発達障害のアセスメントには様々なものがあります。
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アセスメントとは、評価・査定のことです。
アセスメントをすることの意義は、対象者をより深く理解し、より良い支援に繋げていくために行うことにあります。
それでは、発達障害のアセスメントで大切なことにはどのようなものがあるのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害のアセスメントで大切なこととして、情報共有とブラックボックスの理解の重要性から考えを深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「市川宏伸(編著)(2014)ハンディシリーズ 発達障害支援・特別支援教育ナビ 発達障害の「本当の理解」とは ー医学、心理、教育、当事者、それぞれの視点.金子書房.」です。
発達障害のアセスメントで大切なこと【情報共有とブラックボックスの理解の重要性】
発達障害のアセスメントで大切なことは多くありますが、その中でも今回は、1.情報共有の重要性、2.ブラックボックスの理解の重要性、の2点についてお伝えしていきます。
1.情報共有の重要性
以下、著書を引用しながら見ていきます。
それは「支援につながるその人の大切な理解を多くの人と共有する」ためである。
アセスメントで大切なことは、対象者の理解を深め、結果を支援に繋げていくことです。
アセスメントには、客観性が求められます。
つまり、実施する人によってアセスメント結果が大きく異なるのであれば、客観性はなくなってしまいます。
客観性を高めていくためには、信頼性や妥当性のあるアセスメントツールを使用する必要があります。
一方で、データに載りにくい主観性なども行動観察などでは大切です。
行動観察から客観性を高めていく方法もあります。
関連記事:「療育現場での体験を客観化する方法-間主観性・相互主体性・エピソード記述から-」
客観性と主観性の双方を大切にしていきながら、対象者の状態像をより深く理解していくことがアセスメントには重要だと言えます。
そして、著書にあるように、アセスメント内容を支援に携わる人や保護者など(当事者が大人の場合には本人も含め)と情報共有をしていくことが重要です。
支援を実施していく情報共有の基盤がアセスメントとも言えるため、何を目指していけば良いのか?どういった方向に向けて進んでいけば良いのか?という共通認識についてアセスメントを通じて行っていくことが大切だと言えます。
2.ブラックボックスの理解の重要性
以下、著書を引用しながら見ていきます。
つまり、困っていることの中身の一部は「わからない・理解できない」ということである。心理アセスメントとは、まさにこの「わからなさ」に光を当てて正しい理解を手に入れることに他ならない。
著書にあるようにアセスメントの意義は、ブラックボックスとなっていることへの理解、つまり、対象者の〝わからなさ″を理解することでもあります。
ブラックボックスとは、例えば、普段の生活で困り感があるがその正体がわからない、得意なこと・強みになりそうなことがあるがそれに気づいていない、などが考えられます。
こうした〝わからなさ″、つまり、ブラックボックスとなっているところに光を当てる作業がアセスメントでは重要だと言えます。
そのため、アセスメント実施者は、様々な検査から何がわかるのかを熟知しておく必要がありますし、それと同時に、検査の限界なども理解していく必要があります。
以上、発達障害のアセスメントで大切なこと【情報共有とブラックボックスの理解の重要性】について見てきました。
著者は心理士でもあるため、これまで大学や研修などで心理検査の勉強を重ねてきていますが、学びを深めていくたびに、検査による客観性の裏づけや、情報共有の大切さ、そして、ブラックボックスへの理解など、様々な発見があります。
そして、こうした知見が、間接的ではありますが、療育現場での直接支援に活きてくることもあるという実感があります。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後もアセスメントの大切さをより深く理解していきながら、より良い支援に繋げていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
市川宏伸(編著)(2014)ハンディシリーズ 発達障害支援・特別支援教育ナビ 発達障害の「本当の理解」とは ー医学、心理、教育、当事者、それぞれの視点.金子書房.