発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

発達特性 発達障害

【発達特性の理解について】発達障害児・者支援の経験を踏まえて考える

投稿日:2020年9月16日 更新日:

発達特性”という言葉は、教育や福祉、医療現場などで、発達障害を理解するものとして使用される頻度が高まってきています。

発達障害には、自閉症(自閉症スペクトラム障害:ASD)や注意欠如/多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、発達性協調運動障害(DCD)などがあります。

特に最近は、自閉症やADHDの理解が非常に高まってきています。

これらの障害は、すべてスペクトラムといった境界線を引くことのできないという概念が定着されるようになってきています。

そのため、例えば、自閉症といっても、正式に診断を受けた人から、自閉傾向のある人、自閉症っぽい人、グレーゾーンなど、様々な用語が使われています。

私たちは、すべてスペクトラムの中にいますので、スペクトラムの幅を広げていくと必ずどこかに該当することになります。

 

こうした背景を踏まえて、発達特性とはどういったものであるのかを考えていきたいと思います。

私自身、療育現場で長年勤務をしていると、現場で「○○の発達特性がある人」「○○の特性が強い人」「○○特性が見られる人」などといった言葉を職員間で頻繁にかわします。

ここの中の○○という中に、様々な発達特性(障害特性)が入ります。

以下に、発達特性の例を記載します。

 

 

スポンサーリンク

 

 

発達特性について

自閉症(自閉スペクトラム障害:ASD)の場合➢ASDの特性

場の空気を読むことが苦手、相手の意図の理解が苦手、一方的な会話が多い、こだわりがみられるなど

注意欠如/多動性障害(ADHD)の場合➢ADHDの特性

落ち着きがない、順番やルールを守るのが苦手、計画を立てて物事に取り組むのが苦手、相手が話している時に話を遮って話を始めることが多いなど

学習障害(LD)の場合➢LDの特性

全般的な知的に遅れはないが、読むのが苦手、書くのが苦手、計算が苦手など

発達性協調運動障害(DCD)の場合➢DCDの特性

走ることや球技などが苦手、スキップができない、ハサミや箸など道具の使用が難しいなど

 

 


以上が、それぞれの障害についての特性になります。

上記のそれぞれの特性は、併存する場合もあるため、一つだけはっきりと見れるケースもあれば、ある特性が強く、他の特性が弱くみられるなど、様々パターンがあります。

ここで、書いたものは社会の中でネガティブに働くものを中心に書きましたが、発達特性は、時にはポジティブに働くこともあります。

例えば、自閉症の場合だと、一つの物事に非常に長く集中する能力があったり、ADHDの場合だと、行動力があり、様々なことに挑戦する人たちも多くいます。

また、適切な理解と支援、そして、配慮を受けることで、特性の問題が軽減したり、改善することもあります。

現場に限らず私の周りでも、「○○特性のある人」という言葉は、以前よりも少しずつ耳にすることが増えてきました。

その背景には、診断はついていないが特性からくる困り感がある人、知的に遅れはないが社会の中で困り感がある人たちが増えてきたためだと考えられます。また、社会環境や労働環境などの変化もあるかと思います。

私の周りには、普通学級にいながらも特性上の困り感が見られる人、一般の会社に勤めていながらも特性上うまくいかない人など、様々なケースを実際に見たり、耳にすることが増えてきました。

こうした人と会うと、「まさかこの人が!」と感じるほどしっかりしていたり、優秀だったりもします(逆にその力を発揮している人もいます)。

だからこそ、気づかれにくい、生きにくい、そして、本人の努力不足の問題だと言われてしまうことがあるのだと感じます。

私自身、今後、こうした発達特性への理解を現場の体験なども踏めてより深く理解していきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

関連記事:「神経発達症/神経発達障害とは何か?DSM-5を通して理解を深める

 

スポンサーリンク

-発達特性, 発達障害

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【友達との関わり方が苦手な発達障害児への対応】応用行動分析学の視点を通して考える

発達障害児は、発達特性や未学習・誤学習などが影響して正しい行動を学んでいない・学ぶ機会がない場合あります。 正しい行動を学習していくためには、困り感や問題行動などの背景要因を分析し、どのような対応をし …

【子育てにおける上手な〝叱り方″とは?】発達障害児支援の現場を通して考える

子育てにおいて上手な〝褒め方″があると同時に、上手な〝叱り方″もあります。 著者も発達障害児支援の現場を通して、子どもとの関わり方がうまいスタッフには褒める・叱るスキルが高いことが特徴してあるように思 …

ウェクスラー式知能検査とは【発達障害の理解と支援で役立つ視点】

知能検査で有名なものに、「ウェクスラー式知能検査(WISC:ウィスク)」があります。 著者は長年療育現場で発達障害児・者の支援に携わってきていますが、知能検査によって得られる理解も多くあるように思いま …

発達障害の治療について-理解と共感から考える-

発達障害の治療には様々なものがあります。 治療する上で重要なのが問題を見極めることです。 そして、その問題が生物学的要因か?心理学的要因か?社会的要因か?を見分けることがその後の治療(支援)においてと …

【発達障害児の〝問題行動″の分析の仕方について】療育経験を通して考える

療育(発達支援)現場では、子どもたちが見せる様々な〝問題行動″への対応に迫られることがあります。 〝問題行動″の対応としてまずは情報を収集すること、〝測定″することが必要です。   関連記事 …