愛着の問題は子どもだけではなく、大人になっても持続すると言われています。
大人の愛着の問題が注目されるようになる中、愛着へのアプローチも進んでいます。
その中には愛着アプローチとった方法があります。
それでは、愛着アプローチにはどのような特徴があるのでしょうか?
そこで、今回は、愛着アプローチとは何かを説明していきながら、2つの愛着アプローチについてお伝えしていきます。
今回参照する資料は「岡田尊司(2016)愛着障害の克服:「愛着アプローチ」で、人は変われる.光文社新書.」です。
愛着アプローチとは何か
以下、著書を引用します。
愛着アプローチとは、安全基地としての機能を取り戻したり、一時的に肩代わりすることで、愛着システムの安定化を図り、それによって基本的安心感や対人信頼感、ストレス耐性や否定的な認知を改善し、対人関係や社会適応を改善しようとする方法である。それに併行して、随伴していた症状や問題行動も、自然に落ち着いていくことが期待される。
著書から、愛着アプローチとは、安全基地機能の回復を行うことで、愛着関係を安定化させることで、自他への信頼の回復、ストレスや負の認知の改善、社会適応の改善を狙いとする方法になります。
この中で、重要な点は、「安全基地機能」といった概念です。
もともと、愛着とは特定の人物(養育者)との情緒的な絆のことをいいます。
愛着の機能の中で重要なものに「安全基地」といった考え方があります。
これは、子どもが特定の人物が安全基地となることで不安感を軽減・回復する機能、また、何かに挑戦するときに安全基地を拠点に探索空間を広げる機能もあります。
安全基地機能が活性化することで、人は自分の身に何かあっても大丈夫だという気持ちになったり、何かに挑戦しようとする行動意欲を持つことができます。
関連記事:「愛着形成には何が必要か?:3つの基地機能から考える」
逆に、安全基地機能がうまく機能しないと、常に不安定な状態が続き(もちろん個人差はあります)、特に何か嫌な出来事や不安な事態に出くわすと安全基地機能が弱いために心理的にダメージを負いやすいということになります。
そのため、愛着アプローチでは、自分は守られていという実感の「安全基地機能」の回復がとても重要になるというこです。
2つの愛着アプローチについて
それでは、次に、愛着アプローチについて2つの方法を見ていきたいと思います。
著書の中では、愛着アプローチには以下の2つがあるとしています(以下、著書引用)。
愛着アプローチには、大きく二つの手法がある。一つは、愛着修復的アプローチであり、もう一つは、愛着安定化アプローチである。
それでは、それぞれについて見ていきます。
愛着修復的アプローチとは
以下、著書を引用します。
愛着修復的アプローチは、その人にとって重要な他者との愛着を安定したものに回復させることを目指す方法である。
愛着修復的アプローチは、愛着対象との関係に直接的に働きかける方法になります。
例えば、親子関係や夫婦関係など、負の関係になっている循環をより良い方向へと介入していくものになります。
しかし、虐待ケースなど非常に関係が悪化しているケースもあるため、このような場合には、次の愛着安定化アプローチを活用した方が良いとされています。
愛着安定化アプローチとは
以下、著書を引用します。
愛着安定化アプローチは、重要な他者との関係修復には必ずしもこだわらず、誰であれ、その人の身近にいる存在が、臨時の、あるいは半永久的な安全基地となることで、愛着の安定化を図る方法である。
この場合の身近な存在とは、支援者やカウンセラーなども該当します。
愛着安定化アプローチは、改善したい愛着対象以外の身近な他者が安全基地機能を担い、愛着の修復を図る方法になります。
これは、先にも挙げた、虐待ケースなど関係の修復が難しい場合や愛着対象が不在の場合など、他の身近な他者が期間には個人差はありますが、安全基地の機能を代替し、例えば、親子両方ないしはどちらか一方に働きかけるなどした後に、愛着修復的アプローチに移行するなどの対応を取ることもあります。
ここでも重要なのは、親などもともと重要な他者ではないが、信頼でき安全基地機能として働く他者との絆を新たに作るということです。
それにより、その人物が安全基地機能として働くことで、愛着の問題への回復に向けて徐々に改善への兆しが見えてきます。
愛着の問題は、非常に手ごわい問題だと考えられています。
それは、医学の治療では改善が難しいとされ、心理的支援によってのみ改善が期待されるからです。
以上、愛着アプローチとは何か【2つのアプローチから考える】について見てきました。
愛着の問題は、人間の根っこの部分を支えているだけあり、表に出てくる行動も様々です。また、当の本人もなかなか気づけないこともあるため、非常に状態像の理解が難しいと思います。
私自身、療育現場で子どもたちの支援に携わっているため、愛着関係といった対人様式の基礎の重要性を理解しながら、今後もより良い支援を目指していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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岡田尊司(2016)愛着障害の克服:「愛着アプローチ」で、人は変われる.光文社新書.