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【なぜ学校はつらいのか?】発達障害児支援の経験を通して考える

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不登校の子どもにとって、学校に対する何らかの〝つらさ″があります。

理由は子どもたち一人ひとりにとって異なりますが、中でも、発達障害や発達障害「グレーゾーン」のある子どもにとって、配慮や支援を受けることができないと、つらい経験が徐々に蓄積されていきます。

 

それでは、子どもたちにとって、学校の何が最もつらいと感じるのでしょうか?

 

そこで、今回は、なぜ学校がつらいのかについて、臨床発達心理士である著者の発達障害児支援の経験も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「本田秀夫(2025)発達障害・「グレーゾーン」の子の不登校大全.フォレスト出版.」です。

 

 

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【なぜ学校はつらいのか?】発達障害児支援の経験を通して考える

以下、著書を引用しながら見ていきます。

全員に一律のノルマが設定されている環境では、みんなと同じようにできない子は弾かれやすくなります。本人の苦しい点が理解されるように環境を調整する必要があります。せっかく登校するようになっても、環境が変わらなければ、また学校に行けなくなる可能性があります。

 

著書には、〝なぜ学校がつらいのか?″の理由として、学校には生徒全員に一律に求められているノルマ(基準)があり、ノルマに満たない子どもたちにとっては、大きな負担を強いられるため、学校が〝つらい″と感じることが大きな点だとされています。

例えば、勉強においても、ノルマは○○点、音楽では○○の曲をリコーダーで弾けるようになること、体育では大繩跳びを全員で跳べるようになることが目標、など様々なノルマがあります。

もちろん、こうしたノルマは、学校や先生の考え方の違い、あるいは、ノルマ化されていなくても、何となく子どもたちがこの水準までいかないと恥ずかしいと感じる感覚のものまで様々あると言えます。

 

 

著者の経験談

それでは、次に、ノルマ化によって学校につらさが生じた発達障害を持つ事例を紹介していきます。

 

事例1:運動が苦手な成人女性Aさん(自閉スペクトラム症・ADHDの診断在り)

Aさんは、小学校の頃から、特に運動が苦手なことで様々なつらさがあったことを語る様子が多く見られた人です。

例えば、団体の球技競技において、勝ち負けを競う場合において、Aさんは多くのストレスがありました。

競技の中には、勝つことをノルマとしている場合が多くあり、運動面での不器用さが顕著に見られていたAさんにとって、チームの中に自分がいることで負けてしまうリスクを高めてしまうといった恐怖感が常にありました。

また、全身運動だけではなく、微細運動と言った指先の運動にも困難さがありました。

例えば、、楽器の演奏が苦手なため、音楽発表(ある程度のノルマがある)の際にはいつも逃げ出したくなる思いが強くありました。

このように、Aさんにとって、本来的に持っている運動の苦手さは、学校のノルマに到達する上で非常に問題となり、結果、学校に行きたくない思いが強くなる要因となっていました。

Aさんには、おそらく発達性協調運動障害(DCD)も併存している可能性があります。

DCDは、ASDやADHDと併存率が高い一方で、問題として扱われることが少なく、DCDの当事者たちが問題を抱え続けているケースも多いと考えられます。

 

 

事例2:対人コミュニケーションの困難さを持つBさん(自閉スペクトラム症の診断在り)

Bさんは、小学校の頃から、特に他者との自然な会話(雑談など)につらさを抱えていた人です。

対人コミュニケーションは、社会に出ると強く求められるスキルですが、小学校の頃でも、グループワークや協調性などの面においてノルマが強いられる力でもあります。

もちろん、対人コミュニケーションのノルマが課せられる一定の基準はない場合もありますが、人とうまくやっていく・人と繋がる上で、暗黙的に自然に求められるものも多いと言えます。

Bさんは、特にフォーマットがない自然な会話・雑談などを苦手としていました。

そのため、休み時間が最大の不安要素でもあったと語っていました。

Bさんは、クラスメイトが自然に会話をしている場にいる状態に耐えることができずに、よく図書館に行って一人で籠っていたと言っていました。

このように、Bさんの対人コミュニケーションの困難さが学校に行きたくないといった原因となっている人は、特に自閉スペクトラム症の人たちに多いと考えられます。

 

 


以上、【なぜ学校はつらいのか?】発達障害児支援の経験を通して考えるについて見てきました。

学校には、様々なノルマ(基準)があります。

そして、特に発達特性を抱えている子どもたちにとっては、ノルマをクリアしていくことに多大なエネルギーが求められているのだと思います。

様々なノルマをこなすことを強いるのではなく、本人に合った環境を調整していくことが学校のつらさを減らしていくこと、そして、不登校児を減らしていくために大切な視点だと言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も不登校に関する理解を深めていきながら、実践で活用できる視点を増やしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「発達障害児の学校での困り感と対応【標準の枠を広げることの重要性】

 

 

本田秀夫(2025)発達障害・「グレーゾーン」の子の不登校大全.フォレスト出版.

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