著者は長年、療育(発達支援)現場で、発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの支援をしています。
現場での支援の継続により、成果が出ていると実感することがある一方で、成果を感じにくいなど行き詰まりを感じることもあります。
それでは、療育で行き詰まりを感じた時、成果を感じにくい時にはどのような改善方法があるのでしょうか?
そこで、今回は、療育で成果を感じにくい時の改善方法について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、〝抜け感″をキーワードに理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「小嶋悠紀(2022)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」①.教育技術研究所.」です。
〝抜け感″を持った関わり方について
以下、書著を引用しながら見ていきます
ここで重要なのは、「抜け感」である。
特別支援教育は、成果がすぐには出にくい。
「抜け感」が出てくると、対応に余裕が生まれる。心に余裕があると、子供の姿からより多くの情報をアセスメントできるようになる。発達障害の子供たちは、おおらかで温かい大人の支援でこそ、様々なスキルを獲得していく。
著書は特別支援教育を対象として書かれたものでありますが、療育現場にもこの視点は大いに活用できると感じています。
つまり、〝抜け感″をもって関わることで、関わる大人の気持ちに余裕が生まれ、子どもたちに安心感を与えることからより良い支援に繋がっていくというわけです。
教育や療育現場には、とてもまじめな先生方もいます。
もちろん、まじめなことは良いことでもありますが、時に、〝何としても成果をださねば!″〝常に全力で手を抜かず対応することが良い!″などと、力が入り続けてしまうことで、悪い結果を引き起こすこともあります。
このような時に、〝抜け感″をもって関わることで支援がうまく進むことがあります。
それでは、以下に、著者の経験談から〝抜け感″の重要性について見ていきます。
著者の経験談
著者もどちらかというとまじめな性格です(もちろん、自己評価であり、見る人によって違うかと思いますが・・・)。
そのため、療育で成果を出すために力み過ぎてしまうことがあります。
このような状態になると、子どもとの関係性が悪化してしまうことがあります。
例えば、最初に決めた関わり方を貫き、最初に決めたルールを頑なに促す対応をするなど、柔軟性に欠いた対応をしてしまうことで、子どもとの関係がギクシャクしてしまうなどです。
もちろん、全てが悪いわけではありませんが、大切なことは子どもたちの気持ちの状態や何に興味や注意を向けているのかに気づける力です。
気づける力とはまさに著書の引用にもあるように、子どもたちをアセスメントする力とも関連付きます。
そして、気づける力は〝抜け感″がある時の方が高まるというのも著者の実感としてあります。
また、著者自身の気持ちが開放されている時の方が、子どもたちと様々な思いを共有・共感しやすいといったこともあります。
大人が気持ちを開放して、一定の枠や制限から外れている時の方が、子どもたちと本気になって楽しんで遊べている自分を感じることができます。
こうした状態は子どもにも伝搬し、子どもたちもまた気持ちを開放し安心感と楽しさをもって著者と関わる姿が増えてくるように思います。
これぞまさに〝抜け感″だと思います。
そして、〝抜け感″をもって関わることで、これまで支援の成果に行き詰まりを感じていた状態から脱出できたという経験が何度もあります。
もちろん、最低限のルールや特性の応じた配慮などは必要ですが、支援がうまく進まない、支援の成果を感じにくい時には、張り詰めた自分の気持ちを少し緩めた方がいいと思います。
子どもたちは、張り詰めた空気を漂わせている大人、ルールや制限を厳しく伝えてくる大人よりも、どこか力の抜けている心にゆとりのある大人を好む傾向があるということは現場でも感じます。
そんな人には自然と子どもたちが集まってきます。
著者自身も時々力み過ぎてしまうことがあるため、時々、自分の気持ちの状態を見直すことも大切だと改めて感じます。
以上、【療育の成果を感じにくい時の改善方法】〝抜け感″をもった関わり方について見てきました。
人は〝脱抑制″した時の方が能力を発揮できると言われています。
もちろん、その前提には、日々の実践と振り返りの積み重ねが必要です。
一方で、同じ行動パターンでは物事がうまく進まないときには、気持ちに余裕を持つといった〝抜け感″に意識を向けて見るのも改善方法のひとつであると思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場でより良い支援を積み重ねていけるように自分の関わり方を時折見直していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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参考となる書籍の紹介は以下です。
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小嶋悠紀(2022)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」①.教育技術研究所.