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【発達に躓きのある子どもとは何か?】発達障害と定型発達の違いを通して考える

投稿日:2023年11月12日 更新日:

発達に躓きがある″、〝発達に遅れがある″子どもたちがいます。

こうした子どもたちに抱く印象として、何となく〝この子は普通の発達とは違うのではないか?″〝普通の発達より遅れているのではないか?″といった印象です。

この中には、ASD、ADHD、ID、LDなどの発達障害も該当しています。

 

それでは、発達障害も含め、発達に躓きのある子どもとは一体どのような特徴があるのでしょうか?

そして、発達に躓きのある子どもの特徴を踏まえた際に、発達障害と定型発達には一体どのような違いがあるのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達に躓きのある子どもとは何か、そして、発達障害と定型発達との違いとは何かについて理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「木村順(2006)子育てと健康シリーズ㉕:育てにくい子にはわけがある:感覚統合が教えてくれたもの.大月書店.」です。

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発達に躓きのある子どもとは何か?

以下、著書を引用しながら見ていきます。

発達につまずきのある子どもたちは、ごく普通の環境だけでは、「未学習」と「誤学習」を、年齢とともに積み重ねて、増大させていく可能性を秘めているのです。逆に「未学習」と「誤学習」がない子どもたちのことを「健常児」という名で呼んでいる、といってもよいでしょう。

 

著書の内容から、〝健常児″つまり、〝定型発達児″において、「未学習」と「誤学習」がない子どもたちだと言えます。

一方で、〝発達に躓きのある子どもたち″は、通常の環境下において、「未学習」と「誤学習」を増大させる可能性がある子どもたちだと言えます。

 

「未学習」とは、「自己挑戦力」の弱さ、つまり、普通の環境だけでは、自らチャレンジする力が弱く、経験の積み上げが進まない、ことを言います。

「誤学習」とは、「自己修正能力の弱さ」、つまり、普通の環境だけでは、なかなか自分から学び直していく力が弱く、修正がききにくい、ことを言います。

 

つまり、〝発達に躓きのある子どもたち″は、周囲の理解や配慮を得られる環境下において、「未学習」と「誤学習」が増大しないような支援を受ける必要のある子どもたちだと言えます。

 

 

関連記事:「療育で大切な視点-発達的視点について-

 

 

発達障害と定型発達の違いとは何か?

冒頭で記載した通り、〝発達に躓きのある子どもたち″の中には、〝発達障害″の子どもたちもおります。

発達障害についての詳細は以下の関連記事を見て頂ければと思います。

 

ここでは、簡単に〝発達障害″の特徴について定型発達との違いから見ていきます。

 

発達障害″には、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、ID(知的能力症)などがあります。

ASDやADHDは定型発達とは異なり、発達の〝質″を特徴としています。

つまり、発達凸凹などとも言われるように、発達に偏りがあり、そして、社会適応上に問題のある人たちのことを指します。

一方で、IDは定型発達とは異なり、発達の〝速度″を特徴としてします。

つまり、発達の全般的な遅れがあり、そして、社会適応上に問題のある人たちのことを指します。

 

〝発達障害″とは、発達の〝質″と〝速度″の特徴が影響して、生活上に困り感が持続的に生じているいる人たちだと言えます。

また、〝発達障害″の子どもたちは、理解や配慮を得られない環境が影響して、「未学習」と「誤学習」を増大させてしまっている人たちだとも言えます。

そのため、本人とその保護者を中心に早期支援に繋がることが必要であり、そして、長期的な視座を見据えての支援が非常に大切になってくると言えます。

 

 

関連記事:「発達障害とは何か?知的障害との違いは何か?

関連記事:「そもそも発達とは何か?発達障害とは何か?

 

 


以上、【発達に躓きのある子どもとは何か?】発達障害と定型発達の違いを通して考えるについて見てきました。

発達に躓きのある子どもや発達障害児といってもその状態像や置かれている環境は多様です。

大切なことは、できるだけ早期から「未学習」と「誤学習」を増大させない支援や配慮を受ける必要があるということです。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も自分が関わる子どもたちに今できる実践を行いながら、長期的な視座を見据えた支援を心がけていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 


参考となる書籍の紹介は以下です。

関連記事:「発達障害に関するおすすめ本5選【初級~中級編】

関連記事:「発達障害の子育てに関するおすすめ本6選【初級~中級編】

 

 

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