発達障害児の中には、〝二次障害″が発症しているケースもあります。
〝二次障害″には、例えば、他害や暴言とった外に現れるものもあれば、不安症など内に現れるものもあります。
二次障害が発症していると、そもそも本来もっている発達障害といった特性への配慮に加えて、二次障害への対応が急務になってきます。
それでは、二次障害の悪化を予防するためにはどのようなことに配慮する必要があるのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児の二次障害について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、症状の悪化を予防するために大切なことについて理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「小嶋悠紀(2022)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」②.教育技術研究所.」です。
二次障害の悪化を予防するために大切なこと
著書には、以下の4つの視点が記載されています(以下、著書引用)。
「二度と傷つけない対応」をすることが先決である。
「問題行動の除去が最優先」
「学校にも安心できる場所がある」と実感させることが最優先である。
二次障害がある子供には、「この大人は本当に自分を傷つけない大人かどうかをテストする期間→リミットテスティング」がある。
著書の内容には、二次障害の悪化を予防するために大切なこととして、①「二度と傷つけない対応」、②「問題行動の除去を最優先する」、③「安心できる環境を整える」、④「リミットテスティングを理解する」が記載されています。
①「二度と傷つけない対応」
「二度と傷つけない対応」は、傷つき体験のある子どもたちと接するときの心構えとして非常に重要です。
二次障害のある子どもたちは、反発や挑発、他害行動も多く見られるため、どうしても冷静かつ穏やかに対応することが難しくなります。
著者も頭では分かっていても、対応が難航したり、対応後に多くの疲労感が生じるなど難しさを感じます。
しかし、ここで子どもたちが過去に傷ついてきたという背景を抑えずに関わってしまうと支援の効果を得ることは難しくなると実感しています。
そのため、、二次障害の背景を抑え、一人で抱え込まずにチームで対応することを前提として、〝二度と傷つけない対応″を心がける必要があると思っています。
②「問題行動の除去を最優先する」
「問題行動の除去を最優先する」こともまた非常に重要な関わりです。
問題行動は子どもたちがやりたくて行っているものではなく、やむにやまれぬ行動だという理解が重要です。
例えば、他害や暴言といった問題行動についても背景要因を抑えていきながら、環境調整するなど、できるだけ問題行動が発生しない状況を作っていくことが必要です。
著者も未然に防げる問題行動は環境調整するように心がけています。
その結果として、問題行動が起きる頻度を少しずつでも減らしていければ、二次障害の悪化を防ぐことに繋がると実感しています。
③「安心できる環境を整える」
「安心できる環境を整える」とは、子どもたちの安全・安心を保証できる環境作りであり、これは著書にあるように学校内で作るなど、二次障害が発症している原因となる環境以外での環境整備が大切だということになります。
そして、その中で、子どもたちの気持ちにしっかりと寄り添うことのできる大人の存在が重要です。
著者も愛着関係は一人の人との関係からはじまるということ、そして、その関係とは量ではなく質であるといった愛着理論を大いに活用しています。
④「リミットテスティングを理解する」
「リミットテスティングを理解する」とは、大人からみるととても厄介な時期です。
これまでやってきた関わり方は間違っていたと思い悩むこともあります。
しかし、〝この大人は本当に自分を傷つけない大人かどうかをテストする期間→リミットテスティング″の観点からこうした行為は自然に見られるということがわかります。
著者は子どもとの関わりの中で、うまく関係性が築けてきたと思い、愛着関係が少しずつ修復してきたと感じた矢先、再び、反抗や挑発をしてくるようになった子どもとの関わりが過去に少なからずあります。
当時は、自分の取り組みがまずかったのではないかと落胆することもありました。
当時の著者がこの〝リミットテスティング″についての知識があればもう少しうまく関わることができていたように思います。
以上、【発達障害児の二次障害について】症状の悪化を予防するために大切なことにつて見てきました。
二次障害への予防や支援は非常に現場では必須事項ですが、対応には多くの精神的エネルギーやマンパワーを要します。
一方で、〝いま、ここで″食い止めなければ悪化し続けていきます。
そのため、〝いま、ここで″食い止めるという意識がとても大切です。
そして、そのためには、多くの支援者がチームとなって支援方針を定めて対応することが重要です。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も二次障害への理解を深めていきながら、症状の悪化を防ぐための取り組みを実施していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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参考となる書籍の紹介は以下です。
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