「〝心の理論″とは、他者の意図、欲求、願望、信念、知識といった心の状態を推論する能力」のことを言います。
心の理論の獲得は、定型発達児と比べて、自閉症などの発達障害のある子どもたちは獲得が遅れると言われています。
それでは、心の理論を理解する上でどのような知識が重要となるのでしょうか?
そこで、今回は、心の理論を理解する上で非常に役立つおすすめ本5選【初級編~中級編】について紹介していきます。
実際にこれから紹介する本を通して著者自身、心の理論の理解が深まった、支援の役に立った等、有益な知識を得ることができました。
ぜひ、参考にしていただければ幸いです。
1~5の番号はランキングではありません。紹介内容を見て入りやすい本から手に取って頂けるといいかと思います。
1.心の理論 心を読む心の科学
心理学領域で大変有名な〝子安増生さん″が書いた本になります。
〝心の理論″について実験的な手法によって検証された科学的な視点を根拠に、わずか130ページ程度の短い分量で分かりやすく記載されています。
心の理論をはじめて学ぼうと考えている方、心の理論について整理したいと考えている方には特にお勧めです。
2.「心の理論」からの学ぶ発達の基礎 教育・保育・自閉症理解への道
1で紹介した本と同じく〝子安増生さん″を中心として、心理学領域で有名な先生方によって書かれた本です。
現在の〝心の理論″の概要を理解したいと考えている方にはとてもお勧めです。
中盤以降には、保育や教育の現場で子どもたちを理解するために必要な〝心の理論″の知識について、そして、最終章では自閉症児の理解について〝心の理論″を通じて様々な考察がまとまっています。
タイトルにあるように、教育や保育、そして、自閉症児支援に関わる方にとっては大変参考になる本です。
3.心の理論 第2世代の研究へ
同じく1・2で紹介した〝子安増生さん″をはじめ、心理学領域で大変著名な先生たちによって書かれた本です。
〝心の理論″についてこれまでの研究の成果と今後の展望について専門的な視点から多くの示唆を与えてくれる内容となっています。
学術的な内容のため、少しハードルの高い本かと思いますが、専門的な知識を学びたいと考えている学生や研究者の方には特にお勧めです。
4.自閉症とマインド・ブラインドネス
イギリスの発達心理学者〝サイモン・バロン=コーエン″によって書かれた翻訳本です。
他者の心を読むことはどのようにして可能となるのか?その発達段階にはどのような過程があるのか?なぜ、自閉症児・者は心を読むことに苦手さがあるのか?について、科学的な手法による説明が載っています。
〝心の理論″を語る上では必須となる〝サイモン・バロン=コーエン″が行ってきた自閉症研究について、学生や研究者の方々はもちろんのこと、臨床の現場で自閉症児・者との関わりがある方にも多くの示唆を与えてくれる本です。
5.心とことばの起源を探る シリーズ認知と文化4
アメリカの認知心理学者〝マイケル・トマセロ″によって書かれた翻訳本です。
〝心の理論″を獲得するためには、他者とある対象を共有するという経験、つまり、〝共同注意″が必要です。
この本では、他者が意図を持った主体である(心を持った存在である)ということを理解するためのプロセスとして、〝共同注意″をはじめとした様々な考察が記載されています。
〝心の理論″に強く影響する〝共同注意″についての理解を深めたい方にとっては非常に多くの示唆を与えてくれる本です。
内容としては専門的な本であるため、学生や研究者の方をはじめ、〝心の理論″に関連する知識を学びたい方にお勧めです。
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