子どもは、外遊びを通して、自己の感覚器官や身体機能を高め、自然環境の中で自己コントロール力や他者との関わりを通して社会性を発達させていきます。一方で、最近は子どもたちの外遊びの減少が見られています。
それでは、現代社会においてなぜ外遊びの減少が見られるようになったのでしょうか?
そこで、今回は、外遊びの減少の理由について、親の不安・社会の変化・ゲームとの関係から解説していきます。
※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。
今回参照する資料は「ピーター・グレイ(著)吉田新一朗(訳)(2018)遊びが学びに欠かせないわけ 自立した学び手を育てる.築地書館.」です。
【外遊びはなぜ減ったのか?】親の不安・社会の変化について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
以上を総合すると、子どもたちの外での遊びの減少は、親の不安が増大したこと、および他の社会的な変化(中略)が主な理由であると言えそうです。
著書の内容から、子どもの外遊びの減少の理由には、①親の不安の増大、②他の社会的な変化、があると考えらえています。
①親の不安の増大とは、ニュースなどで子どもに生じた悲惨な出来事の報道を見聞きして我が子にも起こりうるのではないかとの不安の高まりがあります。
また、外遊びそのものの危険性を危惧する方も多くいます。例えば、自転車や車といった道路でのリスク、他児とのトラブル、犯罪者や誘拐犯への危機感、ナイフや火などの危険物、少し危ない遊具、など様々な要因が外遊びにはあります。
こうしたニュースや外遊びに対する危険性などを危惧することによる親の不安が高まっていることが外遊びの減少の理由の一つだと考えられます。
②他の社会的な変化とは、様々な内容があるかと思いますが、地域社会でのネットワークの減少、地域で子どもたちを育てる文化の減少が考えられます。
昔は、近所の子どもたちが外で遊んでいると、地域に住んでいる大人がそれとなく気にかける文化があったかと思います。
地域の人たちの多くは顔見知りが多かったため、地域のネットワークも充実していた点も多かったと思います。
こうした地域の安全性が保障されていた部分が多かったことで、子どもたちが安心して他者との交流を持つことができたと思います。
しかし、地域のネットワークや文化が衰退することで、安全性が減少し、そして、外で遊ぶ子どもが減ってしまったことは、以前よりも遊びの魅力の減少を意味するものだと考えられます。
以上の、社会的な変化もまた外遊びの減少に繋がっていると考えられています。
【外遊びはなぜ減ったのか?】ゲームとの関係について
外遊びの減少の理由には、〝ゲーム″による影響もまた理由の一つとして考えられます。
それでは次に、外遊びの減少とゲームとの関連性についても見ていきたいと思います(以下、著書引用)。
ビデオゲームをする時間が増えたのは、2つの理由によります。
1つは、ゲームは本当におもしろいですし、それらを作り出すためのテクノロジーとアイディアが進化するので、常にさらにおもしろくなっているからです。
2つ目は、現実の世界で子どもたちは大人によってより管理され、よりモニターされるようになっているので、バーチャルな世界は自分たちが自由でいられるスペースであると子どもたちが考えるようになっていることです。
著書の内容から、ゲーム使用の時間が増えた理由として、1.ゲームそのものが面白さを増している(テクノロジーとアイディアの進化)、2.バーチャルな世界を通して子どもたちは自由なスペースを獲得しているといったことが考えられています。
ゲームの進化はテクノロジーの進化の指標とも言えます。実際に次々と新しい世界がゲームを通して体験できる感覚は子どもだけではなく、大人たちも魅了するほど力があります。
それは、新しい技術や新奇なアイディアに裏打ちされた世界であるため、人を引き付ける影響度が強いことも当然ではあると思います。
そして、現実世界から切り離されたバーチャルな世界は、バーチャルとは言え、自由な世界が広がっています。
さらに、最近は、映像技術なども発達していますので、バーチャルも現実に近づいている部分も強くなっています。子どもにとって、自由な時間・空間はとても大切な時間です。
バーチャルなゲーム世界を通してこうした時間を体感することに喜びを感じることがゲームの魅力でもあります。
そのため、ゲーム時間の使用の増加は、外遊びの減少に直接的な影響はないにしても、以上述べた2つの理由からゲームといった室内遊びの時間が伸び、それによって外遊びの時間も減少している可能性があることが考えられます。
以上、【外遊びはなぜ減ったのか?】親の不安・社会の変化・ゲームとの関係を考えるについて見てきました。
外遊びの減少の主な理由は、親の不安の増加と他の社会的な変化があります。さらに、直接的ではないにしてもゲームの使用が増加したことも影響としてはあるかと思います。
外遊びの減少の背景を理解していくことで、今後どのような対策を講じていくべきかのヒントに繋がると著者は考えます。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も外遊びの大切さや遊びの減少の背景を深く理解していきながら、療育現場で関わる子どもたちに外遊びの楽しさを体感してもらえるような関わりをしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
外遊びとゲームの関連についてこちらで紹介しています:関連記事:「【外遊びとゲームの関係】子どもの遊びの“バランス”を療育経験から考える」
外遊びとゲームの共存的視点に関してはこちらで紹介しています:関連記事:「【外遊びとゲームの関係】どちらも大切にする“共存的視点”を考える」。
遊びに関するお勧め書籍は以下の記事で紹介しています。
関連記事:「【臨床発達心理士が厳選】療育(発達支援)に役立つ遊びに関するおすすめ本:初級~中級者向け」
ピーター・グレイ(著)吉田新一朗(訳)(2018)遊びが学びに欠かせないわけ 自立した学び手を育てる.築地書館.


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