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【療育(発達支援)でうまくいかない関わり・対応5選】療育経験を通して考える

投稿日:2022年8月20日 更新日:

 

この記事では、長年療育現場に勤めている著者の経験から、療育(発達支援)でうまくいかない対応・関わりについてお伝えします。

厳選した5選をお伝えしていきます。

療育現場で関わるスタッフの方々にはぜひ参考にしていただけると幸いです。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

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【療育(発達支援)でうまくいかない関わり・対応5選】療育経験を通して考える

それではさっそく5選を列挙します。

 

①子どもたちの状態を把握していない

②肯定語より否定語が多い

③専門的知識が不足している

④チームで連携が取れていない

⑤長期を見据えた対応が行われていない

 

 


それではそれぞれ見ていきます。

 

①子どもたちの状態を把握していない

子どもたちの心理的な状態は日々変化しています。

例えば、学校などで何か嫌なことがあった、事業所で昨日気になることがあったなど、その日の活動の前の体験などが子どもの状態像に大きく影響します。

また、睡眠、食事など日頃の生活習慣などによっても変化がでてきます。

こうした生活習慣や活動前の環境の影響などを考慮せずに、対応・関わりをしてしまうと、子どもたちの側からは、自分の思いがうまく受け止められていないという認識になり、安全感・安心感が不足してしまいます。

日々の子どもの状態像(些細な変化も含め)をスタッフ間で共有していくことが、結果、子どもの安全感・安心感を築くことに繋がります。

 

②肯定語より否定語が多い

子どもたちの気になる行動にはどうしても注意してしまうことがあります。

重要なことは、注意というより、「○○した方がよい」という具体的な行動の有り方を伝えることにあります。

気になる行動を取る子どもたちの背景には様々な要因がありますが、叱責で終わってしまうと、長期的には自己否定感が強まり、大人への信頼の欠如にもなります。

短期的に気になる行動が減ったとしても、叱責する人の言うことしか聞かないなど般化されていないのでは意味がありません。

大切なことは、叱り方を意識しながら、できるだけ肯定語を活動の中で多用することです。

肯定語を多く活用するには、それだけ子どもたちの状態や変化をよく観察することに繋がります。

肯定語を多くかけられた子どもたちは、自他に強い信頼を抱き、情緒が安定していくということが多く見られます。

 

関連記事:「療育で重要なこと-自尊心・自己肯定感の視点から考える-

関連記事:「療育で大切な視点-子どもへの「叱り方」について-

関連記事:「療育の成果について-肯定的な言葉かけの重要さ-

 

③専門的知識が不足している

専門的な知識は必須です。

それは、子どもたち一人ひとりの多様な状態像の背景を分析する力になるからです。

例えば、ASDとADHDはよく重複すると言われています。

そうなると、どちらの知識も併せ持ち、子どもたちの状態像に応じて、その特性が強く出ていて、困り感に繋がっている所を分析する力に繋がります。

つまり、子どもたちの行動を解釈する力が高まります。

 

関連記事:「療育(発達支援)の専門性を磨くために必要なこと

 

知識が不足していると、他の考え方を許容するという余地が減ってしまうことにも繋がります。

また、特定の知識にのみ執着してしまうこともまた狭い考え方に繋がってしまいます。

関わるスタッフは日々の経験に重ねて知識を収集していくことも大切になります。

 

④チームで連携が取れていない

関わるスタッフが複数いるということは、様々な考え方やアイディアが出るなど強みにもなります。

一方で、チームの連携が取れていないと、それは必ず子どもたちに影響します。

例えば、チームの雰囲気が悪いと、その空気感は子どもたに少なからず伝搬します。

チームは特定の目標に向けて同じ方向に目を向けて進む必要があります。その中で様々な考え・アイディアがポジティブに活かされます。

同じ目標を持ちながら、良い空気感で日々前進しているチームの中にいる子どもたちは、安心感を持ちながら、関わるスタッフへの信頼も合わせて持つようになります。

 

⑤長期を見据えた対応が行われていない

長期的な支援は専門用語では「発達的視点」などということがあります。

 

関連記事:「臨床発達心理学とは?-療育経験からその視点の重要性を考える-

 

子どもたちの日々の状態像への対応も重要ですが、日々の関わりが長期的に子どもたちの何を育てることに繋がるのかという視点がとても専門家には大切です。

こうした将来を見据えた対応が行われないと、継続した取り組みの成果を評価することが難しくなります。

そのために必要なのが「個別支援計画」になります。

療育の成果は、長期のスパンでないと成果がでないことも多く、そうした事前・事後の評価とその過程にどのような取り組みをしてきたのかという対応・関わりを整理していくことが大切になります。

最後に上げた⑤は経験に加え知識も非常に要求されるため、とても難しいと思います。

 

 


以上、療育(発達支援)でうまくいかない関わり・対応5選を具体的に見てきました。

 

私自身もまだまだ未熟で、日々、現場での実践を通して学んでいる最中です。

上記のうまいかない関わり・対応を抑えることに至るまでは、失敗の連続でした。

つまり、少なからず上記のうまいかない関わり・対応をしてしまっていた時期もありました。

人は失敗があるからこそ学ぶのだと思います。

今回の内容が療育(発達支援)に関わるスタッフの方々に少しでも役に立てればとてもありがたいです。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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