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【子どもが不登校の場合の基本対応】休養と相談の視点を通して考える

投稿日:2025年8月4日 更新日:

 

子どもが〝学校に行きたくない″と言い出し、〝不登校″になった場合には、周囲で関わる大人たちは困惑します。

〝一体どのようにして対応すれば良いのか?″〝無理にでも学校に行かせた方が良いのか?″〝誰に相談すれば良いのか?″など、様々な不安が出てくると言えます。

 

それでは、子どもが不登校になった場合、どのような対応を心掛けていけば良いと考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、子どもが不登校の場合の基本対応について、休養と相談といった2つの視点から理解を深めていきたいと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

今回参照する資料は「本田秀夫(2025)発達障害・「グレーゾーン」の子の不登校大全.フォレスト出版.」です。

 

 

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【子どもが不登校の場合の基本対応】休養と相談の視点を通して考える

著書には、不登校の子どもの基本対応として、〝休養″と〝相談″を取り上げています。

不登校の初期の状態は、子どもの疲労度がピークだと言えます。

そのため、まずは〝休養″をしっかり取り、子どもが安心できる環境を整えながら、身近な大人に〝相談″できる状態を作っていく必要があります。

 


それでは、次に、2つの視点について具体的に見ていきます。

 

不登校の子どもの基本対応:休養

著書には、〝休養″に関していくつかの段階があると記載されています(以下、著書引用)。

休養1 好きなことに没頭して、心身を癒していく

休養2 落ち着いてきたら、休日に出かけたりする

休養3 回復してくると、興味や意欲が出てくる

 

以上の段階を見ると、休養による回復を通して、徐々に気持ちが内向きから外向きに変化していくことが想定されます。

まずは、休養1にある通り、心のエネルギーを充電することが大切です。

例えば、大好きなテレビを見たり、好きなゲームをするなど、子どもの好きな事をある程度許容していきながら、少しずつ回復を図っていくことが必要です。

次に、休養2にある通り、心のエネルギーが充足されてくると、室内での過ごしが飽き始め、外で遊びたい気持ちが出てきます。

この時点で、学校への登校を促したい気持ちも出てくるかもしれませんが、楽しい活動を外で行うことを少しずつ・段階を踏んで取り組んでいくことが大切です。

次に、休養3にある通り、楽しい活動をたくさん行い、親子関係が良好であると、子どもの心のエネルギーが回復してきます。

そして、これまで目を背けていた学校に関して意識を向ける様子が出てきます。

例えば、好きな友達と学校で会いたい、興味のある学校の授業・行事に参加してみようかどうかなど、本人が登校を考える姿も出てきます。

この時の対応として、子どもからの発信に応じて、少しずつ参加できるところを検討したり、逆に疲れた際には休ませるなど、焦らず対応していくことが大切です。

 

 

不登校の子どもの基本対応:相談

著書には、〝相談″に関していくつかのポイントがあると記載されています(以下、著書引用)。

相談1 親が子どもの話を聞くようにする

相談2 できれば学校の先生にも相談したい

相談3 地域で話し相手が見つかることもある

 

以上の内容から、相談先を家庭・学校・地域と複数作っていくことが重要だと言えます。

まずは、相談1に関しては、子どもが安心できる環境を家庭で作っていくことが必要です。

家庭が安心できる環境だと、逆に、学校への行き渋りが悪化することも想定されますが、著書には、学校環境が悪い上に家庭環境も悪いと、子どもの心の状態が悪化するため、まずは安心できる家庭環境(良好な親子関係)を作っていくことが必要だとされています。

そうした中で、親が子どもの悩みや不安に関する気持ちを受容する姿勢が大切です。

次に、相談2に関しては、もちろん、学校側にも相談相手、できれば担任の先生と連携できる体制を整えていくことが理想です。

一方で、担任の先生と仲が悪い場合、他の先生を相談相手として探していくことも必要です。

次に、相談3に関しては、家庭や学校外の場所での相談相手を見つけることも重要です。

例えば、放課後等デイサービスのスタッフなどは、発達障害や不登校に関する理解が深いスタッフたちが多くいます。

もちろん、スタッフによる考え方の違い、理解度の違いなどもありますが、放課後等デイサービスが増加しているといった背景もあるため、比較的、相談相手を見つけやすいと言えます。

 

 


以上、【子どもが不登校の場合の基本対応】休養と相談の視点を通して考えるについて見てきました。

子どもが不登校から回復に至るまでの期間には、子どもによって差があると考えられています(数週間~数年など)。

そのため、子どもたちそれぞれの不登校の背景を捉えていきながら、焦らず対応していくことが大切だと言えます。

その上で、今回見てきた〝休養″と〝相談″は重要な視点だと言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も不登校への理解を深めていきながら、不登校児に対する対応力を身につけていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【不登校の子どもへの対応方法】無理に学校に行かせる危険性を通して考える

関連記事:「【不登校の子どもへの基本対応】まずは現状を肯定することから考える

 

 


不登校に関するお勧め書籍紹介

関連記事:「不登校に関するおすすめ本【初級編~中級編】

 

 

本田秀夫(2025)発達障害・「グレーゾーン」の子の不登校大全.フォレスト出版.

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