療育(発達支援)において、様々なライフステージがあり、ライフステージによって課題も変わってきます。
著者は放課後等デイサービスで、発達に躓きのある子どもたちと日々関わっています。
その中で、学童期の支援に携わる機会が多くあります。
それでは、学童期にはどのような課題が療育上あるのでしょうか?
今回は、著者の療育経験も踏まえ、療育で大切なこととして、学童期の課題をテーマに考えていきたいと思います。
今回、参照する資料は「田中康雄(2011)こころの科学叢書:発達支援のむこうとこちら.日本評論社.」です。
学童期の課題
以下、著書を引用します。
この時期の子どもの最大の課題は、仲間集団との交わりと学習から得る有能感である。大人たちの課題は、子どもに「モデリングとしての大人像」を示すことにある。
以下、著書の内容から、学童期といったライフステージにおける最大の課題は、同年代集団との仲間関係構築と学習によって得られる有能感だとされています。
こうした課題に対して、他児との間を繋いだり、その子の良い点をしっかりと理解し関わるモデルとなる大人の存在がとても大切です。
もちろん、就学後ということで、学校の勉強も大きな課題ではありますが、今回は、仲間関係にスポットを当てて見ていきたいと思います。
以下、引き続き著書を引用していきます。
軽度な発達障害のある子どもたちは、集まって遊ぶという体験を得ていないことも多い。したがって、地域社会で一緒に遊べる環境作りが求められる。
このように、発達障害のある子どもたちは、様々な特性上の要因や環境要因なども影響し、他児と関わる機会が少ないことが多いため、地域社会でそうした活動場所を作っていく必要があると言えます。
発達障害といっても、様々なタイプの方がおりますので、ここでは、他児とある程度関わる力や関わりたい欲求はあるが、そうした環境が不足している状態といった基準から考えていきたいと思います。
それでは、次に著者の療育経験から仲間関係による有能感を持つことの大切さについてお伝えします。
著者の体験談
著者はこれまで、発達障害あるお子さんと多く接してきた中で、仲間関係の大切さを実感する場面が多くありました。
子どもたちの多くは、大人との関係よりも子ども同士の関係を求め、その中で自分の立ち位置を意識しています。
例えば・・・
他児から自分は受け入れられるのだろうか?
他児とどうすればうまく関われるのだろうか?
この集団に自分はうまく混ざることができるのだろうか?
とにかく○○君と一緒に遊びたいが、どうすれば良いのか?
など、様々な思いがあります。
こうした様々な思いがある中で、著者は他児とうまく関わることができるような取り組みを子どもたちに行ってきています。
例えば・・・
遊びの共通性はないか?共通性から子どもたちを繋げないか?
相手に自分の気持ちを伝えるにはどのような伝え方がよいか?
相手の思いをどのような言葉で伝えればよいか?
など、様々な関わり方のサポートを考えます。
こうしたサポートを継続することで、子どもたち同士が繋がり、時にはそれが3人以上といった小集団といった仲間関係へと発展することがあります。
こうした中で、共通の興味を通して遊びが発展する中で、他児との間でさらに仲間意識が強くなっていきます。
仲間意識が芽生え、関わりが強くなると、集団の中での自分といった意識とその中で自信が芽生えてきます。
これが自己有能感を高めるものだと著者は現場を通して実感しています。
仲間関係をうまく築くことができ、その中で自信をつける子どもたちを多く見てきたことから、学童期において、仲間関係の大切さがとても大切なものであるということを深く考えさせられました。
関連記事:「療育の成果について-仲間関係を通して-」
以上、療育で大切なこととして、学童期の課題からお伝えしてきました。
学童期には、仲間関係以外にも大切なことが多くあります。
その中で、仲間関係から生じる自己有能感は生涯を支える自信の構築においてとても大切なものだと思います。
今後も、こうした仲間関係を強く求める子どもたちに、よい居場所を作ることや良い関わり方のサポートができるように、現場で子どもたちとの関わりを大切にしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事:「療育で大切な視点-自己有能感について-」、「発達障害への支援-コミュニティ支援・ネスティングの視点から考える-」
田中康雄(2011)こころの科学叢書:発達支援のむこうとこちら.日本評論社.