発達障害のある子どもたちにとって過ごしの場がとても大切です。
過ごしの場には、家庭や学校が主にあるかと思いますが、それ以外の第三の場所としての〝サードプレイス″も大切だと考えられています。
それでは、発達障害児にとって大切な〝サードプレイス″には一体どのような価値があるのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児にとって大切な〝サードプレイス″の価値について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「藤野博(2023)自閉症のある子どもへの言語・コミュニケーションの指導と支援.明治図書.」です。
発達障害児にとって大切な〝サードプレイス″の価値
以下、著書を引用しながら見ていきます。
家庭、学校に次ぐ第三の場所、サードプレイスの意義が最近注目されています。無理せずリラックスしてそのままの自分が出せる居心地のよい場所です。興味・関心を分かち合える仲間と出会え、一緒に楽しく過ごせる場所でもあります。
発達障害のある子が、同じ興味・関心をもつ仲間と出会い、楽しい時間を過ごせる場所があることは生活の充実につながると思われます。
発達障害児の余暇支援では、家庭や学校以外の居場所作りが大切だと考えられています。
その理由として、発達障害のある子どもたちは、自分で居場所を見つけたり仲間集団を形成することが難しいケースが少なくないからです。
〝サードプレイス″といった家庭や学校以外の居場所があることで、生活の充実度も高まることが考えられます。
人は複数のコミュニティに所属することで生活が豊かになると言われています。
〝サードプレイス″を作る際に大切な視点は、子どもの興味関心を理解した関わりからコミュニティを形成していくということです。
例えば、鉄道好きな子どもの場合であれば鉄道研究会、ゲーム好きな子どもの場合であればゲームを通して集団を形成していくという感じです。
自閉症の子どもたちなどは、特に興味関心の偏りが強いため、ある特定の領域において、知識が豊富なことがあります。
そのため、こうした発達特性を踏まえた集団作り(仲間作り)が重要だと言えます。
著者の経験談
著者が勤める放課後等デイサービスもまた家庭や学校以外の第三の居場所として〝サードプレイス″の役割があると言えます。
放課後等デイサービスで安心し楽しく活動する子どもたちの様子を見ると〝サードプレイス″としての価値を感じます。
子どもたちは、〝仲間と繋がりたい″〝興味関心を誰かと分かち合いたい″といった思いを持っているケースが多く見受けられます。
放課後等デイサービスでは、様々な学校の異なる年齢の子どもたちが集まってきます。
そのため、学校以外での出会いの場としても重要な役割があります。
放課後等デイサービスに来たからこそ大切な仲間と出会えた、興味関心を共有できる仲間ができた、異年齢集団の中で先輩から様々な遊びを教えてもらい逆に後輩に様々な遊びを教えたなど、通所してくる子どもたちの様子から日に日に〝サードプレイス″としての価値を感じる機会が増えてきました。
〝サードプレイス″の環境作りとして著者が大切にしていることは複数ありますが、その中でも特に重要視しているものが以下になります。
・安心できる雰囲気づくり(信頼できる大人)
・子どもたちの発達特性の理解
・子どもたちの興味関心の把握と創出
・特性に配慮した環境づくり(構造化など)
・保護者や学校との連携
以上の視点はすべて大切だと感じています。
どれかが欠けてしまうと支援がうまくいかないことが多くあります。
そして、〝サードプレイス″を作っていく中で著者がモチベーションとなっていることは〝子どもたちが楽しみにきている姿″です!
逆に言えば、〝また来たくなる事業所を作る″ということが着眼点として重要だと思います。
以上、発達障害児にとって大切な〝サードプレイス″の価値について考えるについて見てきました。
発達障害児に関わらず私たちは様々なコミュニティに所属することで生活の質が高っていきます。
その中で発達障害児には特に周囲の大人が〝サードプレイス″といったコミュニティを作る(あるいは参加を促す)という視点が重要です(理由はこれまで見てきた通りです)。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も子どもたちが安心して楽しく過ごせる事業所を目指して日々取り組んでいきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事:「発達障害への支援-コミュニティ支援・ネスティングの視点から考える-」
藤野博(2023)自閉症のある子どもへの言語・コミュニケーションの指導と支援.明治図書.