ADHDとは、不注意・多動性・衝動性を主な特徴としている発達障害です。
ADHDの背景要因は先天性の脳の機能障害だと考えられています。
そして、ADHDは近年増加傾向にあり、中でも大人のADHDが注目されるケースが増えてきました。
以前は、ADHDは子どもになったらその特徴は軽減すると考えられていました。
しかし、近年の当事者による情報発信や診断を受ける人の増加、研究の増加などにより大人になっても特徴が残るケースが多いと考えられるようになってきました。
一方で、ADHDと似た行動特徴に疑似ADHDといったものがあります。
それでは、疑似ADHDとは一体どのようなものなのでしょうか?
そこで、今回は、疑似ADHDとは何かについて、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「岡田尊司(2022)発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法.SB新書.」です。
疑似ADHDとは何か【ADHDの背景には愛着障害が潜んでいる】
以下、著書を引用してみていきます。
疑似ADHDとは、症状がADHDと似ているものの、原因がほかの精神疾患、うつや不安障害、依存症、愛着障害などによって引き起こされるものだ。
このように、疑似ADHDとは、ADHDと似た特徴を持ちながらも、背景要因が異なるものだとされています。
引き続き著書を引用します。
子どものADHDが、年齢が上がるにつれて改善し、18歳までに約八割が診断から外れてしまうのに対して、疑似ADHDは12歳以降にはじまることも多く、次第に強まっていく。したがって、大人のADHDの多くは疑似ADHDということになる。
著者の中では、大人のADHDの多くは疑似ADHDだと考えられており、疑似ADHDの場合には、その背景に愛着に問題を抱えている場合もあり、生活面など生きづらさの程度が強いとされています。
著者がこの内容を始めて読んだ時には、ある種の衝撃があり、それだけ、愛着の問題、愛着障害は発達の根っこの部分からその後の成長・発達までに多大な影響を及ぼすのだと感じました。
例えば、回避型愛着スタイルがASD(自閉症スペクトラム障害)と似ていると言われていることからも、根底の要因は異なりますが、その後の発達過程で両者の違いが見えにくい・わかりにくくなるということです。
関連記事:「回避型愛着スタイルとは何か【近年増加している?ASDと似ている?】」
それでは、ADHDと疑似ADHDを見分けるものは一体なんでしょうか?
それは、前述した通り(引用したもの)、疑似ADHDは12歳以降にADHDの特徴が出てくるということです。
ADHDは、先天性ですので、発達過程の中で何らかの形で不注意や多動・衝動的な行動特徴が見られます。
例えば、授業中落ち着いていられない、他人が話しているときにすぐに口をはさむ、忘れものが多い、順番が待てないなど、学校生活を見ても該当する行動特徴があります。
一方、疑似ADHDは、ADHDの特徴が12歳以降に出てくるという違いあります。
著者の中でさらに次のような違いがあるとしています(以下、著書引用)。
年齢とともに少しずつましになる傾向があるのか、それとも、12歳以降に目立つようになり、むしろ年齢とともにきつくなっているのかという点だ。
著書の内容を踏まえて、さらに両者の違いを付け加えると、疑似ADHDは、12歳以降にその特徴が出始めて、年齢が上がるにつれて悪化していくとされています。
他にも、虐待や親の離婚、気分障害や精神疾患などがあるケースが疑似ADHDには多いとされています。
このように、本来のADHDとは異なる要因からも、ADHDと行動特徴が似た疑似ADHDが見られるということです。
そして、その背景要因に愛着など関係性の障害も大きく影響している可能性が示唆されています。
以上、疑似ADHDとは何か【ADHDの背景には愛着障害が潜んでいる】について、お伝えしてきました。
愛着障害は非常に手ごわい障害です。
大人になると過去の行動特徴よりも今現在の行動特徴や困り感にフォーカスして自己分析する傾向が強いと感じます(記憶の特性上そうならざるおえません)。
そのため、過去の特定の養育者との愛着関係が現在に影響しているといった理解より、発達障害(ADHDやASDなど)といった行動特徴からの方が現状理解を行いやすいのも事実としてあるように思います。
発達支援の現場でも、疑似ADHDなどの理解や議論は少ないため(著者の実感)、今後も、愛着障害も含めて発達への理解をしていく必要がさらにあると感じます。
私自身、まだまだ未熟ですが、今後も様々な発達障害への理解を深めていきながら、愛着の問題への理解も同時に学んでいきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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岡田尊司(2022)発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法.SB新書.