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感覚過敏 自閉症

自閉症の感覚:感覚探求と低登録について考える

投稿日:2020年4月26日 更新日:

療育現場で子どもたちと関わっていると様々な感覚の特徴を見ることがあります。

感覚過敏は聞きなれた用語かもしれませんが、感覚探求・低登録・感覚回避などはあまり聞いたことがない方も多いかと思います。

自閉症の人たちはこうした感覚の問題を抱えているケースが多いとされています。

 

それでは、自閉症の人にはどのような感覚の特徴があるのでしょうか?

 

今回は、感覚に関する用語を説明した上で、自閉症の人によく見られる低登録と感覚探求について、実際に現場で見られた事例を紹介していきます。

 

 

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以下に簡単に用語の説明をします。

 

感覚探求とは

感覚刺激に対する反応が弱いため感覚刺激を求めて対処行動をとることを感覚探求といいます。

例:砂遊びや泥遊びを一度やると止まらない、また、コマのようにクルクルとまわり続けるなど

 

低登録とは

感覚刺激に対する反応が弱いことを低登録といいます。

例:名前を呼んでもなかなか振り向かない、痛みへの反応が鈍いなど

 

感覚過敏とは

大きなもの音を聞いて気分が不安定になるなど感覚刺激に対する反応が強く過剰となる状態を感覚過敏と言います。

 

感覚回避とは

不快な音から離れるなど感覚刺激に対する反応が強くその刺激を回避する行動をとなる状態を感覚回避と言います。

 


感覚過敏と感覚回避などは一般的には感覚過敏と表現されることが多い印象があります。

私の療育経験の中では感覚過敏について話題に上がることが多くありますが、低登録や感覚探求に関してはあまり話題に上がらない印象があります。

これらは、感覚の問題というくくりで説明していることも多いのではないかと思います。

 

 

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それでは、次に事例を紹介していきます。

 

事例紹介

最初に紹介するのは小学生男子A君です。

A君はトランポリン好き、コマのようにクルクル回るなどの行動がよく見られます。

これらの特徴は、先ほど紹介した感覚刺激に対する反応が弱いため感覚刺激を求めて対処行動をとる感覚探求に当たります。

こういった感覚探求を理解しておくことで、A君の理解や対応に違いが出てきます。

例えば、A君は帰りの会などある活動をしている際に急にその場から飛び出して行き、トランポリンを飛ぶことがあります。それはお昼の時間にご飯を食べているときにも起こります。

最初にこの行動を見た私はただ遊びたくてやっているのだと思いましたが、こうした知識を学んでから感覚刺激が不足しそれを求めているのでは?という新たな仮説を立てるようになりました。

こうした仮説を立てることで少し満足のいくまで刺激を入れてもらう、普段の生活の中に感覚遊びを取り入れるなどの視点が少しずつ入ってきたように思います。

次に紹介するのは小学生男子B君です。

B君は名前を呼んでもなかなか振り向いたり返事をすることが少ない、さらに、トントンと肩を叩いて呼び掛けても反応が少ないなどの行動特徴があります。

こういった特徴は、先ほど紹介した感覚刺激に対する反応が弱い低登録に当たります。

そのため、B君は帰り支度など活動の切り替えに時間がかかります。私はこういった特徴があると理解していくことで、B君に対して、できるだけ他の刺激を減らす工夫や、一つの一つやるべき手順を伝えていくなどの対応をしています。

自閉症児には刺激が多い環境にあると様々な刺激に気を取られてしまい、注意すべきことへの注意が向きにくいという特徴があります。なので、室内はできるだけシンプルに構造化することを意識しています。そうすることは声をかけたときの気づきを促すことに繋がります。

他にも、B君は少し強めのマッサージを好みます。刺激が弱いと意識に上がりにくい特徴があるためだと思います。そのため、B君とは時々マッサージごっこをして刺激への意識を高める遊びをしています。

最後に紹介するのは、療育施設で私が担任をしたC君です。

C君は擦り傷やあざができるような怪我をしても反応が少ない低登録や、水や砂遊びに没頭するという感覚探求が見られます。

C君は非常によく動きまわる元気なお子さんで転ぶことが多いため体は傷だらけでした。そのため、我々職員はできるだけ怪我のチェックをしっかりするようにして保護者の方と共有するということを念入りに行いました。

また、水や砂遊びへの没入感も大切にして、C君が好きな遊びを存分にできるように多めに時間をとるなどの対応を継続しました。

感覚が満たされると情緒が整うことが多く、その日の活動が安定することが多かった印象があります。

 


以上から低登録や感覚探求について現場での事例を見てきました。

どれも自閉症のお子さんたちです。

最初はこういった用語の理解はほとんどなく、手探り状態でした。手探りしていきながら、子供たちの行動特徴を考える際に感覚への知識は非常に重要だと思います。感覚への理解を深めることは相手への理解や対応に少なからず良き変化を生じさせます。

今後も感覚への理解を深めていきながら支援のヒントを探っていこうと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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-感覚過敏, 自閉症

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