発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

ADHD 療育

療育で大切な視点—ADHD児への基本対応について-

投稿日:2022年5月3日 更新日:

ADHD(注意欠如/多動性)とは、多動性・衝動性・不注意を主な特徴としています。

ADHDにも多動性・衝動性が強くでるタイプ、不注意が強くでるタイプ、両者の特徴が混ざっている混合型など様々なタイプがあります。

また、ADHDや自閉症など様々な発達障害は連続体(スペクトラム)であり、他の発達障害との併存も多くあるため、状態像も多様です。

 

こうした多様な状態がある中で、ADHD児への対応で基本とする考え方があります。

著者は長年、療育現場で発達に躓きのある子どもたちと関わってきていますが、その中に、ADHDの子どももおります。

 

それでは、ADHD児に対して、基本となる対応にはどのようなものがあるのでしょうか?

 

そこで、今回は、療育で大切な視点としてのADHD児への基本対応について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきます。

 

 

今回参照する資料は、「司馬理英子(2020)最新版 真っ先に読むADHDの本:落ち着きがない、忘れ物が多い、待つのが苦手な子のために.主婦の友社.」です。

 

 

スポンサーリンク

 

 

療育で大切な視点:ADHD児への基本対応について

著者の中では以下の5つの基本対応が記載されています(以下、著書引用)。

作戦① 注意する回数を減らす

作戦② 目標を決める

作戦③ スケジュールを決める

作戦④ ごほうび制でやる気を引き出す

作戦⑤ 成功体験で自己肯定感を育てる

 

 


それでは、5つそれぞれについて、著者の体験談や意見なども交えて見ていきます。

 

作戦① 注意する回数を減らす

ADHD児はその発達特性から、集団から逸脱する行動、ルールを逸脱する行動が目立つことがあります。

もちろん、こうした特性は裏を返すと強みにもなりますが、一方で叱責される可能性も高めてしまいます。

ADHD児への対応でやってはいけない対応の代表として、叱責を繰り返すことがあります。

著者もこれまでのADHD児との関わりで、非常に自分に自信のないお子さんたちが多くおりました。

まずは、注意や叱責を減らし、子どもの良いところに目を向けていく必要があります。

 

関連記事:「ADHD児への療育の大切さ-不適切な関わりをやめるだけで子どもは変わる-

 

作戦② 目標を決める

単純な目標から始めると良いです。ADHD児は注意を持続することが難しく、他のことに興味や関心が移ってしまうことが多くあります。

しかし、興味あることやわかりやすい明確な目標があると、高い集中力と行動力を発揮することがあります。

著者も、例えば片付けなどすぐにできるところ、短い時間でできるところから、スタートするとうまくいくことがあります。

例えば、よくやる片付けに遊びを取り入れることがあります。大人とどちらが多く物を片付けることができたか勝負です!

これはやる気を引き起こすには最適な短時間での勝負ですので、ADHD児にはぴったりはまることがあります。

もちろん、楽しく遊べたという前提があっての話です。

これを何度が繰り返したことで、子どもの方から片付けを始める場面が多くなりました。

 

作戦③ スケジュールを決める

ADHD児は実行機能の困難さなどからスケジュール管理が苦手だとされています。

つまり、目標を決め、そこに注意を維持し、最後までやり通す力に困難さがあります。

著者は、療育現場でADHD児も含め、すべて子どもに早めにその日のスケジュールを伝えるようにしています。そして、ホワイトボードなどにその日の予定を書いておきます。

大切なことは、無理のないスケジュールを組むことと、日々の繰り返しによる習慣化です。

著者がみてきた子どもの中には、初めはスケジュールも頭に入らず、様々なことに注意がいってしまい、結局、やりたいことが何一つできなかった子が、スタッフと事前にその日の予定を立て実行するということを繰り返した結果、自分でスケジュールを立てることができるようになった子どももいます。

 

作戦④ ごほうび制でやる気を引き出す

行動療法では正の行動に報酬を与え、望ましい行動を強化するという考え方があります。

ADHD児は、特性ゆえに、目標に対する結果が見えないとやる気を引き起こすことが難しいことがあります。

特にやりたくないことなどは大人が指摘しても動こうとする様子が少なく、ずるずる後手に回ってしまうことが多いです。

このような時に活用できるのが、報酬(トークン)です。報酬は、言葉によるものやポイント制のシールなどがあります。

著者は、シールなどは特に活用していませんが、良き行動がでた直後にすかさず褒めるようにしています。

こうした対応の継続が子どもたちのやる気を引き出すことを、現場を通して実感しています。

 

作戦⑤ 成功体験で自己肯定感を育てる

冒頭にも述べましたが、ADHD児は責されることが多く、そのため、自己肯定感が低いというケースがよくあります。

これまでお伝えしてきた作戦①~作戦④までを継続して実行し、成功体験を積み重ねていけば自己肯定感は必然的に高まってくると思います。

 

 


以上が、著書を参照しながら、ADHD児への基本対応5つを見てきました。

著者も学生時代からADHDへの対応として、上記の内容は何となく理解していたつもりでも、実践はまた別物だと感じます。

それは、特性を理解して対応するということは自らの行動や思考を編集していくことや、関わる上での気持ちのエネルギーが必要で、また、結果も長期の関わりを通してしか見えてこないことが多いからです。

今後も、日々の実践を大切に、子どもたちの関わりから多くのことを学んでいきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 


ADHDに関するお勧め書籍紹介

関連記事:「ADHDに関するおすすめ本【初級~中級編】

関連記事:「ADHDに関するおすすめ本【中級~上級編】

 

 

司馬理英子(2020)最新版 真っ先に読むADHDの本:落ち着きがない、忘れ物が多い、待つのが苦手な子のために.主婦の友社.

スポンサーリンク

-ADHD, 療育

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【放課後等デイサービスにおける支援の質を高める方法】療育経験を通して考える

著者は〝放課後等デイサービス″での経験を通して、日々、〝支援の質″を高める方法を模索しています。 長年の療育経験を通して、〝放課後等デイサービス″といった〝居場所″が、子どもたち、そして、保護者の方に …

【ADHDの〝脳″について】〝脳番地″のタイプと成長の法則から考える

ADHD(注意欠如多動性障害)とは、不注意、多動性、衝動性を主な特徴とした神経発達障害の一つです。 ADHDの理解というと以上の3つの特性についての説明が多く、中でも行動特徴との関連性の指摘が多く見受 …

自閉症療育で大切な視点-トップダウンの支援について-

自閉症への療育には様々な考え方があります。 著者自身、子どもたちや保護者との関わりから療育内容を考えることが多くあります。 子どもたちとの関わりで大切なことは、短期間というより、長期の関わりから見えて …

【療育(発達支援)の専門性】子どもの心を理解する視点

著者は、発達障害など発達に躓きのある子どもたちに療育(発達支援)をしています。 発達障害には、ASD、ADHD、SLD、DCD、IDなど様々なものが包含されています。 ASD(自閉スペクトラム症)には …

療育(発達支援)で大切なこと【対話による納得感をつくるということ】

療育(発達支援)の現場には、発達に躓きある子どもたちが多くいます。 こうした子どもたちの行動や発達を理解することは非常に難しいことのように思います。 それでは、子どもたちの行動や発達を理解するためには …