発達支援の現場などでよく「困り感」という言葉が使われることがあります。
私自身も長年、療育現場など発達支援の現場に関わる中で、大人の当事者の「困り感」を理解することの重要性を認識する機会が増えています。
それでは、どのようにして大人の発達障害の「困り感」への理解を深めることができるのでしょうか?
また、「困り感」を理解することでどのような展開が期待できるのでしょうか?
今回はこれらの問いについて私の考えをお伝えしていこうと思います。
困り感の理解
最初に、「困り感」の理解の深め方についてお話します。
これは何といっても当事者の方の声に耳をしっかりと傾けることです。その際に、自分固有の考えなどは一度脇に置いた方が良いです。
その理由は、当事者の「困り感」は、その人でないとわからない面が多くあるため、先入観を持って見てしまうと、当事者の思いに共感することが難しくなってしまうからです。そうなると、関係構築は難しくなかなか心を開いてくれること、自分の悩みを打ち明けてくれることが少なくなります。
また、「困り感」は長期にわたって継続していることも多いため、簡単にわかったような態度をとるのもよくありません。相手からすると、困り続けてきたという長い歴史がありますので、その思いも含めて理解していこうとする姿勢が大切です。
こうした「困り感」ですが、理解を進めるために最も良い方法に、一緒に何か活動をしてみることです。体感を通して相手を知ることが、最も理解を進める上で効果的だと思います。
私は、当事者の方と一緒に活動する機会が多くありますが、その中で、困っている内容だけではなく、その時の気持ちなども大切にしています。人はできたか、できないか、だけではなく、その時に、楽しい、辛い、悲しい、怒りなど様々な心理が生じています。そうした心理も感じることが相手を理解するには大切です。
また、一見するとできそうに思えてしまうことも、活動を共にすると、色々と難しさが見えてくることがありますので、繰り返しになりますが、先入観を持たずに関わっていくことが重要です。
「困り感」を理解するためには、先入観を持たずに、できれば活動を共にし、その中で共感を大切にすることがまずは大切かと思います。
困り感の理解から期待できる展開
次に、「困り感」を理解することで期待できる展開についてお話します。
「困り感」について、完全に理解するという状態は難しくても、少しずつ理解ができてくると(あるいはそのような態度でいると)、相手の方から色々と話しに来てくれることが増えてきます。
つまり、信頼関係がでてきます。
そうなると、こちら側からの問いかけや提案などにも耳を傾ける様子が増えてきます。相互的なやり取りが増えることで、「困り感」の実態がより客観的に理解できるようになってきます。
もちろん「困り感」の理解には発達特性など様々な経験や知識が必要となりますが、この段階になって、少しずつ相手の特性に応じた環境調整など提案を考えていっても良いかと思います(発達特性については、「発達特性の理解について」に記載しています)。
実は「困り感」の実態を知ることはそれほど簡単なことではありません。それは、様々な環境や活動など変化の激しいなかで、どのように「困り感」が生じるのかは、予測や特定ができない部分が多いからです。
ですので、「困り感」がどのような文脈や場面で生じるのかを理解できれば、必然的にどういった配慮が必要なのかが見えてきます。
こうした「困り感」の実態把握は、私自身の感覚でまだたまだ途上の段階だと思っています。なので、当事者の方と一緒に試行錯誤していくことが双方にとって最も大切なことだと思っています。
以上、大人の発達障害の「困り感」について、理解の深め方とその後の展開の仕方についてお伝えしてきました。
大人の発達障害への理解や支援はまだたまだ途上です。私自身もわからないことが多くありますので、日々、学びの姿勢を忘れずにやっていきたいと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。