発達特性という言葉は、教育や福祉、医療現場などで、発達障害を理解するものとして使用される頻度が高まってきています。
発達障害には、自閉症(自閉症スペクトラム障害:ASD)や注意欠如/多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、発達性協調運動障害(DCD)などがあります。
特に最近は、自閉症やADHDの理解が非常に高まってきています。
これらの障害は、すべてスペクトラムといった境界線を引くことのできないという概念が定着されるようになってきています。ですので、例えば、自閉症といっても、正式に診断を受けた方から、自閉傾向のある人、自閉症っぽい人、グレーゾーンなど、様々な用語が使われます。
私たちは、すべてスペクトラムの中にいますので、スペクトラムの幅を広げていくと必ずどこかで該当することになります。
こうした背景を踏まえて、発達特性とはどういったものであるのかを考えていきたいと思います。
私自身、療育現場で長年勤務していると、現場で「○○の発達特性がある人」「○○の特性が強い人」「○○特性が見られる人」などといった言葉を職員間で頻繁にかわします。
ここの中の○○という中に、様々な発達特性(障害特性)が入ります。以下に、発達特性の例を記載します。
発達特性について
自閉症(自閉スペクトラム障害:ASD)の場合➢ASDの特性
場の空気を読むことが苦手、相手の意図の理解が苦手、一方的な会話が多い、こだわりがみられるなど
注意欠如/多動性障害(ADHD)の場合➢ADHDの特性
落ち着きがない、順番やルールを守るのが苦手、計画を立てて物事に取り組むのが苦手、相手が話している時に話を遮って話を始めることが多いなど
学習障害(LD)の場合➢LDの特性
全般的な知的に遅れはないが、読むのが苦手、書くのが苦手、計算が苦手など
発達性協調運動障害(DCD)の場合➢DCDの特性
走ることや球技などが苦手、スキップができない、ハサミや箸など道具の使用が難しいなど
以上が、それぞれの障害についての特性になります。
上記のそれぞれの特性は、併存する場合もあるため、一つだけはっきりと見れるケースもあれば、ある特性が強く、他の特性が弱くみられるなど、様々パターンがあります。
ここで、書いたものは社会の中でネガティブに働くものを中心に書きましたが、発達特性は、時にはポジティブに働くこともあります。
例えば、自閉症の場合だと、一つの物事に非常に長く集中する能力があったり、ADHDの場合だと、行動力があり、様々なことに挑戦する人たちも多くいます。
また、適切な理解と支援、そして、配慮を受けることで、特性の問題が軽減したり、改善することもあります。
現場に限らず私の周りでも、「○○特性のある人」という言葉は、以前よりも少しずつ耳にすることが増えてきました。
その背景には、診断はついていないが特性からくる困り感がある人、知的に遅れはないが社会の中で困り感がある人たちが増えてきたためだと考えられます。また、社会環境や労働環境などの変化もあるかと思います。
私の周りには、普通学級にいながらも特性上の困り感が見られる人、一般の会社に勤めていながらも特性上うまくいかない人など、様々なケースを実際に見たり、耳にすることが増えてきました。
こうした人と会うと、「まさかこの人が!」と感じるほどしっかりしていたり、優秀だったりもします(逆にその力を発揮している人もいます)。
だからこそ、気づかれにくい、生きにくい、そして、本人の努力不足の問題だと言われてしまうことがあるのだと感じます。
私自身、今後、こうした発達特性への理解を現場の体験なども踏めてより深く理解していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。