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反抗挑戦性障害

【反抗挑戦性障害とは何か?】療育経験を通して考える

投稿日:2022年3月6日 更新日:

療育現場には、キレやすい、かんしゃくをよく起こす、すぐにイライラする、人とよく口論になる、ルールや規範に反抗するといった子どもと関わることがあります。

こうした行動の背景には、生育環境の違い、発達障害といった発達特性の影響など、様々な要因がある考えられています。

そして、キレやすい子どもたちの中には、‟反抗挑戦性障害”のケースもあります。

 

それでは、反抗挑戦性障害とは具体的にどのような特徴があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、反抗挑戦性障害とは何かについて、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参考にする資料として、「原田謙(2019)「キレる」はこころのSOS:発達障害の二次障害の理解から.星和書店.」を参照していきたいと思います。

 

 

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反抗挑戦性障害について

それでは最初に‟反抗挑戦性障害”について簡単にご説明致します(DSM-5より)。

反応挑戦症の本質的特徴は、「頻回で持続する怒りやイライラした気分、好戦的/挑発的行動、あるいは執念深さといった行動様式」であり、「典型的には重篤な特性が少なく、人や動物への攻撃性、所有物の破壊、強盗や詐欺などを含まない。さらに、素行症には含まれない、感情の調整不全(怒りやイライラした気分)の問題を含む」とされています。

 

診断基準:

1.怒りやイライラした気分:かんしゃくを起こす、イライラする、怒る

2.好戦的/挑発的行動:権威ある人や大人と口論する、要求や規則に反抗したり拒否する、わざと人をいらだたせる、自分の失敗や不作法を他人のせいにする

3.意地悪で執念深い

 

以上の3つのカテゴリーの8つの行動が挙げられています。

これらの行動が、きょうだい以外の人間との関係の中で、5歳以上なら週に1回以上、少なくとも6ヶ月間にわたって、4つ以上認められるときに、診断される規定になっています。

 

 


以上が、反抗挑戦性障害の定義になります。

こうした反抗挑戦性障害がより深刻化してくると、‟素行症”に繋がることがあります。

 

素行症について

以下に‟素行症”についても簡単に説明致します(DSM-5より)。

素行症の定義は、「他人の基本的人権または、社会的規範を侵略することが反復し持続する行動様式」です。

 

診断基準

1.人や動物に対する攻撃性:いじめ・脅迫、身体的な喧嘩、武器の使用、リンチ、動物虐待、強盗、強姦

2.所有物の破壊:放火、器物破損

3.嘘や窃盗:不法侵入、人を騙す嘘をつく、強盗

4.重大な規則違反:夜間の外出、無断外泊・家出、怠学

 

以上の4つのカテゴリーの15の行動が挙げられています。

これらの行動が1年間に3項目以上認められると素行症と診断される規定になっています。

以上が、素行症の定義になります。

 

 

著者の体験談

それでは、次に、キレやすいなどを特徴とした子どもたちとの関わりから、著者自身の療育現場で学んだことについて見ていきます。

著者は現在、放課後等デイサービスで療育をしています。

著者の放デイでは小学生を対象としており、放課後子どもたちを預かり療育しています。

放デイで支援していく上で、非常に関わりの難しい子どもたちの中には、感情の起伏が激しくすぐにキレる、大人や他児とすぐに口論になる、ルールを破ろうとする、などを特徴とした子どもたちがいました。

このような特徴を有した子どもたちは、反抗挑戦性障害といった診断を受けているわけではありませんが、特徴として非常に類似している点が多くあったように思います。

著者自身、最初にこうした子どもたちと関わる際には、暴言をすぐに止めようとしたり、キレた行動を直ぐに抑えようとするなど、好ましくない行動の背景を深く考えることなく、すぐに制止する対応を取ることが多くありました。

一方で、こうした対応を継続しても、子どもたちの問題となる行動は一向に改善されることはなく、関わる頻度の多いスタッフたちが精神的にダメージを受ける状態が長く続いていたように思います。

反抗挑戦性障害といった用語自体は昔から知ってはいたものの、詳しく学びはじめたのは最近のことでした。

反抗挑戦性障害について調べれば調べるほど、キレやすい現場の子どもたちの行動とリンクする箇所が多く見つかっていきました。

そこで感じたことは、自分の感覚や経験だけに依存した対応には限界があり、他の視点(専門的な視点)も学びながら、問題となる行動の背景を深く考えることがとても必要だと考えるようになっていきました。

今では、キレやすい子どもたち対して、少し余裕をもって関わることができるようになったと思います。

それは、問題となる行動には様々な背景があり、彼らが、感情のコントロールや感情理解が苦手であり、本当に望んでやりたい行動ではなかったことが実感としてわかってきたからです。

反抗挑戦性障害の子どもには、そこに至る背景が深く根差しているといった理解、そして、より専門的な関わりが重要なのだと思います。

 

 


以上、【反抗挑戦性障害とは何か?】療育経験を通して考えるについて見てきました。

反抗挑戦性障害は、非常に対応が難しい症状だと感じています。

障害がエスカレートすることで素行症へと発展することもあるため、早期の理解と支援が必要不可欠です。

私自身、まだまだ勉強中ですが、反抗挑戦性障害がある子どもへの支援もできるように、現場での経験をもとにさらに学びを深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

アメリカ精神医学会 高橋三郎・大野裕(監訳)(2014)DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院.

原田謙(2019)「キレる」はこころのSOS:発達障害の二次障害の理解から.星和書店.

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