のクラスのお子さんでは、砂を食べるという子どももおり、食べるではない方向に遊びをもっていくように心がけたり、時には他の感触遊びで代替する方法をとっていました。
感触遊びは非常にシンプルでありながら、子どもたちは一度ハマると没頭することがよくあります。そして、一人ひとり楽しみ方が違うことがよくあります。
例えば、「片栗粉遊び」では、最初は粉上で、手で粉を集めたり、サラサラ降らせたりして遊びます。時には、カップなど道具も使用します。途中で、水を入れることが多いのですが、水を入れると粉がまとまり固くなるため、非常に多様な感触を楽しむことができます!正直、大人でも楽しめます!
子どもたちの中には、粉には興味を示さない子が水を入れると急に興味が増すということが起こります。室内が静まり返りながらも集中して遊べるものだと思います(ただ、片付けが大変ではありますが)。
また、「砂や泥遊び」も人気の一つです。この遊びはやればやるほど奥が深く、多様な感触を楽しむことができます。サラサラとした砂の感触に、水を入れるとドロドロしたものになるため、砂山や泥山など砂の状態によって作れるものや質感にも差がでます。
子どもたちは無我夢中という感じで砂まみれ、泥まみれになって遊びました。もちろん、スコップやバケツもよく使い、そうした中で道具を上手に使えるようになったお子さんたちも多くいました。
「粘土遊び」は感触遊びの定番といってもいいでしょう。種類も豊富で、紙粘土から、油粘土、小麦粉粘土などがあり、私は、ダイナミックに大量の小麦粉粘土を作ったりして子どもたちにたくさん粘土を触ってもらったり、紙粘土では、固まると作品のようになるので、翌日に絵の具やペンで塗るなど、発展性を持たせました。
子どもたちによって粘土の遊び方も多様であり、こねたり、丸めたりするのが好きな子から、道具を使って型を取るなど、何かに見立てて遊ぶことが好きな子もいました。
こうした感触遊びですが、中には苦手なお子さんもいましたので、無理に触らせることはさせずに、道具を使う遊び方を伝えるなど大人が他の方法での遊び方を見せたり、その子の好きな感触を探しながら大丈夫なものからやってみるなどの取り組みをしてきました。
以上、いくつか例を挙げながら「感触遊び」についてお伝えしてきました。
大人になるにつれて私たちは子供の時のようにある感覚に没頭するという体験は少なくなるのだと思います。感覚の発達から見ても、視覚や聴覚が大人になるに従い有意になり、その他の感覚はどちらかというと意識に上がりにくくなります。
私は療育現場の体験をもとに、久々に感触遊びを楽しんだ感じがしました。その中で、ザラザラ、ツルツル、ヌルヌル、ベタベタ、サラサラ、ドロドロなど、ある感覚をしっかりと感じたことは、多様な感覚を認識する上で非常に良い経験になったかと思います。
こうした多様な感覚ヘの認識は、子どもたちの好きな感覚を理解し、その後の遊びを組み立てるヒントにもなりました。
今後も、子どもの頃だから没頭できる感覚遊びの楽しさを子どもたちとの関わりの中から見出していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。