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【自閉症の人にとって働きやすい職場環境とは?】障害と仕事について考える

投稿日:2024年10月8日 更新日:

自閉症(自閉スペクトラム症:ASD)とは、対人・コミュニケーションの困難さやこだわり行動を主な特徴とする発達障害です。

自閉症の人は特性が影響して、うまく職場にフィットする場合もあれば、そうでない場合もあるなど、仕事内容に加えて、職場環境も重要だと言えます。

 

それでは、自閉症の人にとってどのような職場環境が必要なのでしょうか?

 

そこで、今回は、自閉症の人にとって働きやすい職場環境とは何かについて、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、障害と仕事について理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「宮尾益知(2017)0歳から大人、進学から就職へのすべてがわかるハンドブック 発達障害の基礎知識 改訂版.河出書房新社.」です。

 

 

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自閉症の人にとって働きやすい職場環境について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

特性があっても働きやすい会社というのは、なんといっても特性に理解があり、支援についての共通認識を持っていることが基本になります。

 

自閉症の人たちには、生来的に〝対人コミュニケーションの困難さ″や〝こだわり行動″といった〝発達特性″があります。

つまり、働きやすい職場環境とは、自閉症の〝発達特性″に対して理解を示していることが大切になります。

例えば、〝対人コミュニケーションの困難さ″に対して、その人のコミュニケーションの苦手さをフォローしてくれる人を傍に設置しておくことが一つの配慮として考えられます。

また、〝こだわり行動″があることで、急な予定変更や臨機応変な対応が難しくなる場合があります。

そのため、予定はできるだけ早めに伝えておくこと、臨機応変さが必要な業務に対してはマニュアルなど、視覚的にいつ何をすればいいのかが分かる形に落とし込むなどの工夫が必要です。

また、自閉症の人たちには、様々な〝感覚過敏″が見られるケースも多くあります。

そのため、どのような感覚刺激を苦手としているのかを事前に理解しておくことで、様々な対処法や環境調整の仕方が見えてくる場合があります。

上記の内容を通して大切な点は、努力や慣れによって仕事が円滑に進むことを期待するのではなく、困り感(困り感になりそうなことも含め)に対して、適切な対応方法(配慮点)を抑えていくことが必要だと言えます。

もちろん、こうした対応方法をとるためにも、職場の上司が自閉症などの発達障害について理解を示していることが大切です。

また、職場の上司も誰かに相談できるルートを持つなど、特定の人が過度な負担を背負わないようにすることも重要です。

 

 

著者の経験談

著者はこれまで多くの自閉症の人と関わる機会がありました。

それは、子どもだけでなく大人も含めてです。

そして、自閉症の人たちと一緒に仕事をする機会もあるため、これまで見てきた発達特性への理解と、それに対する配慮はとても必要だと感じています。

 

例えば、コミュニケーションが苦手なケースにおいて、どのような伝え方の工夫をすれば相手にうまく理解されやすいのかを考えています。

例えば、短く要点を絞って伝えたり、ロジックに落とし込むこと、そして、視覚的に文章化するなどの工夫があります。

また、予定の管理が苦手なケースにおいては、仕事の優先順位を伝え、マルチタスクをできるだけ避け、シングルタスク(一つ一つ業務をこなす)にするように心掛けています。

また、急な変更が苦手なケースにおいて、変更点に対して具体的に何をすればよいか(行動・アクションに落とす)を明確化することを意識しています。

感覚過敏もまた大きな課題の一つであるため、どのような感覚刺激を苦手としているのか、それに対する配慮点などを一緒に考えるようにしています。

感覚の問題は、子どもの頃と比べても、大人になると一人ひとりが対処方法をすでに持っている場合も多くあります。

そのため、今の職場環境の中で、どのような環境調整ができるのかを一緒に考えていくことが大切だと感じています。

 

最後に、自閉症の人といった当事者を支える人(共に協力して仕事をする仲間や上司)を支える視点もまた必要だと思います。

様々な発達特性について配慮していくことは自閉症の人が職場環境に適応していく上で必要不可欠なことですが、支える・共に協力して働く職場の人が過度な負担を背負わないような仕組みや工夫もまた同じくらい大切なことだと思います。

共に支え合うという視点が共生社会において大切だからです。

 

 


以上、【自閉症の人にとって働きやすい職場環境とは?】障害と仕事について考えるについて見てきました。

障害のある人たちが職場環境に慣れることは簡単ではないと感じています。

一方で、発達特性への理解を示し、それに対する配慮・支援をしていくことが、自閉症の人たちにとって働きやすい職場環境に繋がっていくことは事実であると思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も子どもから成人の自閉症の人たちとの関わりを通して、仕事とは何か?働きやすい職場環境とは何か?といった問いを考え続けていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【自閉症の人に向いてる仕事・向いてない仕事】療育経験を通して考える

 

 

宮尾益知(2017)0歳から大人、進学から就職へのすべてがわかるハンドブック 発達障害の基礎知識 改訂版.河出書房新社.


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