学校の勉強はある程度、平均的な能力に合わせて教材などが作られています。
授業もまた同様に、平均的・標準的な能力の人たちが概ね理解できるように計画・設計されています。
能力でよく聞くのがIQ、つまり、知能指数です。
IQは平均を100としており、多くの人たちがIQ85~115の間にいるようにできています。
こうした平均値からズレる人の多くに発達障害の人たちがおります。
知能指数が教育によって仮に変化するとすれば発達障害児も能力が向上し、学校の授業等を理解できる部分も多くなるかもしれません。
それでは、そもそも知能指数は年齢とともに変化するのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児を対象に知能指数の変化について見ていきたいと思います。
今回参照する資料は「本田秀夫(2022)学校の中の発達障害:「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち.SB新書.」です。
知能指数は変化するのか【発達障害を例に考える】
著書の中では、発達障害児を対象(ASDの人)に知能指数の追跡調査の内容が記載されています。
以下、その結果について著書を引用しながら見ていきます。
調査結果を分析してみると、年齢を重ねることでIQが上がった人は3%でした。変化のなかった人が30%、下がった人が67%でした。
著書の内容から、知能指数は子どもから大人になる間に、変化はあまりないといったことが言えます。
もちろん、もともとの知能指数による違い、障害特性や環境の違い(家庭環境・教育環境など)によっても変化に違いはあると言えます。
一方で、著者がここでお伝えしたかったことは、子どもたちに無理な勉強を強いることで、子どもたちが学ぶことが嫌いになったり、過度なストレスを抱えてしまうことです。
発達障害は生まれ持っての特性ですので、どのようにその障害や特性と付き合いながら社会の中で生きていくのかが大切です。
克服するものではなく、うまく付き合いながら生きていくという考え方が重要です。
こうした点に関連する内容として、著書でも知的障害の例を取り上げています(以下、著書引用)。
この調査結果からも、知的障害の子どもの知能が大人になるまでに上昇することは難しいことがわかります。知的障害の子の学習を考えるときには、知能指数や成績を上げようとするのではなく、その子の状態に合った学習内容や学び方を探ることが重要になります。
学習で大切なことはその子に合った学習方法と環境です。
特に発達障害児においては、教育内容や方法を個別に工夫していくことが重要だとされています。
そのため、知能指数を高めるような考え方ではなく、今、その子の知能レベルに合った学びの内容、そして、苦手な点を補うようなサポートが必要です。
以上、知能指数は変化するのか【発達障害を例に考える】について見てきました。
知能指数は人間が持つ能力の一部であり、全てではありません。
また、仮に高い知能を持っていても、うまく社会に適応できていないケースもまた存在します。
知能指数は、現実の生活の中でその力を発揮してこそ意味があります。
単純に高いか・低いか・上がっているのか、などの指標はそれほど意味がありません。
発達障害児支援の中では、生活内で生じている困り感と知能との関連が結びついていないと、知能という意味の本質を理解したことにはならないと思います。
物事を理解するには様々な能力が必要です。
様々な能力がどのように関連し合いながら、生活の中で、生きていく上で、活用されているのかといった見方をしていくことがより深く人を理解していくことに繋がるのだと思います。
とはいえ、私自身、わからないことだらけですので、まだまだ学びを深めていく必要があります。
学びを深めていく過程に自分の成長を見出し、それが人生や生活の中で活かされることが知能の根底的な役割なのかもしれません。
私自身、まだまだ未熟ですが、今後も指導員かつ心理士として、知能への理解を深めていきながら、より良い発達理解と発達支援を目指していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事:「【IQ(知能指数)の数値は変わるのか?】発達障害児支援の経験を通して考える」
本田秀夫(2022)学校の中の発達障害:「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち.SB新書.