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【これからの〝社会性″の支援について】発達障害児・者支援の現場から考える

投稿日:2023年3月7日 更新日:

社会性″とは、様々な定義や表現があるかと思いますが、一つ定義を取り上げると、〝人とある対象を共有し、その共有体験を楽しむといった共同行為″だと言えます。

 

関連記事:「【〝社会性″とは何か?】療育で〝社会性″を育てるために大切なこと

 

著者は長年、発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育をしています。

療育現場には、発達障害のある成人のスタッフもいるため、子どもから大人まで発達特性がある人たちとの関わりが多くあります。

発達特性のある人たちは、コミュニケーションや〝社会性″などに困難さを抱えている人も多くいます。

そのため、〝社会性″を支援していく際に、どのような視点を大切にしていけばいいのかを考える機会があります。

 

それでは、発達障害児・者の〝社会性″を支援していく上でどのような視点が今後必要となるのでしょうか?

 

そこで、今回は、これからの〝社会性″の支援について、臨床発達心理士である著者の発達障害児・者支援の経験も交えながら考えを深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「長崎勤・森正樹・高橋千枝(編)(2013)シリーズ:発達支援のユニバーサルデザイン 第1巻 社会性発達支援のユニバーサルデザイン.金子書房.」です。

 

 

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これからの〝社会性″の支援について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

これからの新たな時代の、新たな社会性支援を、障害児者も含んだ異質な集団の中で、異なった他者との相互のコミュニケーションスタイルを調整し、新たな関係(New World)を構築すること、と考えたい。

 

著書の内容では、こららの〝社会性″の支援は、異なる人たちと新たな関係(New World)を構築していく必要があるとしています。

新たな関係とは、例えば、異質な集団といったマイノリティ側が、一般集団といったマジョリティ側に合わせるのではなく、お互いの持つ違いに対してコミュニケーションを通して調整していきながら(理解を深めていきながら)、新たな関係を構築していくという発想です。

こうした調整関係は、発達障害のある人たちにも同様に適応していく必要があります。

 

以下、引き続き著書を引用しながら見ていきます。

決して、自閉症者が一方的に健常者のコミュニケーションスタイルを学び、「健常者」になるのではなく、あるいは健常者が自閉症のコミュニケーションスタイルを学び自閉症者になるのでもなく、相互に学びつつ、新しいコミュニケーションスタイル・社会性(New World)を作り上げる、このように新たな時代の社会性を考えていきたい。

 

著書の内容から、自閉症者が一方的に健常者のコミュニケーションスタイルに合わせるのではなく、健常者もまた自閉症者のコミュニケーションスタイルも学びながら相互調整していくことが、これからの〝社会性″の支援においては大切だということです。

ここで大切なことは、〝どちらか一方に合わせる″というものではなく、〝お互いに学び合う″という関係の中で見えてくる、〝新しい関係(New World)″を考えていくということです。

 

 

著者の経験談

以上見てきた、〝新たな関係(New World)″とは、著者の発達障害児・者支援の現場を通しても磨いていくことができると実感しています。

発達特性のある人たちへの理解と配慮を通して、コミュニケーションスタイルの多様さを学ぶことができます。

つまり、自分にとっての当たり前が相手にとっては違うという理解の深さです。

こうした経験を重ねていくことで、○○さんとだったらどのようなコミュニケーションスタイルが必要か?○○さんとうまくやっていくにはどういった伝え方が必要か?など様々な発想が湧いてきます。

こうした発想こそまさに、〝新たな関係(New World)″を構築していくことだと思います。

以上を〝新たな関係(New World)″として考えたときに、相手からの返答もこちらのことを気遣ってくれる様子や理解しようとしてくれているものへと変わっていくことが増えていく実感があります。

こうしたことから、コミュニケーションは、双方向的な関わりができてこそ成立するものだと感じます。

特に、著者の中では、療育で同じ経験を共にしてきた(子どもも大人も含めて)ということが〝新たな関係(New World)″を作る上でとても大切な入口となっているように思います。

〝社会性″とは、〝人とある対象を共有し、その共有体験を楽しむといった共同行為″のことでした。

つまり、同じ活動を共にしていきながら、その活動を楽しむことで、お互いのことを少しずつ理解しようという姿勢を学んでいくことができるのだと思います。

 

 


以上、【これからの〝社会性″の支援について】発達障害児・者支援の現場から考えるについて見てきました。

本来、人は、多様であることが前提のはずです。

しかし、今の社会はマジョリティ側にとって理解しやすい、生活しやすいといった点が多いことも事実としてあります。

まずは、身近な異なる考えを持つ人と〝新たな関係(New World)″を築いていこうという姿勢がマイノリティ側の人たちにとっても過ごしやすい社会に繋がっていくのだと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も身近な現場から、これからの〝社会性″の支援で必要なことについて実践を中心に考えを深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

長崎勤・森正樹・高橋千枝(編)(2013)シリーズ:発達支援のユニバーサルデザイン 第1巻 社会性発達支援のユニバーサルデザイン.金子書房.

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