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行動障害の原因について【行動に至る4つの目的とは?】

投稿日:2022年12月8日 更新日:

行動障害(Challenging Behaviour)とは、自傷や他害、パニックや癇癪、器物破損など、その行動が自他に悪い影響を及ぼすものだとされています。

また、行動障害と強度行動障害とを定義上分類している方もおりますが、今回は、以下の参照資料に基づいて「行動障害」に統一して話を進めていきたいと思います。

 

関連記事:「行動障害と強度行動障害の違いについて-行動障害の背景にあるものとは?-

 

それでは、行動障害の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?

 

そこで、今回は、行動障害の原因について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、行動に至る4つの目的から考えを深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「英国行動障害支援協会(編)清水直治(監訳)ゲラ弘美(編訳)(2015)行動障害の理解と適切行動支援 英国における行動問題への対処アプローチ.ジアース教育新社.」です。

 

 

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行動障害の原因について【行動に至る4つの目的とは?】

行動障害児・者の行動を見ていると、原因がはっきりとわかるものから、突然、衝動的に始まったと感じるものまで様々な行動が見られます。

こうした様々な行動に関しては、著書では以下のような記載があります。

その問題行動が引き起こされる理由がつねに必ずあります。

 

このように行動障害の問題となる行動には必ず理由があるとしています。

そして、理由を考えていくなかで、対応として、「予防的対応」、そして、「機能分析」を上げています。

 

関連記事:「行動障害の対応について【療育経験を通して考える】

 

 


それでは、様々な理由が必ずあると考えられている行動障害の原因をもう少し特定して考えることはできないのでしょうか。

著書の中では、行動に至る4つの目的を取り上げています(以下、著書引用)。

行動障害を表す理由は数多くあげられていますが、そこで共通する機能(目的)は、次の4つに限られます。

 

・注目を得る  ・要求を満たす  ・逃避する  ・感覚刺激を得る

 

著書の内容では、行動障害の原因には、必ず、1.注目を得る、2.要求を満たす、3.逃避する、4.感覚刺激を得る、の4つが見られるとしています。

そして、以上の4つを機能(目的)として、機能分析の際に活用していくという流れを取っています。

 

 


それでは次に、以上の4つについて、著者の経験談も交えながら簡単に説明していきます。

 

 

1.注目を得る

注意獲得、注目行動とは、相手の注意を引く行動のことを言います。

例えば、何か自分がやっていることがうまくいかない、手持ち無沙汰になりやることがなくなった時など、大人の注意を引く(子どもの場合もあります)行動が見られることがよくあります。

著者の療育現場ではとてもよく見られるように思います。

注目行動は、人によっては無視するとその行動が減ると考えている方もおりますが、行動障害や愛着障害などのケースでは無視の対応で、よりエスカレートすることがありますので、行動の背景を抑えていくことが重要になります。

 

 

2.要求を満たす

“お腹が空いた”、“喉が渇いた”など生理的な要求から、○○のおもちゃが欲しい・○○のおもちゃで遊びたいなど物への要求など、要求一つ見ても様々なものがあります。

一般的に人は、自分の要求を次第に言葉で伝えることができるようになります。

一方、行動障害のケースでは、知的障害や自閉症など、もともとの特性などが影響して、言葉で適切に自分の要求を伝えることが難しいことに加え、、要求の伝達方法を問題行動として誤学習してしまったと考えられます。

そのため、適切な伝達手段・方法を再度学習してくことが大切になります。

 

 

3.逃避する

自分が嫌いな活動・嫌いな人・場所など、人は嫌なことがあると逃避する行動を取ることがあります。

知的障害のある人の中には、自分で活動や場所などを選択する、ということが困難なケースがよくあります。

そのため、実際に活動が始まってからトラブルが起きる場合が少なくありません。

著者は、事前に活動場所の写真などを見せて伝える、参加しないことも想定し対応策を考えるような配慮をするように心がけています。

 

 

4.感覚刺激を得る

自閉症や知的障害の多くは感覚の問題が見られます。

感覚からの刺激は一見すると外から見ていてわかりづらいものが多くあります。

著者がこれまで見てきた子の中には、感覚刺激が不足すると好む感覚刺激を求めようと多動なる子もいました。

また、感覚過敏の子どもの中には、日中に多くの感覚情報を取り込みすぎた疲労からフラストレーションを貯め込んで、些細なことでイライラや癇癪を起こす子もいました。

そのため、様々な感覚についての理解、その人が好む感覚・苦手な感覚を把握しておくことも大切だと実感しています。

 

 


以上、行動障害の原因について【行動に至る4つの目的とは?】 について見てきました。

今回取り上げた、行動障害の原因は機能分析によく活用されるものです。

詳細は、今回取り上げた参照文献を読んでいただければと思います。

私自身、まだまだ行動障害への理解は始まったばかりという感じがしていますが、今後もこの領域に対して多くの学びを進めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

英国行動障害支援協会(編)清水直治(監訳)ゲラ弘美(編訳)(2015)行動障害の理解と適切行動支援 英国における行動問題への対処アプローチ.ジアース教育新社.

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