
療育の成果について、どのような働きかけが成果に繋がったのかを特定することは難しいことです。
まず、何を持って成果と言えるのか、そして、成果には様々な要因が絡んでいるからだと言えます。
さらに、成果(変化)にも、短期のものと長期のものなど時間軸の捉えの違いによって見えてくるもの、内容が異なります。
そこで、今回は、私自身の放課後等デイサービスでの長期の子どもたちとの関わりからポジティブな変化が見られた例を短期・長期の視点から以下に2事例を簡単に紹介したいと思います。
※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。
今回は自閉症スペクトラム症のこだわり行動を例に取り、その変化を記載していこうと思います。今回の事例を取り上げるにあたり、参考になると思われる記事を次に記載(「自閉症児のこだわり行動についてその意味を考える」、「自閉症児の見通しについて:発達的な視点からその意味を考える」、「自閉症児と合意をとることの意味について考える」)しますので、興味のある方はぜひ参照していただければと思います。
療育の成果について-こだわり行動について-
Aさんの事例→こだわり行動が変化してきた例
Aさんは当時小学校中学年であり、ASD(自閉症スペクトラム障害)の特性があるお子さんです。
Aさんは私が所属している放課後等デイサービスを小学校低学年の頃から利用しており、その頃は、帰りの順番で一番が良いというこだわり行動が強くありました。
我々スタッフは、Aさんのこだわり行動に対して、できるだけ配慮を行ってきました。しかし、どうしても配慮できない要素も出てきます。
例えば、他児が「なんでいつもAさんが一番!ずるい!」など、他児とトラブルになることもありました。
こうしたトラブルに対して、事前に見通しを伝えながら対応してきました。例えば、活動前に(あるいは前日に)、今日は帰りの順番が2番目、明日は1番目など、できるだけ急な予定の変更を避けるように事前の伝えを大切にしてきました。
小学校中学年になったAさんは、「帰り一番じゃなくても良い」、「○○君が一番でいいよ」など、これまでこだわってきた行動に変化・柔軟性が出てきました。
こうした行動の変化もAさんの成長と我々スタッフがAさんの特性を理解し配慮を継続してきた結果かと思います。
Bさんの事例→こだわり行動が変化してきた例
BさんもAさんと同様にASDの特性があり、当時小学校中学年で、私が所属している放課後等デイサービスを小学校低学年の頃から利用しているお子さんです。
Bさんのこだわりは、お気に入りのアイテムを常に持って放デイ内を動きまわるというもので、そのアイテムが必ずいつも同じものでした。そのため、いつも放デイに着くと他児が使う前に足早にそのアイテムを取りに行きます。
こうした物へのこだわりがあるため、物をめぐってトラブルになることがあります。例えば、他児から「なんでいつもBさんが○○を使っているの?僕も使いたい?」といった感じです。
我々スタッフは、Bさんにみんなが使うおもちゃであるため、今日は貸してあげようと提案するも、急な変更が苦手なBさんは絶対に譲ることができません。
そのため、月曜日はBさんの番、火曜日はCさんの番というように事前に使える日を提案し、当日も早めに提案した内容を再度伝えました。ちなみに、この提案にBさんは合意しました。
翌日、Bさんは、普段使っているアイテムとは違うものを自分で選択することができました。
こうした結果を踏まえて、改めて急な変更ではなく、事前の提案と合意が必要であると感じました。
以上、療育の成果について-こだわり行動について-見てきました。
ASDのこだわり行動は、成長と共にその内容が変化するとも言われますが、何かにこだわる行動じたいがなくなるわけではありません。
こうした特性を踏まえた配慮を怠ることなく、中長期的なスパンで子どもたちの生活に寄り添うことが大切かと思います。
今後も子どもたちの発達特性への理解を深めながら、より良い支援ができるよう日々の実践を大切にしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
療育実践で参考になる書籍一覧に関する記事を以下に載せます。
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