著者は、最近の子どもたちは外遊びをしなくなっていると感じています。
外遊びを通して、子どもたちは、自分の感覚(五感)や身体機能を発達させたり、地域の中で様々な子どもや大人との交流をはかるなど社会性の向上にも貢献するといった利点があります。
外遊びの減少の要因としてまず筆頭に上がるのが〝ゲーム″だと思います。
それでは、外遊びの減少とゲームの使用にはどのような関連性があるのでしょうか?
そこで、今回は、外遊びの減少とゲームとの関連について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「ピーター・グレイ(著)吉田新一朗(訳)(2018)遊びが学びに欠かせないわけ 自立した学び手を育てる.築地書館.」です。
外遊びの減少とゲームとの関連について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
調査によれば、全体的に見てビデオゲームをする者はしない者に比べて、外で遊ぶ時間が少ないということはありません。しかし、確実にテレビを見る時間は少ないという結果が出ていました。
自分の部屋にコンピューターかテレビのある子どもは、両方とも自分の部屋にもっていない子どもに比べて、少ない時間ではなく、より多くの時間を外で遊んでいるという結果が出ました。
著書の内容から、ゲームをする子どもとしない子どもの間には、外遊びの時間に顕著な差がないということがわかります。
つまり、ゲームをする子どもも外遊びを行うということであるため、ゲームの有無そのものが直接的に外遊びの減少に繋がっていない可能性があると言えます。
さらに、自室にコンピューターやテレビがある子はそうでない子どもと比べ、多くの時間を外遊びをして過ごしているといった結果も出ています。
この調子結果からも、ゲームやコンピューター、そして、テレビなどの電子機器が外遊びの減少の直接的な要因とは言えないようです。
著者の経験談
著者が小学校の頃には、ゲームを中心に生活していたと言っても過言ではないほどゲーム好きでした。
一方で、一人でゲームを長時間していたというよりも、友人たちやきょうだいと一緒にやっていた時間も多くありました。
そして、ある程度ゲームをやるとあとは友人と外遊びに行くという流れがルーティンでした。
トータル時間を見ても、おそらく、ゲームよりも外遊びの方が多かったように思います。
そのため、ゲームが中心と言っても、興味の中心であることが多く(特に新しいソフトが出た時など)、友人と興味を共有するツールとしてやっていた部分が強かったのかもしれません(もちろん、それに加え新規性もあります)。
現在、著者が勤める放課後等デイサービスで関わる小学生児童もまた、ゲーム好きな子どもたちが多くいます。
よくゲームの話が出てきたり、最新のゲームを買ったときには、そこに大部分の関心を寄せいている子もいます。
一方で、子どもたちは好んで外遊びをする様子は変わらずに見れています。
公園で自転車やゴーカートに乗ったり、遊具で楽しんだり、他児と追いかけっこやボール遊びをしたり、河原で石投げをしたりなど様々な外遊びを楽しんでいます。
こうした子どもたちの様子を見ていて著者が感じることは、外遊びを提案・提供すれば多くの子どもたちは外遊びを何らかの方法で楽しむという実感です。
それは、ゲームなど一人遊びにハマっている子も、長時間行うと必ず飽きが出てきます。
要するにバランスの問題であり、多くの子どもたちはゲームも外遊びも両方好きな子が多くバランスを取って行っている感じがします。
そのため、著者は積極的に外遊びの提案をするようにしています。
提案を継続することで、子どもたちの中には選択肢が自然と出てきます。
選択肢があることで人は自分の活動の幅を広げていくことができるのだと思います。
そして、外遊びで楽しかった経験を積み重ねていけるような関わりもまた大切だと感じています。
以上、【外遊びの減少とゲームとの関連について】療育経験を通して考えるについて見てきました。
著書を読んで感じたことは、外遊びの減少の直接的な要因はゲームではないということです。
もちろん、間接的な要因等はあるかと思いますが、ゲームにもゲームの良さがあるという認識、そして、外遊びは時代を経ても大人がその環境を提案し整えることで変わらず人気のある遊びであると思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も子どもたちが自分の興味のあることに没頭できるように、様々な遊びを提案していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事:「【外遊びの減少の理由とは何か?】2つの理由に加えゲームとの関連性から考える」
ピーター・グレイ(著)吉田新一朗(訳)(2018)遊びが学びに欠かせないわけ 自立した学び手を育てる.築地書館.