発達障害児には様々な背景がある中で、時に自分の感情を抑えきれずに〝パニック″行動が生じることが少なからず見られます。
著者も療育現場で〝パニック″への対応に迫られることがありますが、対応していく中で、〝パニック″への事前の予防と直後の対応はとても大切だと感じています。
さらに、〝パニック″が再度起こらないようしていく対応もまた大切だと考えます。
それでは、〝パニック″が再び起こることを防ぐための対応としてどのような予防策があるのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児の〝パニック″への対応について、再発を防ぐための〝予防法″について理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「小嶋悠紀(2023)発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル.講談社.」です。
〝パニック″への対応:再発を防ぐための〝予防法″
著書には、〝パニック″後に再発を防ぐための方法として以下の手順で子どもと一緒に考えていく必要があると記載されています(以下、著書引用)。
①子どもに状況を思い出してもらう
②パニックになっていく過程を、順番をつけて書き出す
③書き出したなかで、いちばん頭にきたところを選ばせる
④どのように行動すればパニックが防げたのかを一緒に考える
⑤落ち着いて行動を振り返れたことをほめる
著書には、以上の5つのプロセスを通して行う〝パニック″に対する〝予防法″が記載されています。
そして、5つのプロセスを子どもと振り返る中で一番大切なことは、⑤の〝落ち着いて行動を振り返れたことをほめる″ことであると書かれています。
子どもにとって嫌な出来事を振り返ることはとても大変な作業です。
そのため、最後に振り返ることができたことを褒め、同時に、次からはできるという励ましもまた大切な関わりになります。
著者の経験談
著者がこれまで見てきた子どもたちの中には、〝パニック″を起こす子どもが少なからずいました。
その中で、今回は、小学校高学年(当時)のAちゃんを例に〝パニック″への〝予防法″について見ていきます。
Aちゃんは、聴覚過敏があり様々な音に敏感なため他児のうるさい声などでストレスをため込むことがよく見られていました。
また、先の予定が本人の中で理解できないと情緒が不安定になることも多くありました。
そのため、その日の状態にもよりますが、よく〝パニック″行動を起こしていました。
著者はAちゃんがある程度言葉で考える力が育ってきたタイミングで、〝パニック″後の落ち着いた状態の時に、紙に〝何が嫌だったのか?″そして、〝どうすればよいか?・どうして欲しいか?″を一緒に考えるようにしていきました。
その結果、〝何が嫌だったのか?″には、○○君の声が嫌だった、○○ちゃんが遊びの邪魔をしてきて嫌だった、など著者と一緒に〝パニック″になった要因を考えることができるようになっていきました。
そして、〝どうすればよいか?・どうして欲しいか?″には、静かに過ごせる部屋が欲しい、大人が傍にいて欲しい、など〝パニック″を予防する案をAちゃん自身の口から語れるようになっていきました(もちろん、著者の提案がベースです)。
こうしたやり取りを著者と繰り返していく中で、〝パニック″の要因を特定できるようになり、そして、その〝予防策″についても考えていけるようになりました。
そして、振り返れたことを褒めることも著者は行っていました。
その結果、Aちゃんが〝パニック″になる頻度は少しずつ減っていったという実感がありました。
こうして振り返ってみると、今回参照した資料と非常に近い関わり方を著者もしていたのだと思います。
以上、【発達障害児の〝パニック″への対応について】再発を防ぐための〝予防法″について考えるについて見てきました。
今回取り上げた〝予防法″は、もちろんある程度子どもとの間に信頼関係がないと難しい作業であると思います。
そのため、日々の関わりの中で、子どもが〝この人のことは信頼できる″〝この人は自分のことを理解しようとしてくれている″〝この人に相談するとうまくいきそうだ″とった実感を持ってもらえるような関わり方を試行錯誤の中で行っていくことが大切だと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も子どもたちが見せるパニックへの対応の質を高めていけるように、現場での実践に加え知識からの学びも大切にしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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小嶋悠紀(2023)発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル.講談社.