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発達支援(回想編):療育施設での一年を振り返る

投稿日:2020年7月23日 更新日:

前回、前々回と私の療育施設での経験を振り返ってきましたが、今回はその後の一年間を振り返りながら、療育施設での学びや課題などをお伝えしていこうと思います。

一年間、療育施設で過ごすと、クラスの子どもたちの特徴や施設にはどういった遊びがあり、準備や実施方法なども色々と学ぶことができました。また、春夏秋冬といった一年の過ごしや行事なども体験できました。一年間の過ごしの見通しをもつことができました。

そして、他の職員とのコミュニケーションも増え、チームで何かをやり遂げる達成感が得られたり、チームで問題を解決していくという意識も高まってきた一年間だったかと思います。

一年間を通して何よりも学べたことは、子どもたちの個々の特徴を私なりに理解できた(未熟ではありますが)という実感です。当初、課題としていた関係性の構築なども一人ひとり少しずつ進んだという実感はあります。もちろん平坦な道のりではなくその過程に様々なことが起きましたが・・・。

関係性の面でやはり重要なのは子どもにとって安心感となる存在です。

安心感となる存在になるためには、子どものことをよく理解しないと難しいと感じます。何が好きで嫌いか、得意なこと苦手なことは何か、今どういった発達段階にあるのかなどの理解です。こうしたことを日々、体験から考えることがとても大切なのだと思います。

私は遊びを主として、クラスの子どもたちとたくさん関わる時間を持つことができました。その中には、思うようにいかない、うまくいかないなど、決して楽しい体験だけではありません。喜怒哀楽、様々な感情が子どもも私もクラス全体としても共有できたことが素晴らしい時間だったと思います。

そういった意味ですれ違いもとても重要です。お互いに人は異なる様々な人格であるため、それぞれの思いや意図が理解できない、食い違うことは多くあります。そこを考えることはとても重要であり、だからこそ、思いが共有できた時には喜びも大きいのだと思います。

また、当初うまくいかなかった関わり方も子どもたちと関わる頻度が増すごとに少しずつできるようになってきました。こうしたことも、今の自分はうまくできていない、だからこそできるようになりたいという問題意識が重要なのだと振り返ってみて痛感します。

私が療育施設で最初に経験した一年間は、障害特性や発達段階という専門的な知識の理解よりも、人として相手を尊重すること、大切にすること、理解しようと努力することなど、非常に基本的なところを強く考えさせられた年だったように思います。

こうして感じたことは、時々、振り返らないと枯れてしまうもののようにも思えます。ですので、私は過去の心境を振り返ることを時々するようにしています。

このように一年間、子どもたちとの過ごしを通して人として当たり前なことを深く感じ学ぶことができたと思います。

一方で課題も当然あります。それはもちろん専門性です。

障害のある子の発達は多様です。障害特性や発達段階など非常にケースごとに専門的な知識が必要になると当時強く感じました。今はさらに強く感じています。

私が療育施設での一年を通して考えた課題は、この領域の専門的知識を次年度は本格的に学ぼうと決めました。例えば、言葉を発する前に人はどのような発達過程があるのかなど非常に興味をもちました。また、自分が納得できかつ、現場に活用できる障害児に対する発達理論はあるのかなどの興味もわいてきました。

最初の一年も決して勉強していなかったわけではありませんが、一度、これまでの知識は手放し、現場に合った知識や理論を学び直す必要があると感じていました。それだけ、難しい領域であると現場を経験することで痛感しました。

それ以外にも、子どもたちが楽しめる遊びを考えるということも課題でした。

一年で、多くの遊びや子どもたちへの関わり方を学ぶことができましたが、まだまだ未熟でしたので、より進化・発展したいという気持ちが強くなりました。

これも遊びを通して子どもたちは成長するということを私なりに実感できた経験があってこそだと思います。

そして、こうした課題を他の職員へ発信することも大切だと思いました。療育現場はチームで連携して行う面が強いため、他の人の意見を聞きながら、自分が学んだことや気づきを伝えることも同時に必要だと感じました。

以上が簡単にではありますが、療育施設の最初の一年で学んだことと今後の課題です。

経験からの学びや課題を整理することはとても大切だと思います。

今後もより良い発達理解と発達支援に向けて日々目的意識を持ちながら行動していきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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