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【自閉症の言語発達の特徴について】療育経験を通して考える

投稿日:2023年3月31日 更新日:

自閉症(自閉症スペクトラム障害:ASD)は、対人・コミュニケーションの困難さやこだわり行動などを主な特徴としています。

 

それでは、対人・コミュニケーションの困難さを特徴としている自閉症にはどのような言語発達の特徴があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、自閉症の言語発達の特徴について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら考えを深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「小椋たみ子・小山正・水野久美(2015)乳幼児期のことばの発達とその遅れ-保育・発達を学ぶ人のための基礎知識-.ミネルヴァ書房.」です。

 

 

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自閉症の言語発達の特徴について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

自閉スペクトラム症の子どもの中には初語の出現時期そのものは遅れない事例もありますが、ただ知的発達が比較的ゆっくりである事例の場合には、なかなか有意味語の発語が見られない場合があります。さらに、一生涯、音声言語による表現が難しいと考えられる子どももいます。

 

ことばの表現がみられている事例では、ことばの使い方、すなわち言語の機能の広がりとしての困難さが当初より目立ちます。

 

著書の内容から、自閉症児の言語発達の特徴として、言語の出現時期に遅れのないケース、知的発達がゆっくりであり言語の発達にも遅れのあるケース、生涯にわたり言語の表現が難しいケースなどがあると考えられています。

その中で、言語による表現が見られるケースにおいても、言語機能の困難さがあると言われています。

 

その前兆として、様々な行動特徴があります。

例えば、自閉症児には指差しの遅れがあります。

指さしは、言語を獲得する前段階の行動特徴としてとても重要なものです。

指差しには、〝あれが欲しい″〝あれとって″など他者に自分の要求を伝えることや、〝あれは何?″〝車があるよ″など、他者に知りたいことを聞く、何かを伝えようとするなど様々な役割があります。

こうした指差し行動に、他者が言葉で応答することで少しずつ言葉への気づきや理解が高まっていきます。

また、他者の気持ちや意図などの理解にも繋がっていきます。

指差し行動を通して、他者とある対象や体験を共有することが言語発達の基盤になります。

 

その他、自閉症児には、発話のイントネーションが独特であったり、会話のターンテーキングが少ないこと、なども特徴としてあります。

例えば、自分の体験を淡々と同じトーンでしゃべったり(抑揚が少ない)、会話も自分が知りたいことを一方的に話すなどの特徴があります。

こうした行動の背景には、協調運動の困難さ、感情発達の遅れ、他者の意図理解の困難さなどがあります。

 

 

著者の経験談

著者はこれまで多くの自閉症児と関わってきました。

その経験から、自閉症児の言語発達の特徴として、重要なポイントに〝共同注意行動″があるか?ないか?、あるいは、多いか?少ないか?といった指標がとても役立ちます。

なぜなら、〝共同注意行動″の理解を深めていき、〝共同注意行動″を増やしていけるような関わり方をしていくことが、個々に応じた言語発達への支援に繋がっていくからです。

もちろん、他にも様々な方法があるかと思いますが、著者の経験では、他者とある対象を共有すること、他者とある体験を共有することが、言語の力を育む際に必要不可欠だという実感があるからです。

そのためには、関わる子どもたちが何に興味を持っているのかを把握していきながら、その子の世界に少しずつ入り込んでいくという関わり方が必要となります。

自閉症児には、興味関心の世界が狭く・独特である場合が多いからです。

こうした関わりを通して、子どもたちは、自分の興味のある対象を共に他者と共有する経験を蓄積していくことで、言語を獲得していくことができます。

もちろん、言語の獲得過程にも個々に応じて非常に違いがあるかと思います。

しかし、生きた言葉を獲得していくためには、他者との間で多くの共有経験を積み重ねていくことが大切です。

そして、同じ体験・経験を積み重ねていく中で、ある対象を共有できたという指標に〝共同注意行動″の働きがとても重要になってくると感じています。

それは、ただ単に同じ体験・経験をしたというものではなく、体験をお互いに共有したという認識・実感が共有経験並びに〝共同注意行動″には大切だと実感しています。

 

 


以上、【自閉症の言語発達の特徴について】療育経験を通して考えるについて見てきました。

自閉症児の言語発達は定型児と比べると特徴的な所が複数あります。

一方で、言語の獲得過程において、共有体験を積み重ねていくということは自閉症児であろうとなかろうと大切な視点だと思います。

そして、共有体験の入り口として、関わる自閉症児の独特な世界についての理解を知っていくことが支援のポイントとして重要であると感じています。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後の療育現場から子どもたちの豊かな言葉の発達を支援していけるように、日々の取り組みを充実させていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【共有世界から見たコミュニケーション支援の重要性】発達障害児支援の経験を通して考える

関連記事:「自閉症児の共同注意について:現場での経験を通してその意味を考える

 

 

小椋たみ子・小山正・水野久美(2015)乳幼児期のことばの発達とその遅れ-保育・発達を学ぶ人のための基礎知識-.ミネルヴァ書房.

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