発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

不器用 大人

大人に見られる不器用さの兆候・特徴について:療育経験を通して考える

投稿日:2020年5月25日 更新日:

大人の発達障害のある人たちと関わっていると多くの困難さがあるのだと様々な場面で感じることがあります。

最近は、自閉症スペクトラム障害やADHDなど大人になってから診断を受ける人たちも増えてきており、今後ますます大人の発達障害への理解と支援の必要性を感じております。

そうした中で、当事者スタッフの方と日々の現場の中で話していると、不器用さなど運動面の困り感を持っているケースも多く見られます。

例えば、箸がうまく使えない、文がきれいに書けない、スポーツが苦手、運転が苦手など様々な内容が上がってきます。

 

それでは、青年期・成人期といった大人において、どのような不器用さの兆候・特徴があると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、大人の不器用さに焦点を当てて、大人に見られる不器用さの兆候・特徴に関して、文献と臨床発達心理士である著者の経験から理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参考にする資料として、中井昭夫著「特集,そだちからみたおとなの発達障害,Ⅱ・そだちとそだてられ、発達性強調運動症のそだち」を参照していきたいと思います。

 

 

スポンサーリンク

 

 

大人に見られる不器用さの兆候・特徴について

最初に、上記の文献をもとに青年期・成人期に見られる不器用さの特徴について簡単に以下に列挙していきます。

  • 不器用だと言われることが多い
  • 細かい作業が苦手
  • 口笛が吹けない
  • 飲み込みにくくて苦手な食べ物がある
  • よく食べ物をこぼす
  • 箸やナイフ・フォークを使うのが上手でない
  • 料理が苦手(切る、剥ぐなど)
  • キーボードが苦手
  • 字が汚い、自分で書いた字も読めない
  • よくものを落とす
  • 人や物によくぶつかる
  • ドアノブ、瓶のふた、鍵など回すものが苦手
  • 化粧・髪の毛のセットなどが苦手・下手
  • 髭剃りが苦手、傷だらけになる
  • ウィンクができない
  • 姿勢良く長く座っていられない
  • 自動車の運転が苦手・下手
  • 服がうまくたためない
  • 針に糸を通すのが苦手(視力の問題でなく)

以上が青年期・成人期に見られる不器用さの特徴になります。大人になると、化粧や髪の毛のセット、自動車の運転、仕事での手作業など子供とは異なる要素も入ってきます。

そして、こられの不器用さは個々に応じて困り感など苦手なところが異なるという特徴があります。

 

 

スポンサーリンク

 

 

著者の体験談

次に、大人に見られる不器用さの特徴に関して、著者の経験からお伝えしていこうと思います。

冒頭にも少し述べましたが、著者は現在、発達支援の現場で当事者スタッフ(自閉症、ADHDなど)の方たちと一緒に仕事をしています。

その中で、当事者スタッフの方から運動など不器用さを主訴とした困り感を話してくれることがあります。

当事者スタッフの女性Aさんは、全身運動を苦手としています。

Aさんに運動についての話を聞くと、「体を動かすなどスポーツは好きですが、団体競技だと周りに迷惑がかかる」といったことを話していました。

Aさんは子供たちとの運動遊びを苦手としている一方で、工作や絵を描くのは得意としています。ですので、絵が好きな子供たちから人気を集めて子供と一緒に絵を描いて楽しく遊ぶ様子も見られます。

当事者スタッフの女性Bさんは、文字を書いたり、タブレット操作などを苦手としています。ですので、本人なりに努力して早くやっていても、周囲から仕事が遅いとして見られることがあります。

一方で、Bさんは一度しっかり覚えたことは、ゆっくりではありますが、たんたんと作業をこなし続けることを得意としています。Bさんなりに作業を構造化するということを意識されていると話していました。

他にも複数の事例があります。

大切なのは、そうした個々に応じて体の動かし方に困り感を抱えているという現状を周囲が理解していくことだと思います。

私自身も気をつけていることとして、相手の得意・不得意なところをよく理解しながら、お互いに助け合いながら仕事をしていくということです。当然、私にも苦手なところがあり、助けてもらっています。

支え合うという視点が一緒に支援をしていく上で重要で、その際に、不器用さなども考慮に入れていく必要があり、そうした理解は支援している子供たちの理解にも繋がっていくと思います。

大人の不器用に関する研究は、まだまだ研究が進んでいないのが現状です。不器用さを主訴とした運動に関する障害として、発達性協調運動障害というものがあり、これは発達障害の一種です。

発達性協調運動障害に関する書籍や論文は、自閉症やADHDなど他の発達障害と比べて非常に数が少なく、研究途上の分野でもあります。その中で、研究自体は子供を中心に進み始めています。

今後、大人の不器用さについても現場レベルから困り感の理解と対応策などを考えていきながら、より良い支援ができるように工夫をしていきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

関連記事:「学童期に見られる不器用さの兆候・特徴について:療育現場を通して考える

 

 


発達性協調運動障害に関連するお勧め書籍紹介

関連記事:「発達性協調運動障害(DCD)に関するおすすめ本【初級~中級編】

 

 

中井昭夫(2016)特集,そだちからみたおとなの発達障害,Ⅱ・そだちとそだてられ、発達性強調運動症のそだち.そだちの科学,26,54‐58.

 

スポンサーリンク

-不器用, 大人

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

大人の発達障害に関するおすすめ本【初級~中級編】

〝大人の発達障害″がここ最近注目を集めるようになっています。 注目を集めるようになった背景にも様々な要因がありますが、中でも、発達障害の社会的認知の高まり、そして、大人になってからも社会での生きづらさ …

大人のワーキングメモリを鍛えるための実践方法について振り返る

ワーキングメモリとは、作動記憶とも呼ばれ、聞いた情報を一時的に記憶に保持し、その情報を操作する力なります。 著者は昔からワーキングメモリを苦手としていました。 人との会話の中でも、固有名詞など聞いた情 …

学童期に見られる不器用さの兆候・特徴について:療育現場を通して考える

療育の現場で子供たちと関わっていると、手先が不器用なお子さんたちや、全身運動が苦手なお子さんたちが多くいます。 例えば、ハサミなどの道具の使用が苦手、折り紙などの細かい手作業が苦手、縄跳びや自転車など …

発達障害児と不器用さの関連について【自閉症・学習障害・ADHD・知的障害を例に】

発達障害児の中には、〝不器用”さが多く見られることがあります。 「不器用」という用語も、様々な文脈で使われますが、今回は運動の分野に限定して見ていきます。 最近では、運動の問題を主とした障害として、発 …

大人の発達障害の困り感について

発達支援の現場などでよく「困り感」という言葉が使われることがあります。 私自身も長年、療育現場など発達支援の現場に関わる中で、大人の当事者の「困り感」を理解することの重要性を認識する機会が増えています …