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障害とは

そもそも障害とは何か?-療育経験を通して考える-

投稿日:2022年5月18日 更新日:

療育現場には発達に躓きある様々な人たちがおります。

一言で発達に躓きがあるといっても状態像は多様です。

状態像の多様さは、生まれつき持っている発達障害の特性といった個人要因もあれば、生活などの環境要因も影響しています。

 

関連記事:「発達特性の理解について

 

著者は長年、療育現場で発達障害など発達に躓きのある人たちと関わってきました。

こうした経験を踏まえて疑問に思うのは、そもそも障害とは何か?という素朴な疑問です。

 

そこで、今回は障害とは何か?について、著者の療育経験を通してお伝えします。

 

 

今回、参照する資料は、「田中康雄・井桁容子・尾崎ミオ・山本芳子・阿部利彦・吉本裕子・汐見稔幸・品川裕香(2014)発達障害の再考:支援とは?自立とは?それぞれの立場で自分にできることを問う.風鳴舎.」です。

 

 

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障害とは何か?

それでは以下に著書を引用しながら、障害について考えていきたいと思います。

「個々の能動性が阻害される状況」を示すのだろうと。それをもってして主体的にできにくいという事態が「発達の障害」と言われるのだろうと。(略)自分が主体的に「歩きたい」という意志は発動するのだけれど止められるという事態が障害なのだろうと考えていく。

 

著者はこの表現を見たときに非常に抽象的ではありますが、障害とは何か?ということへの理解が腹落ちした感じがしました。

一般的に定型発達の人たちは、独自の力で環境から多くのことを学習し、例え、失敗しても修正する力(自己修正能力)があるとされています。

もちろん、個人差はあり、周囲のサポートやもともと持っている能力も影響します。

しかし、発達に躓きのある人たちは、独力で主体性をもって自分の道を切り開くのに様々な困難さがあるということです。

つまり、自ら希望する道に立ちふさがる障壁を乗り越えるのに、特別な教育や個別の配慮など、個別の支援が必要になるというわけです。

 

 


それでは、次に著者の体験談から、そもそも障害とは何か?についてお伝えします。

 

著者の体験談

著者が最初に障害という言葉を知ったのはおそらく学校など教育現場で障害のある人がたちを見たことが最初だったように思います。

具体的には、車いすの人など見て何か他の人とは違うという感じでした。

そのため障害とは、何か困っている人たちのことをいうのだろういう漠然という理解をしていたように思います。

障害という言葉自体をいつ知ったのかは覚えていませんが、何となく経験の中で知っていたという感じです。

当時の障害といえば、目の見えない人、言葉が話せない人、歩けない人など身体や知的障害の人たちのことだと思っていました。

それから、だいぶ年月が経ち、発達障害という言葉に出会いました。

 

関連記事:「発達障害との出会い:その概念との出会いから考えたこと

 

主に最初は自閉症についてですが、ここで初めて目に見えない(行動特徴をある程度知らいないとわからない)、わかりにくい障害と出会いました。

それから、自分が療育をする立場になって思うことは、当事者目線で考える習慣が出てきたということです。

それも当然で、様々な活動を共にすることで、一人ではできない、自分の力でやりたいがどうやったらいいかわからない、困り感の正体を知りたいなど様々な困難な状況を共にするからこそ、当事者目線の理解が深まったように思います。

こうした経験を通して、当事者の人たちには周囲からは理解されにくい様々な壁があるのだと感じるようになりました。

つまり、こうした個々の中で打開したいができない壁が障害であると思うようになりました。

その壁を乗り越えることができれば障害はなくなります。

しかし、発達に躓きのある人たちは、発達特性も含め、その特性は生涯に渡って治ることはなく残り続けるため(治るという発想自体ナンセンスなのかもしれません)、様々な状況で困難さが出てくる確率が高まります。

我々の社会はマイノリティ側の視点ではなく、その多くはマジョリティ側の視点で作られているからです。

こうした生活の中・社会の中で生じる困難さ(壁)を一緒に乗り越える、困難さ(壁)の正体を一緒に考える、困難さ(壁)を乗り越えることは難しいのですが、困難さ(壁)を軽減できるように関わることが支援においてとても大切なことだと感じます。

 

障害とは何か?

それは自らの身体を持って自他の困り感に真摯に向き合うことなくして理解は難しいのだと思います。

何がこの人の壁になっているのか?

こうした理解は複数の要因が関係しています。

また、その壁もまったく変化しないというわけではなく、姿・形を変えることがあります。

時間軸に沿って壁も変化します。

私自身、そもそも障害とは何か?ということに対して、上記のような漠然とした実感や印象としては理解できても、より個別的になると非常に障害の内容も多様になるため、まだまだ知らない世界が多いと感じています。

今後も、発達支援の現場を通して、関わっている一人ひとりの障害となっているものが何かを考えながら、障害についてさらに理解を深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

田中康雄・井桁容子・尾崎ミオ・山本芳子・阿部利彦・吉本裕子・汐見稔幸・品川裕香(2014)発達障害の再考:支援とは?自立とは?それぞれの立場で自分にできることを問う.風鳴舎.

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