〝登校しぶり″は子どもからの最終手段のSOSだと考えられています。
つまり、〝登校しぶり″の前段階で子どもは様々なことを悩み・試み、失敗に終わった過程を経て登校をしぶるといった発信を見せるということです。
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著者はこれまでの療育経験・人生経験の中で、様々な発達障害児・者と関わってきましたが、その中には、〝登校しぶり″が見られていたケースも多かったと感じています。
それでは、登校しぶりはどのような原因で生じるのでしょうか?
そこで、今回は、登校をしぶりはなぜ生じるのかについて、臨床発達心理士である著者の経験談をもとに、発達障害児・者との関わりを通して学んだことをお伝えしていきたいと思います。
今回は、①勉強面、②対人面、③学校行事、④生活リズム、⑤その他、に分けて順に見ていきます。
①勉強面
勉強の遅れ・躓きは学校に行きたくない大きな原因になります。
中でも、学習障害(読み書き、計算の困難さ)は、特定の領域における学習の困難さですが、ディスレクシア(読み書き障害)は特に様々な教科の躓きに繋がります。
また、境界知能も学習の遅れに繋がります。
境界知能は、知的障害には該当していませんが、少しの遅れから生じる周囲の気づきにくさ、そして、理解の得られにくさがあるように思います。
学習障害や境界知能は、合理的配慮を受けることができないと、本人の自尊心は徐々に低下していき、登校しぶりの要因になると思います。
②対人面
学校では様々な先生や他児との関わりがあります。
様々なグループ学習や休み時間を共に過ごすなど、対人スキルはとても必要になります。
対人面で難しさが生じるとケースとして、ADHD(注意欠如多動症)があります。
ADHDの特性である多動性・衝動性は、例えば、順番を守れない、思ったことを衝動的に言ってしまうなど他児トラブルに繋がる可能性があります。
また、ASD(自閉スペクトラム症)も対人面での難しさが生じることが多くあります。
例えば、相手の意図や思いがよく理解できないことから他児との会話についていけない、集団の会話にうまく参加できない、暗黙の了解事項がよく分からないなどがあります。
特に、小学校の高学年になると、会話の内容も難しくなってくるため、自閉症といった発達特性が影響して、うまく会話についていけずに友人関係で悩むことが多くなると感じています。
このように、ADHやASの特性が対人面の困難さを引き起こし、登校しぶりの原因に繋がることがあると感じています。
③学校行事
運動会、学習発表会、修学旅行、野外活動など通常とは異なる活動が少し先にあることで登校をしぶるケースもあると思います。
例えば、ASD(自閉スペクトラム症)は、変化を嫌う傾向があるため、普段と異なる活動が入ってくると情緒が不安定になることがあります。
つまり、学校行事といった通常とは異なる活動が入ることで、不安材料が増加することで、登校しぶりに繋がる場合もあると著者は感じています。
もちろん、他の①~③、⑤と比較すると一時的なものなのかもしれませんが、見過ごせないケースかと思います。
④生活リズム
生活リズムの乱れが登校しぶりに繋がることもあると思います。
例えば、ネット・ゲームの長時間使用、スケジュール通りに物事を進めることが難しく夜にやるべきことがたまってしまうことによる睡眠の乱れや、もともとの発達特性(AS特性、ADH特性)が影響して寝つきが悪い(あるいは寝すぎてしまう)ことがあります。
生活リズムが乱れてくると、朝起きるのが大変となり登校しぶりに繋がっていくのだと思います。
⑤その他
これまで①~④で見てきたものが単独で起こるだけではなく、①~④のいくつかの要因が重複して登校しぶりに繋がることがあります。
例えば、学習障害とASDが重複することで、学習面と対人面の両方に困難さが生じるケースなどがあります。
また、不器用さなどが原因となり登校しぶりになるケースもあるかと思います。
最近では、DCD(発達性協調運動障害)といった協調運動に関する発達障害も注目されるようになってきています。
例えば、ハサミ・定規・コンパスなどの物の使用がうまくできない、走り方がぎこちない、自転車にうまく乗れない、ボールをうまく投げたりキャッチできないなどがあります。
こうした不器用さがあると、体育など運動面に関することの困難さから登校しぶりに繋がるということは決してないとは言い切れないことだと思います。
以上、【登校しぶりはなぜ生じるのか?】発達障害児・者との関わりから考えるについて見てきました。
今回は発達障害に関連する事項を取り上げていきながら、登校しぶりの原因について著者の見解をお伝えしてきました。
もちろん、今回見てきたもの以外にも登校しぶりの原因は多くあると思います。
大切なことは、子どもが見せる登校しぶりのSOSの要因をしっかりと考え対応していくことだと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も学校の情報を集めていきながら、学校と連携を行い、著者が勤める放課後等デイサービスでできる支援を考えていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。