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【遊びを通して子どもは他者への共感を磨くことができる】療育経験を通して考える

投稿日:2023年6月17日 更新日:

 

子どもたちは、様々な遊びを通して社会性を獲得していきます。

社会性の中でも大切な力が他者への〝共感″です。

他者の様々な思いを理解できる力は社会を生きていくために、そして、人と繋がりを維持していくためにとても大切なことです。

 

それでは、遊びと共感にはどのような関連性があると考えらえているのでしょうか?

 

そこで、今回は、遊びを通して子どもは他者への共感を磨くことができるについて、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

今回参照する資料は「ピーター・グレイ(著)吉田新一朗(訳)(2018)遊びが学びに欠かせないわけ 自立した学び手を育てる.築地書館.」です。

 

 

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遊びを通して人は他者への共感を磨くことができる

以下、著書を引用しながら見ていきます。

1955年ぐらい以降の子どもたちの自由な遊びの低下は、不安、落ち込み、無力感の継続的な上昇をもたらしています。これらの結果と同時に、自己中心主義の増大と共感能力の低下も明らかになっています。

 

遊びは、子どもたちに自分の問題を解決させ、衝動を抑え、感情を調整し、他者の視点から物事を見、違いを交渉によって妥協に導き、他者と同じレベルでつながる方法を教えるための自然な方法です。これらの大切なスキルを学べる遊び以上の方法はありません。

 

著書の内容では、現代社会は自己中心主義が強まり、その結果として、共感能力の低下が明らかになっているとの記載があります。

そして、自己中心主義の高まりの要因として、自由な遊びの低下が示唆されています。

子どもたちは、自由な遊びを通して、問題解決能力、感情コントロール力などに加え、〝共感″能力も自然な方法として獲得していくとされています。

こうしたスキルは遊びが最も適しており、学校現場よりも有効であると考えられています。

これまで行われた動物研究においても、仲間と遊ぶことを自然と保証された動物は保障されなかった動物と比較して、社会性・感情面において顕著な成長が見られたということがわかっています。

一方で、仲間との遊びの交流を持てなかった動物は不安や攻撃性の高さが見られたということです。

以上の結果からも、子どもが小さい頃から他児集団と自由に遊べる環境を整えることが〝共感″を含めた様々な能力の育ちに貢献していくということです。

 

 

著者の経験談

著者が子どもの頃には、今よりも地域の中で子ども同士が関わることが多かったように思います。

著者は学校が終わってから友人と遊ぶことをとても楽しみに学校に行っていました。

そのため、放課後のワクワク感は今でもよく覚えています!

よく行った遊びが、自転車での遠出、駄菓子屋に行く、地域の公園で遊ぶ、団地でかくれんぼをする、誰かの家でみんなでゲームをする、など同じような遊びを繰り返し行っていました。

中には、今行ったらクレームが入る遊びも行っていたように思います。

この時の感覚は自由に遊べることの楽しさです!

そして、当時の自由な環境での遊びがおそらく共感能力など社会性の育ちに繋がっているのだと思います。

自由な遊びといった環境であるからこそ、利害関係や周囲の目を気にせずに本心で他者と関わることができるのだと思います。

 

著者は現在放課後等デイサービスで療育をしていますが、ここでも学校後の過ごし、自由な遊びを通して様々な子ども同士の関わりを作ることを大切にしています。

子どもたちは、自由な遊びを通してお互いのことを少しずつ理解していきます。

そして、遊びを通して様々な感情を共有していくことで、共感能力が育っていくのだと思います。

例えば、ごっこ遊びに見られる他者とイメージを共有することの楽しさからお互いの思いが通じ合ってきている様子に共感能力の育ちを実感できます。

 

現代社会は、地域での関わりが減少した分、閉鎖的な所が強くなっています。

昔は、地域社会で子どもたちが自然と関わることで社会性が育まれていた面が強くありました。

つまり、様々な人が自然と関わる機会が共感能力の育ちには必要だということです。

 

 


以上、【遊びを通して子どもは他者への共感を磨くことができる】療育経験を通して考えるについて見てきました。

地域社会が後退するのに伴い、自己中心主義が表面化してきました。

共感能力と自己中心主義は反対の概念ですので、こうした社会環境の変化によって失われてきたものを見直す必要があると著書を読み、そして、自分の過去を振り返ってみて考えさせられます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も変化し続ける環境の中で、子どもたちの発達において大切な要素をしっかりと考えながら、より良い療育を目指していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【遊び心は〝学び″や〝創造性″を高めるのか?】遊び心を妨げることによる障害の視点から考える

関連記事:「【遊び心は〝問題解決力″を高めるのか?】遊び心を促進することによる利点から考える

 

 

ピーター・グレイ(著)吉田新一朗(訳)(2018)遊びが学びに欠かせないわけ 自立した学び手を育てる.築地書館.

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