発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

成果 療育

療育(発達支援)の成果は継続することで見えてくる

投稿日:2022年8月27日 更新日:

著者は療育(発達支援)現場で長年、発達に躓きある子どもたちを支援しています。

通所してくる子どもたちは非常に個性的だと感じます。

療育を通して子どもたちの成長を実感できることはこの職種ならではの喜びだと感じます。

 

それでは、療育(発達支援)を通して、子どもたちが成長・発達していく過程、つまり、療育の成果にはどのような視点を持つ必要があるのでしょうか?

 

今回は、療育(発達支援)の成果には継続が必要だという視点からその内容を具体的にお伝えしていきます。

 


継続が必要だと考える理由は以下の三点です。

 

 

スポンサーリンク

継続しないと見えない理由

①子どもたちの成長には時間がかかる

②発達の躓きを理解するには時間がかかる

③スタッフの成長にも時間がかかる

 


以上の三点について著者の経験から具体的に説明していきます。

 

①子どもたちの成長には時間がかかる

子どもたちは日々、様々な経験を通して成長していきます。

例えば、自分の気持ちを言葉にして伝える、仲間関係が発展していく、自転車に乗れるなど運動機能の向上、工作遊びが上手にできる、自分の気持ちをコントロールできる、自分で計画を立てて行動するなど、著者は多くの子どもたちの成長を目にしてきました。

こうしたこれまでできなかったことができるようになる一方で、新たな課題やできないこともまた出てきます。

例えば、他児に興味がでてくると他児との関わりが増える一方で、気持ちの伝え方がうまくできない、相手の気持ちがわからず一方的に関わってしまうなど課題も出てきます。

成長とはできることが増えていくといったポジティブな側面が強くありますが、発達とはできるようになる面に加えできない面も相互に関連しているという広義の意味があります。

つまり、人の成長はただ単純にできることが増えていくのではなく、成長に伴い、できない面や新たな課題も出てくるということになります。

療育の成果を継続的に捉える必要性は、こうしたポジティブな面とネガティブな面の両方が人の成長には大切だという視点を持つことにあります。

そのため、うまくいかない・できないという状態もまた子どもたちの次の成長にとってとても大切です。

できる・できないを含めた成長過程を理解していくにはとても時間がかかります。

 

関連記事:「療育現場で両義性を理解して関わることの大切さについて-子ども「なる」を育てるために-

関連記事:「そもそも発達とは何か?発達障害とは何か?

 

②発達の躓きを理解するには時間がかかる

療育(発達支援)現場には、ASDやADHD、知的障害などの発達障害の子どもたちが多くおります。

また、二次障害も出ている(と思われる)子もおります。

こうした様々な障害は重複しているケースも多いため、総合的に子どもたちを理解していくには時間がかかります。

その際に大切な視点は、日々の生活の中での困り感や躓きを丁寧に読み解いていくという作業になります。

著者はこれまで学部や大学院などで、臨床発達心理学・発達障害学など多くの専門的知識を学んできました。

知識を獲得して感じたことは、現場での実践を通して考えるということです。

例えば、ASDは、対人・コミュニケーションの困難さやこだわり行動などを特徴としていますが、同じASDの特徴のある子どもたちも非常に違いあると感じます。

そして、その違いは生活や成長過程によっても変化していきます。

例えば、時間へのこだわりが強かった子が、他のこだわりへと移行するなど、こだわりそのものは変わらずとも、その内容や質が変わることはあります。

また、ADHDの多動衝動が少なくなっても不注意が残りやすいものもADHDの特徴としてあります。

このように、時間をかけて子どもたちの発達特性を見ていくことで、特性の本質や躓きの傾向などが見えてくることが多くあります。

また、子どもたちがどのような環境でこうした躓きが出やすいのかという日々の生活環境からの理解もとても大切です。

発達の躓きを理解するには、時間と環境(生活環境)という二軸がとても重要です。

そのため、理解するには時間がかかるということになります。

 

関連記事:「自閉症のこだわりはなくなるのか?-療育経験を通して考える-

関連記事:「療育で大切な視点-生活障害という視点を持つことの大切さ-

関連記事:「臨床発達心理学とは?-療育経験からその視点の重要性を考える-

 

③スタッフの成長にも時間がかかる

成長するのは子どもたちだけではありません。

関わる大人・周囲の大人たちもまた同じく成長していきます。

関わるスタッフも、子どもたちのできる・できないに日々に向き合いながら、自分の関わりの方を試行錯誤しています。

著者も自分の子どもへの関わり方を自問自答したり、他のスタッフにアドバイスを求めるなど、様々なことを考えています。

様々なライフステージ(未就学・学童・成人など)に関わること、同じ子どもと長期間関わり続けること、家庭や学校などの情報を収集しながら環境の違いを見ていくこと、専門的知識を学ぶこと、全ておいて成長に繋がり、支援の成果に関連してきます。

 

関連記事:「療育(発達支援)の専門性を磨くために必要なこと

 


以上、療育(発達支援)の成果には継続が必要だという視点からその内容を具体的にお伝えしてきました。

療育(発達支援)の成果は、人によって感じ方・受け止め方が違うと感じます。

大切なことは、成果を他者と共有することにあるのだと思います。

私たちは、人から自分の成長や頑張りを認められてその中で成長していきます(大人と子ども、大人同士の両方において)。

つまり、認めてくれる人の存在がとても大切です。

私自身、まだまだ未熟ですが、今後も療育(発達支援)の成果について実践を通して考え続けていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

スポンサーリンク

-成果, 療育

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【療育の目的とは何か】著者の療育経験を通して考える

療育とは、一般的に、社会の中で生きていく力を育むことを目的としています。 その内容は、例えば、自己肯定感を育むこと、自律スキルやソーシャルスキルの獲得などがあります。 著者の療育経験からも上記の内容は …

【触覚過敏を抱える人の特徴について】療育で大切にしたいこと

発達障害児・者には様々な感覚の問題が見られると言われています。 そのため、発達障害児・者支援に携わる人たちにとって、感覚の問題への理解と対応に関する知識は必須であると言えます。 中でも、〝触覚過敏″の …

【ごっこ遊びの大切さについて】療育経験を通して考える

著者は療育現場で発達障害など発達に躓きのある子どもたちと関わってきています。 対象年齢は、未就学児から小学生のため、活動のメインは〝遊び″になります。 子どもたちは〝遊び″を通して、自己を発揮し、他者 …

【臨床発達心理学に学術的根拠を求める方法について】療育経験を通して考える

〝臨床発達心理士″とは、〝発達的視点″を持ちながら現場のニーズを解決していく実践者のことを言います。 そして、実践の根拠となる学問領域の中心が〝臨床発達心理学″になります。 このように、実践と根拠(理 …

療育で大切な視点-制限よりも満足感を!-

療育(発達支援)の現場に携わっていると、子どもたちの困った行動や気になる行動などにどうしても目が向いてしまいます。 もともと、発達に躓きのある子どもたちということもありますので、まず大切となるのは、発 …