著者は長年、発達障害など発達に躓きを抱えている子どもたちへの療育をしてきています。
その中で、行動の〝乱暴″さが目立つ子どもが時折見られます。
例えば、物の扱いが乱暴、他児や大人への関わり方が乱暴、など物・人を対象に様々な乱暴さが見られます。
それでは、なぜ、こうした乱暴さが見られるのでしょうか?
そして、こうした子どもに対してどのような対応方法が効果的なのでしょう?
そこで、今回は、発達障害児支援で必要な乱暴な子への理解と対応について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「加藤博之(2020)親も教師も悩み解決! こんなときどうする?発達が気になる子への指導・支援Q&A100.明治図書.」です。
なぜ、乱暴な行動をするのか?
まずは、そもそも、なぜ乱暴な行動を取るのかについて見ていきます(以下、著書引用)。
乱暴にかかわるということは、運動のコントロールに課題があると言えます。力加減をうまく調整することが難しいわけです。
運動面と情緒面のコントロール力はかなりの部分で結びついていることがうかがわれます。
一見すると、乱暴な行動は気持ちが要因となっていると感じる人もいるでしょう。
例えば、イライラした気持ちをうまく発散できずに〝乱暴″に振る舞ってしまうなどです。
もちろん、こうした一時的な気持ちの問題によって〝乱暴″な行動が見られることもあります。
一方で、著書の内容を踏まえると、〝乱暴な行動″の背景(継続して見られる行動)には、〝運動のコントロールに問題″があると記載されています。
つまり、運動のコントロールがうまくいかず、力加減ができないことが要因となっていること、さらに、運動のコントロールがうまくいかないと些細なことでイライラするなど〝情緒″面にもまた影響すると考えられています。
著者の療育現場にも〝乱暴″な子はおります。
もちろん、根は良い子ですので、性格が悪いというわけではありませんが、物の扱い方(物を投げたり、強く叩く、扉を強く閉めるなど)に関して不器用さが見られます。
そして、こうした行動が多く見られる子どもは、、確かに、〝運動のコントロール″に課題を抱えているケースが多いことも実感としてあります。
それでは、次に、〝乱暴な子″への対応について見ていきます。
乱暴な子への対応について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
運動の調整力を身につけるためには、まず自分なりの発散方法を獲得することが大事です。
著書の内容から、〝乱暴な子″への対応として、〝運動のコントロール力″を身につけることが大切になります。
その一つの方法に自分なりの〝発散方法″の獲得があります。
例えば、大声を出す、全力で動いて遊ぶ、など〝動″を意識した活動を設けていくなどです。
もちろん、発散し続けてテンションが上がり過ぎることを避けるために、発散後はクールダウンをはさむといった〝静″を意識した活動を取り入れるなど、緩急をつける工夫が必要です。
〝発散方法″の他に、全身を使った活動をする、細かい手の動きを使った活動をする、など粗大運動・微細運動を鍛える活動を取り入れていくこともまた、長い目で見ると重要です。
例えば、ボール遊び、感触遊び、お絵描き、工作、模倣遊び、リズムや楽器遊びなどがあります。
著者は療育現場で〝乱暴な子″に対して、自分なりの〝発散方法″として、全力で体を使って遊ぶ、サンドバックに変わる物を用意して叩く、壊してもいい物を用意して与える、外遊びなど環境を変える、など様々な方法を取ることがあります。
子どもたちは、自分の思いをうまく外に発散することで、次第に気持ちを落ち着ける様子が見られます。
また、例で上げたような、粗大運動・微細運動の活動を取り入れていくことで、長期の目で見ると身体の調整力が向上し、それに伴い、乱暴な行動が減ったと感じるケースも多くあったと思います。
以上、【発達障害児支援で必要な乱暴な子への理解と対応】療育経験を通して考えるについて見てきました。
乱暴な行動には様々な背景があります。
それは、気持ちの問題であったり、今回見てきた運動のコントロール力の問題などが影響している場合があります。
そのため、一人ひとりの乱暴さの背景を理解した関わりがとても大切だと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で関わる子どもたちに時折見られる乱暴さについて、引き続き理解と対応方法を学び実践していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事:「【発達障害児の〝他害″行動の意味とは何か?】療育経験を通して考える」
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加藤博之(2020)親も教師も悩み解決! こんなときどうする?発達が気になる子への指導・支援Q&A100.明治図書.