発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

専門性 発達障害

【発達障害児支援に必要な専門性】専門性を高めるために大切な2つの素養

投稿日:

著者は長年、療育現場で発達障害など発達に躓きのある子どもたちと関わってきています。

その中で、発達に躓きのある子どもたちへの理解と対応力を高めていくためには、様々な〝専門性″が必要だと感じています。

その中で、〝専門性″を高めていくためにも、〝これは欠かせない″〝はずせない″といった〝素養″があることも事実だと思います。

 

それでは、発達障害児支援の専門性を高めていくために必要な素養にはどのようなものがあるのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害児支援に必要な専門性について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、専門性を高めるために必要な2つの素養について理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「加藤博之(2023)がんばりすぎない!発達障害の子ども支援.青弓社.」です。

 

 

専門性を高めるために大切な2つの素養について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

少なくとも、子どもとうれしそうに関わっているか(関わり好き)、子どもを深く知りたがっているか(知りたがり)、の二点を見極めます。

 

著書の内容では、クラス担任が信頼できるかどうかを知るためのポイントが複数載っています。

その中で、上記の二点(関わり好き、知りたがり)は特にはずせないポイントだとしています。

著者は長年、療育現場で働いていますが、療育において専門性が向上している人たちの特徴の多くには、〝関わり好き″と〝知りたがり″の二つの素養があると感じることがよくあります。

そのため、著書の内容を見た際に非常に納得感がありました。

 

 


それでは、次に、以上の二点の大切さについて、著者の経験を踏まえて見ていきます。

 

著者の経験談

著者は長年、療育現場を中心に様々な発達に躓きのある子どもたちと関わってきています。

同時に、一緒に仕事をするスタッフに関しても様々な出会いがあります。

様々なスタッフを見ていて感じることは、発達障害児支援の〝専門性″を高めるためには、子どもへの〝関わり好き″と、子どもへの〝知りたがり″の二つの〝素養″がとても大切だと感じています。

 

まずは、子どもとの〝関わり好き″なスタッフに関しては、一人ひとりの子どもと一緒に楽しむ経験を通して、子どもを楽しませることを優先的に考えようとします。

つまり、〝子どもを中心に物事を考える傾向″があるように思います。

関係性の視点(愛着関係など)においても、子どもの事を中心に考えようとする人は、大人の思いや社会のルール以上に、今、子どもが何を欲しているのか?何に喜びを感じているのか?何に困り感を抱えているのか?などに関して、非常に高いアンテナを張り巡らせながら、関係性を深めていく傾向があると感じています。

こうした関係づくりは簡単なようで容易ではないと思います。

療育現場には、様々なスタッフがいますし、上司や先輩といった上下関係も存在します。

いくら子どもへの思いが強い(関わり好き)とはいえ、周囲の大人の考え方・価値観も入り込むため、〝子どもを中心に物事を考える傾向″は簡単には築きづらい部分があることも事実だと思います。

一方で、〝子どもを中心に物事を考える傾向″が強い人は、子どもからの信頼を集め、子どもから見ても関わっていて安心でき、楽しい存在となっていくことは確実にあると思います。

 

次に、〝知りたがり″なスタッフに関しては、関わる子どもたち一人ひとりに対して〝もっと知りたい!″といった思いが強い人です。

また、〝発達障害″や〝発達に関する情報″など貪欲に知識を探求する意欲もあると思います。

そのため、表面上の知識や周囲の現場のスタッフからの説明に簡単には納得しない傾向があるように思います。

自分が関わる子どもに対して、納得できるまで〝知ろうとする″意欲が必要だと言えます。

こうしたタイプの人たちは、簡単に子どもに対して〝分かった!″という感覚を持たないことも特徴だと思います。

子どもたちは、年齢による発達や置かれている環境、その時々の感情状態において様々な表出をします。

こうした表出の背景、つまり、変化の要因に対して常に考え続ける姿勢・試行錯誤する姿勢が子どもの発達を深く理解することに繋がっていくのだと思います。

 

 


以上、【発達障害児支援に必要な専門性】専門性を高めるために大切な2つの素養について見てきました。

今回見てきた〝専門性″を高めるために大切となる〝素養″は複数あると思います。

その中でも、今回は、著者の経験上、とても大切だと感じている2点を取り上げてきました。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育経験を通して、自らの専門性を高めていけるように、日々の子どもたちとの関わりと独自の学びを大切にしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「療育(発達支援)の専門性5選

関連記事:「療育(発達支援)の専門性を磨くために必要なこと

 

 

加藤博之(2023)がんばりすぎない!発達障害の子ども支援.青弓社.

-専門性, 発達障害

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【発達障害児の子育てで大切にしたいこと】無条件子育ての原則とは?

発達障害の有無を問わず〝子育て″の中で大切にしたい考え方があります。 中でも〝無条件の接し方″は非常に重要な関わり方です。   関連記事:「【発達障害児の子育てで大切にしたいこと】2種類の接 …

【〝ソーシャルスキルトレーニング″で獲得したスキルを活用するために大切なこと】発達障害児支援の現場から考える

発達障害児・者へのコミュニケーションや社会性を向上させるための練習方法として〝ソーシャルスキルトレーニング(SST)″があります。 著者は以前、発達障害児への〝ソーシャルスキルトレーニング(SST)″ …

発達障害児への関わり方で大切なこと【子どもの良さを伸ばすためにできること】

著者は長年、療育現場で発達障害など発達に躓きのある子どもたちと関わってきています。 その中で、子どもたちへの関わり方には、発達特性や発達的視点を活用したアプローチや、感覚統合や愛着などの関係性からのア …

発達障害の重複(併存)を理解する難しさについて-療育経験から考える-

療育現場で発達に躓きのあるお子さんたちと接していると、様々な発達特性のある子どもたちと出会います。 例えば、コミュニケーションの難しさやこだわり行動のあるASD児や、不注意・多動・衝動性のあるADHD …

【発達障害児へのレジリエンスの支援について】失敗を減らし、成功を増やす!

〝レジリエンス″とは、〝立ち直る力″〝回復力″のことを言います。 レジリエンスを育てるためには、様々な方法があります。 中でも、発達障害の子どもには、レジリエンスが特に必要だと考えられています。 &n …