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【K-ABCⅡについて】発達障害児支援に役立つ視点

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K-ABCⅡ(ケイエービーシーツー)とは、子ども用カウフマン式の検査組み合わせ第2版になります。

対象年齢は、2歳6ヶ月~18歳11カ月となっています。

K-ABCは、カウフマン夫妻(英国の知能検査研究者)によって作成されたものです。

 

それでは、K-ABCⅡはどのような検査項目から成り立っているのでしょうか?

また、実際の支援の現場においてどのような活かし方があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、K-ABCⅡについて、臨床発達心理士である著者の発達障害児支援の経験も交えながら、検査内容なども含めて理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「熊上崇・星井純子・熊上藤子(2024)WISC-V・KABC-Ⅱ対応版 子どもの心理検査・知能検査 保護者と先生のための100%活用ブック.合同出版.」です。

 

 

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K-ABCⅡの検査内容について

K-ABCⅡの検査内容には大きく、①認知検査と、②習得検査2つから構成されています。

 


それでは次に、この2つについて見ていきます。

 

①認知検査について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

「認知検査」の「認知」とは、学校などで学んだことをどれだけ理解しているかではなく、新たな刺激や状況をどのように処理するかという脳の働きのことです。

 

後述する〝習得検査″が学校での学習の理解度を測る検査であるのに対して、「認知検査」とは、新しい刺激や状況への処理の仕方(〝認知特性″)をはかる検査になっています。

認知特性″とは、外界の情報の処理の仕方のことであり、〝継次処理″と〝同時処理″といった2つの処理の仕方があると考えられています(カウフマンモデルより)。

 

継次処理″とは、外界の情報を一つずつ順番に時間軸によって処理する力のことを言います。

同時処理″とは、外界の視覚的情報を全体的・空間的に処理する力のことを言います。

 

〝継次処理″と〝同時処理″に関する詳細は、以下の記事を参照して頂ければと思います。

関連記事:「【継次処理と同時処理とは何か?その違いは?】認知処理スタイルについて考える

関連記事:「【PASS理論とは?】継次処理と同時処理の認知処理スタイルについて考える

 

 


その他、〝認知特性″で測る検査として〝計画尺度″と〝学習尺度″があります。

 

まずは、〝計画尺度″について見てきます(以下、著書引用)。

物事を予測して推論したり見通したりする能力のことです。簡単に言うと、計画を立てる(見通しをつける)能力のことです。

 

著書の内容から、計画尺度″とは、与えられた問題や自分が置かれた状況に対して、何をしたら良いか予測し、具体的なアクションに向けて計画を立てる力のことを言います。

支援の観点で言えば、〝計画尺度″が苦手な子どもにおいて、先ほど見た〝継次処理″と〝同時処理″のうち、得意な認知特性を活用した具体的な問題・課題の解決策を提示する方法が効果的だと考えられています。

 

 

次に、〝学習尺度″について見ていきます(以下、著書引用)。

新しい物事に対して見たこと聞いたこと(情報)をマッチングさせて、記憶したり、覚えたりする能力のことです。

 

著書の内容から、学習尺度″とは、新奇な情報を効率よく吸収し保持する力のことを言います。

支援の観点で言えば、〝学習尺度″も〝計画尺度″同様に、〝継次処理″と〝同時処理″のうち得意な認知特性を活かした関わり方が効果的だと考えられています。

 

つまり、①認知検査には、〝継次処理″〝同時処理″〝計画尺度″〝学習尺度″の4つがあり、〝計画尺度″と〝学習尺度″の苦手さへの支援方法として、得意な認知特性(〝継次処理″or〝同時処理″)を活かした対応が大切だと言えます。

 

 

②習得検査について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

「認知検査」は、「語彙」「読み」「書き」「算数」から基礎的な学習などの習得に関わる検査です。

 

語彙″とは、語彙の量、意味の理解などを指します。

読み″とは、文字の読みや文章に関する理解度のことを指します。

書き″とは、書字能力(ひらがな・カタカナ・漢字)や文章を構成することを指します。

算数″とは、計算する力(四則演算など)や文章問題を解くことを指します。

 

以上を踏まえると、②習得検査とは、学校で学ぶ基礎的な学習に関する習得度を測る検査だと言えます。

 

 

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著者の経験談

著者は以前、大学でK-ABCⅡの講義を受けて、実際に検査を子どもに実施したことがあります。

K-ABCⅡの長所は、子どもが持つ、〝認知特性″の得意・不得意が理解できること(情報処理過程の仕方の理解)だと言えます。

そして、得意な〝認知特性″を把握していくことで、その力を学習場面に活かしていく方略を見出す手掛かりが得られることにあると言えます。

逆に言えば、学校で習ったことがしっかりと身に付いていない場合には、子どもの〝認知特性″に併せた教育ができていない・不足している可能性があることが考えられます。

著者自身、発達障害児との関わりが多くあるため、彼らの〝認知特性″は定型発達児と比べると、凸凹(偏りがある)傾向が強い子どもたちが多いといった印象があります。

そのため、彼らが効果的に様々な事を学んでいく上で、K-ABCⅡの視点はとても大切だと感じています。

また、K-ABCⅡには、カウフマンモデルとCHC理論の2つの理論モデルから作成された経緯もあり、両方の視点からの解釈も可能になっています。

2つの解釈を行うことで幅の広い理解が可能になります。

 

関連記事:「【CHC理論とは?】知能検査・認知検査と関連性の強い知能理論の重要性について

 

 


以上、【K-ABCⅡについて】発達障害児支援に役立つ視点について見てきました。

K-ABCⅡに関して理論的な背景も含めて理解することがとても大切だと感じていますが、そのためには、深い学びと実践が必要だと言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も心理検査を通して子どもたちの理解を深めていく視点についても学びを深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

熊上崇・星井純子・熊上藤子(2024)WISC-V・KABC-Ⅱ対応版 子どもの心理検査・知能検査 保護者と先生のための100%活用ブック.合同出版.

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