私が以前勤めていた療育施設には、広い教室や材料倉庫といって療育に必要な材料がたくさん置いてあるなど、非常に環境としては充実していました。
こうした環境の中では、ダイナミックに体を動かしたり、感触遊びを思いっきりやって遊ぶなどその環境だからできる遊びがたくさんありました。
そこで今回はこうした環境を十分に活用した遊びの一つでもある「絵の具遊び」について取り組み内容などについてお伝えしていこうと思います。
「絵の具遊び」は多くの方が、保育園や幼稚園、そして、小学校の頃にやったものかと思います。
私がいた療育現場でも人気の遊びの一つでした。人気の要因としては、色がカラフルではっきりしている、触った感触が面白い、塗った結果色が付くなど行為と結果がわかりやすなど、様々かと思います。
まずは「絵の具遊び」に使用した準備物と、子どもたちの様子についてお伝えします。
まずは、絵の具ですが、色は青・赤・黄・緑などはっきりした色を使いました。こうした馴染みのある色の方が子どもたちの注意を引きやすい印象があります。そして、絵の具は、色別に大きめの容器に入れます。絵の具には水を入れすぎずに、少しドロドロ状にしたものの方が、色がしっかりと紙に付くので良いと感じますが、子どもたちの好みに合わせて足すなどの調整が必要かと思います。
あとは、筆と大きめの白の紙です。紙に関しては、紙がずれることがあるので、テーブルに軽くテープなどでとめておきました。
このように準備物は少ないのですが、服や床が汚れるため、新聞紙をしき、子どもたちにスモッグを着せたりなどの準備も必要です。何より、後片付けのフォーメーション(誰が何を担当して片付けるか)なども考えました。
子どもたちの中には、筆を握る・操作するなどの細かい手の動きを苦手とする子もいましたので、そういった子には手で感触を感じながら色を付けてもらいました。
筆を使って上手に描ける子もおり、回数を重ねることで何か模様や形のようなものを描くまでに成長した子もいました。また、活動の前半は筆を使って(大人がモデルを見せるなど)描いていた子が、途中からダイナミックに手を使って描くなど、個々に応じて非常に違いがありました。
重度の子どもでも、感触遊びの要領で触って楽しむ、紙に触れることで色が付くなど変化を楽しむことができるので、クラスの多くの子どもたちが楽しんでいた印象があります。
注意点として、口に入れようとする子もいますので、紙に書くように促すことが必要です。
次に、「絵の具遊び」を実際に取り組んだ環境設定と、その時の子どもたちの様子についてお伝えします。
まずは、①定番なのがテーブルで行うもので、その時の様子が前述したものになります。
また、②床を利用してもやりました。特に夏場に水遊びと合わせて行い、前半にクラスの床で絵の具遊びをダイナミックにやり、後半に園庭や中庭などで、体についた絵の具を流してそのまま水遊びをするという展開が多かったかと思います。
床でやるときには、手や筆だけではなく、足を使って足跡を付ける遊びも行いました。そのため、白い紙をクラスの端から端まで広めにしくなど、室内をフルで活用し、子どもたちが歩いて自分の足跡を付ける楽しさを感じてもらいました。
子どもたちも夢中で色をつけ、その後の水遊びも併せて行うと遊びの充実度も倍増し、午前中で疲れ果てて午後はゆっくりという子どもも多かったです。
それ以外にも、少し難易度は高めですが、③窓や壁に紙を貼り、椅子に座って描くという「絵の具遊び」もしました。水平に書くテーブルに対して、垂直に描くものです。
実際にお絵描きや文字を書くときには、水平より垂直や角度をつけた方が描きやすいという人もいます。
最初にやったときには、“試しに”という感じでしたが、実際に窓や壁に紙を貼り、垂直面を利用した方が集中して描く子もいました!
以上、「絵の具遊び」について、準備物や環境設定、そして、子どもたちの様子を見てきました。
こうして描いたももの中には、作品として良くできた所を保護者の方にお渡ししたり、クラスや廊下の装飾に活用したりもしました。また、園の行事等で装飾の材料が必要になるときにも活躍します。
「絵の具遊び」は、お絵描きという要素もありながらも、感触遊びという要素もあります。ですので、非常に多様な子どもたちが楽しめるものかと思います。そして、環境設定次第でもその楽しみ方を広げることができると実感します。
今後も多様な子どもたちへの遊びのニーズを満たせるような工夫や配慮を考えていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。