今回は私が療育施設に勤務した最後の年である四年目を中心に、療育施設の四年間を振り返りながらその中で学んだことや課題についてお伝えしていこうと思います。
冒頭にも紹介した通り、この年が療育施設での勤務の最後の年となりました。
私の四年目は三年目の子どもたちが持ち上がりのクラスを担当しました。前年度同様にクラスリーダーを務め、クラスの全体把握を中心にクラスの職員と積極的にコミュニケーションをはかりながら、だいぶ慣れた療育環境の中で子どもたちや職員の方々と楽しく活動できた年になりました。
当然課題は山積していました。保育内容の検討、遊びの考案、保護者との連絡調整、リスク対策、他の職員との関係づくり、後輩の指導など色々と考えさせられた点も多くありました。
しかし、それ以前の三年間の経験があったため、新しい体験はその前と比較すると少なく、自分がクラスをどのようにリードしていくのかなど思い描ける点が増え、そして、積極的に実行に移すこともできました。精神的には非常に安定した年でした。
クラスの子どもたちは元気で活発な遊びが好きな子が多く(必然的に私はこういったクラスの担任になります)、これまで自分が取り組んできた遊びを思う存分試すこともできました。
これまでこだわってきた理論や知識を通して発達理解を深めることも継続して行いました。
新しい知識を吸収する面よりかはこれまで独学で学んできた理論や知識をさらに深堀する作業の方が増えました。
ちなみに、四年間、どういったことを自分で考え学んできたのかについて以下に簡単に記します(独学の内容です)。
①日誌法などの書籍を読みながら子どもの誕生時から1年程度の発達を追ったものを数冊読み、子どもの原初的な発達について考える。
②現象学や科学から主観性と客観性についての理解を深める。
③言葉や認知、運動や情動の発達過程について調べ考える。
④障害のある子どもたちへの教材教具について調べ実践できるものは取り入れる。
⑤感覚統合の理論や知識を学ぶ。
⑥関係論的なアプローチから、関係性を作ることの難しさや大切さについて考える。
以上が主に独学で学んできたことです。
ここに列挙した内容はまだまだ理解不十分な点も多くありましたが、初めて学ぶことへの楽しさや学ぶことで子どもたちへの理解が深まったことは間違いありません。
また、これらの内容は事前に系統立てて学んだわけではなく、自分の興味関心をそのまま探求したことや、現場の課題点などを考えていく過程の中で見つかってきた内容になります。結果、上記の内容が私が現場を見る視点として大切なものだったということになります。
こうした現場での実践経験と知識や理論を深堀する作業を四年間継続できたのも、現場が問いを投げかけてくれたこと、大学での学びを通して、何かをどん欲に学ぼうとする姿勢がついていたことなどが重ねり合って行動し続けることができたのだと思います。
最後に最大の学びは身体に刻み込まれた経験と、その中で自ら問いを立てて考え続ける力だと思います。
まだまだ現場での課題解決能力は自分が理想とする水準よりはるかに低いのが現状ですが、過去の自分と対比することで少しずつ成長できればと考えています。
そして、子どもたちが満足のできる環境や保育内容ができていたかというと、これもまだまだ理想とは遠いのが現状でした。これは逆の視点から考えると、まだまだ伸ばすことが可能であるとも考えられます。また、年数を重ねるごとに改善できてきた部分は多くあるかと思います。大切なのは成長していける、いこうというマインドなのだと思います。
退職前に、これまで関わってきた多くの保護者から感謝のメッセージを頂き非常にうれしい思いで一杯でした。その思いは今の自分の原動力になっていることは間違いないです。
そして、一緒に協力して療育に携わることができた職員の方々や、子どもたちとの関わりは、多くの気づきと学びを与えてくれたものだと思います。
今でも時々療育施設での記憶が蘇り、今の現場での課題解決のヒントになったり、次の行動のモチベーションになることがよくあります。改めて、日々の体験の積み重ねは後の成長や行動において重要なのだと実感します。
まだまだ道半ばですが、今後もより良い発達理解と発達支援を目指して頑張っていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。