発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

ADHD 発達障害

発達障害という概念を知ることの大切さ:ADHDを例に考える

投稿日:2020年6月12日 更新日:

自閉症、ADHD、学習障害、発達性協調運動障害などのことを発達障害と言います。

自閉症は対人関係やコミュニケーションに困難さを有するもので、ADHDは不注意・多動性・衝動性などを主な特徴としています。

学習障害は「読み」「書き」「計算」など学習の困難さを特徴としており、発達性協調運動障害は、運動の困難さを特徴としています。

最近は発達障害関連の書籍など豊富に出版されており、発達障害について多くの情報を目にすることができるようになりました。

私自身、これらの発達障害について実際に当事者の方と接してみてその特徴や困難さを知ることができたと思っています。

今回は、発達障害を知るとはどういうことなのか私のこれまでの経験を踏まえてお伝えしていこうと思います。その中で今回は、ADHDについて取り上げてお伝えしていきます。

ADHD(注意欠如・多動性)とは、注意の持続の困難さである不注意、落ち着きのなさである多動性、考える前に行動するなどの衝動性を特徴としています。

私が最初にADHDについて知ったのは確か学生時代だったかと思います。

当時は今ほど発達障害への理解が進んでいなく、ADHDの書籍などが少なかったです。

当時の私はADHDについて、書籍を通して理解していました。理解したというよりかはしたつもりになっていました。

その名称から自分の中で勝手に“落ち着きのない人”をイメージしていました。

最初にADHDの方(診断あり)と関わったのは、学生時代の実習先でした。小学生だったA君の特徴は、なんでも思ったことを口にしてしまう、エネルギッシュで急にエンジンが入るなどの様子がありました。

だた、実習先は時間も毎回1時間程度(実施の時間)で少人数を対象としたSST(ソーシャルスキルトレーニング)でしたので、ADHDの特徴はあまり目立っていなかったと思います。

また、当時読んでいた書籍から、「ADHDは大人になると目立たなくなる」「不注意は残るが多動性・衝動性は落ち着く」などと書かれており(うろ覚えですが)、その困難さを実感することが私としては難しかったように思います。

ですが、その後、自分の周りに思いのほかADHD特性のある人たちが多いことに気がつきました!

その中には、診断を受けた方もいますし、その疑いという方もいます。また、少しその特性があるという程度の方もいます。

ADHDの状態像も多様だと感じます。不注意優勢型から多動・衝動優勢型、そして、両方の特性が見られる混合型まであり、その特性の程度も人により異なります。

不注意優勢型の方は、どちらかというと静かな方も多く、その名称から、連想しにくいといったタイプの方もいます。

ですので、学生時代に私が連想した“落ち着きのない人”ばかりではないということ、そして、不注意は大人なっても残ることは多いが、その困難さが見えにくということがあります。

私は、子どものADHD(ADHDの疑いも含む)と大人のADHDの方と比較的最近関わりが増えてきたことで、その困難さを理解できるようになってきました(まだまだ未熟ではありますが)。

子どものケースで目立つのは、とにかく落ち着きがない、片付けが苦手(大人にもあります)、順番が待てない、他児とのトラブルが多い、忘れ物が多いなどの特徴があります。

大人のケースで目立つのは、不注意です。何かに注意を向け続けたりすることが難しく、少しの刺激で他に注意が向いてしまうことがあります。

また、マルチタスクが苦手で複数のことを同時にこなすことが苦手です。その他、段取りを立てて行動したり、片付けなども苦手とされています。

こうしたADHDの方の中には、知能が高い方も多く、一見すると普通と見られたり、むしろ能力が高いと見られることも多いかと思います。

実際に、その特性を発揮して社会の中で活躍されている人たちも多くいます。一方で、特性とうまく付き合うことができずに苦労されている人たちも多くいるのが事実です。

先の子どもと大人のケースは、一見すると性格など軽いものと見られてしまう場合があります。また、何か問題を起こすなど困った人と見られてしまうこともあります。

重要なポイントは当事者感です。

彼らは定型発達の人が少しの努力や練習などで対処できているものを、長い年月をかけて解決方法を考えたり、うまくいかずに悩んでいることが多く、こうした感覚を知ることが重要だと思います。

そのためには、様々な当事者の方と関わってみることや、実際に一緒に作業することで見えてくることが多くあります。

私も彼らの特性や苦労を理解するのにだいぶ時間を要したと思います(まだまだ理解不足の点は多くあります)。

思い起こすと学生の頃に漠然と理解していたことが、今は実感を伴った理解ができるようになってきました。

人を理解するには実際の関わりが重要です。その時に、自分なりの解釈で直ぐに完結せずに、相手の困り感に耳を傾け考え続けることが重要だと思います。

今後も自分の思い込みを疑う姿勢を持ちながら、現場でできることを私なりに考え実行していきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

-ADHD, 発達障害

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

発達支援の現場で大変な子供に関わり続けることの意味

発達障害など、発達につまずきのある子供たちへの理解と支援は個々に応じて非常に多様であると現場での経験を通して感じます。 その中で特に難しい子供は、関係性の構築が難しい、多動・衝動性が高く落ち着きがなく …

発達障害との出会い:その概念との出会いから考えたこと

今回は私が発達障害の領域に関心を持ったきっかけとその後の経緯について簡単に触れたいと思います。 私がまだ20歳前の頃、当時、高校へ進学したばかりの弟がいましたが、この頃に弟が発達障害の診断を受けました …

【社会性への支援②】発達障害児支援の現場を通して考える

〝社会性″とは、様々な定義や表現があるかと思いますが、一つ定義を取り上げると、〝人とある対象を共有し、その共有体験を楽しむといった共同行為″だと言えます。 著者は、発達障害など発達に躓きのある子どもた …

なぜADHDの症状が起こるのか?三重経路モデルからその意味を考える

ADHD(注意欠如多動症)は、不注意、多動性、衝動性を特徴とした発達障害です。 今回は、ADHDの症状がなぜ起こるのかについて「三重経路モデル」といった説に焦点を当ててお話していきながら、私の身近なA …

発達障害の二次障害について:ADHDを例に考える

発達障害の人たちを支援するにあたって二次障害の予防は非常に重要になってきます。 二次障害とはそもそもASDやADHDなどの一次障害に何らかのストレスが加わりそれによってうつ病や不安障害、行為障害などと …