自閉症(自閉症スペクトラム障害:ASD)の特徴の一つに〝こだわり″があります。
〝こだわり″とは、興味関心が限定されている、自分のやり方やペースの維持を優先するといった特徴があります。
それでは、〝こだわり″への支援において、どのようなことが大切となるのでしょうか?
そこで、今回は、自閉症の〝こだわり″への支援で大切なことについて、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「本田秀夫(編)(2015)こころの科学 183 特別企画 子どものこだわり.日本評論社.」です。
自閉症の〝こだわり″への支援で大切なこと
以下、著書を引用しながら見ていきます。
こだわりの対象は、複数にまたがることが多い。また、対象によってこだわりの強さにも優劣がある。生活を円滑に進めていくためには、その子どものこだわりの対象の優先順位を把握しておくことが役立つ。
著書の内容では、個々に応じて、〝こだわり″の対象や強度が様々であるため、まずは、〝こだわり″の対象の優先順位を把握しておくことが大切だとされています。
〝こだわり″の対象として様々なものがありますが、例えば、物の配置、時間・スケジュール、道順などがよく聞くものとしてあります。
著書の中では、〝こだわり″の対象の例として、〝活動スケジュール″の立て方を上げており、〝こだわり″の対象が時間(時間通りに活動を進める)なのか、活動をやり遂げる(ある活動を終わるまでやる)ことなのか、によって対応方法が異なるとしています。
〝活動スケジュール″への〝こだわり″は、著者の経験でもよく見られるものであるため、次に著者の経験談からこの点について述べていきます。
著者の経験談
放課後等デイサービスに通う自閉症の小学生男子、A君とB君を例に上げて見ていきます。
A君は、〝活動スケジュール″を立てる際に、時間通り・予定通りに活動を進めたいという時間への〝こだわり″が強いお子さんです。
例えば、○○時は○○をする、○○時には必ず帰る、などとにかく時間に対して強い〝こだわり″があります。
そのため、当初の予定が崩れると、癇癪を起こすこともあります。
そのため、支援において大切にしていることは、〝活動スケジュール″を立てた中で、仮に変更がある場合は、事前に(できるだけ早くに)変更点を伝えていくようにしています。
必ずしもうまくいくとは限りませんが、事前に伝えておくことでA君の混乱を少しでも軽減できると感じています。
また、時間による切り替えが良いという強みから、時間によるスケジュールの組み立てを積極的に行うようにしています。
A君は、活動に没頭していても、決められた時間を優先する傾向があるため、活動の終わりは時間による促しをするようにしています。
一方、B君は、〝活動スケジュール″を立てる際に、今取り組んでいる活動を最後までやり遂げたいという〝こだわり″が強いお子さんです。
例えば、今描いているイラストを最後まで描き終えるまでは帰ろうとしないこともあります。
そのため、支援において大切にしていることは、終わりを明確化すること、また、次の行動や活動(できれば関心のあること)へ注意を促すといった方法をとるようにしています。
例えば、〝○○を描いて色を塗ったら今日はおしまいだよ″〝家に帰ってからB君が好きな○○のテレビを見るんだよね、だから早く帰らないとね″といった声掛けです。
こうした声掛けにより、うまく切り替えることができることも多くあります。
中でも、今後の活動で興味があるものを提示し、切り替えを促す方法がとても効果的であると感じています。
このように、〝活動スケジュール″の立て方ひとつ取って見ても、〝こだわり″の対象と支援方法が変わってくることがわかります。
以上、【自閉症の〝こだわり″への支援で大切なこと】療育経験を通して考えるについて見てきました。
自閉症の〝こだわり″といっても、その対象や強度は個々によって変わってきます。
そして、成長に応じて、〝こだわり″の対象も変化していくことがあります。
支援において大切なことは、〝こだわり″の対象を理解し、その人にとって何が優先順位として高いのかを把握していきながら、関わり方を工夫していくことにあります。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も自閉症に見られる〝こだわり″への理解を深めていきながら、個々に応じたより良い支援を目指していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事:「自閉症のこだわり-こだわりの強さとその対象について考える-」
本田秀夫(編)(2015)こころの科学 183 特別企画 子どものこだわり.日本評論社.