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【発達障害「グレーゾーン」の生きづらさ】理解や支援を受けにくい現状を通して考える

投稿日:2022年7月10日 更新日:

 

発達障害には、ASDやADHD、LDなどが主なものとしてあります。

一方、発達障害とまでは診断されずとも、発達障害の傾向があり、なおかつ、適応障害を有している人たちのことを「グレーゾーン」と言います。

 

関連記事:「【発達障害「グレーゾーン」と適応障害の関連について】療育経験を通して考える

 

発達障害というと、発達特性が顕著にあり、社会生活を送る上での困難さが見られるため、「グレーゾーン」よりも生きづらい印象を持つ方もいるかもしれません。

一方で、「グレーゾーン」は、実際には分かりにくさなどから生きづらさを抱えている方も多くいます。

もちろん、最近の障害の概念はスペクトラムが主流ですので、どこかでわけたり、比較するものではなく、個々に応じて状態像や苦労などに違いがあります。

それでも、「グレーゾーン」といった言葉が出てきているのは、ポジティブな視点で考えれば、障害の概念が広がってきており(診断名ではありませんが)、様々な生きにくさが社会の中で可視化されていることの現れであると言えます。

 

それでは、発達障害「グレーゾーン」には、どのような生きづらさの現状があると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害「グレーゾーン」の生きづらさについて、理解や支援を受けにくい現状を通して理解を深めていきたいと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

今回、参照する資料は「岡田尊司(2022)発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法.SB新書.」です。

 

 

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「グレーゾーン」の生きづらさについて

以下、著書を引用します。

グレーゾーンの人は、障害レベルの人と比べて生きづらさが弱まるどころか、ときには、より深刻な困難を抱えやすいということだ。

障害レベルでないため、特別な配慮や支援もなく、難しい課題にも取り組むことが求められるし、健常者と対等に競わされる立場にも置かれやすい。

 

「グレーゾーン」は決して様子を見ればいい状態ではなく、細やかな注意と適切なサポートが必要な状態で、それが与えられるかどうかが命運を左右するということを肝に銘じたい。

 

著書の内容から、「グレーゾーン」は発達障害など障害レベルの人たちからみても、生きづらさを軽視できないどころか深刻な状況に陥りやすいといったことが記載されています。

そして、適切な理解やサポートの必要性も合わせて言及されています。

障害レベルであれば、医療や教育、福祉のサポートを受けれます。そして、周囲からの理解や援助を受けやすい環境を整えることができます。

一方、「グレーゾーン」の人は、定型の人と比べてもそれほど差異がないように見えますので、本人が努力を強いられることも多くあります。

本人もまた、少しの違いだと、自分の努力が足りないなど原因を自分の独力不足のせいに帰属してしまう可能性があります。

こうした状況にあると、周囲からの理解やサポートは限りなく得にくい状態になり、周囲からの理解やサポートが無い状態が長期化することで二次障害へと繋がる可能性も高まることが予想されます。

そのため、「グレーゾーン」という概念が社会の中に認識され、適切な理解や支援が受けられるようになっていくことは大切だと言えます。

 


少し過去を遡ると、発達障害という概念自体、ここ10~20年で急速に広がり、医療や教育、福祉などの領域で様々なサポートを受けることが可能になりました。

著者が大学で心理学を学んでいた頃には、発達障害といった概念が自閉症を中心に認識され始めている頃でした。

当時を振り返ると、今では顕著に障害レベルであり、生きづらさを抱えている人たちも、同一の教育を受けたり、福祉や医療のサポートなく生活していたのだと改めて考えさせられます。

それを思うと、一人ひとりの生きづらさに寄り添い、それを社会課題の枠の中で考えていくことはとても大切なことなのだと考えます。

発達障害「グレーゾーン」の人たちに対して、今後も社会の中で理解や支援が進み、一人ひとりの生きづらさが解決されるような社会や教育に少しでも携わっていけるように、私自身、療育の現場から一人ひとりの生きづらさや良さを見つけサポートしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 


発達障害「グレーゾーン」に関するお勧め書籍紹介

関連記事:「発達障害「グレーゾーン」に関するおすすめ本【初級編】

 

 

岡田尊司(2022)発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法.SB新書.

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