子どもにとって重要な他者との間で愛着パターン(重要な他者との関わり方、関係性)が積み重ねられていくと、10代初め頃から、その人固有の愛着パターンが次第に明確になり、成人する頃には、〝愛着スタイル″として確立されていきます。
〝愛着スタイル″とは、遺伝的な気質と共に、パーソナリティの土台となる部分を作り、その人の生き方を気づかないところで支配しています。
〝愛着スタイル″には、4つの愛着スタイルがあると言われています。
それでは、4つの愛着スタイルとは一体どのような特徴があるのでしょうか?
そこで、今回は、パーソナリティの土台ともいえる愛着スタイルについて、4つの愛着スタイル(安定型、回避型、不安型、恐れ・不安型)からそれぞれの特徴についてお伝えしていこうと思います。
今回参照する資料は「岡田尊司(2011)愛着障害 子ども時代を引きずる人々.光文社新書.」になります。
4つの愛着スタイルについて
①安定型
まずは、安定型の愛着スタイルの特徴です。安定型の特徴は、対人関係における絆の安定性にあり、自分が愛している人が、自分をいつまでも愛し続けてくれることを、当然のように確信しています。
愛情を失ってしまうとか、嫌われてしまうなどと、思い悩むことがなく、自分が困った時や助けを求めているときには、それに必ず応えてくれると信じています。ですので、気軽に相談したり、助けを求めることができます。
また、安定型の特徴は、その率直さと前向きな姿勢にあります。人の反応を肯定的に捉え、自分を否定しているとか、蔑んでいるという誤解がなく、人がどう反応するかということに、左右されることが少ないです。
仕事と対人関係のバランスが良く、共に楽しみながら取り組み、ストレスを貯め込みにくいのも特徴です。
②回避型
回避型愛着スタイルの特徴は、距離を置いた対人関係を好みます。人から縛られずに、人に依存すること、人から依存されることもなく、自立自存の状態を最良とみなします。そして、他人に迷惑をかけないことが大事であると考えます。また、人と気持ちを共有することが少ないのも特徴です。
また、葛藤を避けようとするなど、人とぶつかり合ったりする状況が苦手で、人への積極的な関与を好まない一方、葛藤を抱えられないと、攻撃的な言動に出てしまいやすくもあります。
その他、回避型の特徴は、何に対してもどこか醒めており、感情的な反応の認知において鈍感な傾向があり、自己開示や自己表現にも苦手さをもっています。
③不安型
不安型の愛着スタイルの特徴は、様々な場面において、相手の顔色を窺い、少しでも相手の反応が悪かったりすると、嫌われているのではと不安になるなど、周囲への過剰な気づかいを特徴としています。また、相手の表情に対して敏感で、読み取るのは早いものの、不正確であることが多くあります。
不安型の人にとって一番の関心ごとは「人に受け入れられるかどうか」「人に嫌われていないかどうか」ということにあります。
また、自分自身に対して、取り柄のない、愛されない存在だと思いがちでありるため、身近な人に依存し、その人から自分が必要とされていることを保障してもらうことで、自分の気持ちと折り合いをつけようとします。
④恐れ・不安型
恐れ・不安型の愛着スタイルの特徴は、愛着回避(回避型)と愛着不安(不安型)両方の愛着スタイルが強いのを特徴としており、対人関係を避けて、引きこもろうとする人間嫌いの面と、人の反応に敏感で、見捨てられ不安が強い面の両方を抱えているため、対人関係はより錯綜し、不安定な状態になりやすいのが特徴としてあります。
恐れ・回避型の傷つきやすさや不安定さは、養育者との関係において深く傷ついた体験に由来していることが多くあります。
以上、4つの愛着スタイルについて見てきました。
説明してきた4つの愛着スタイルはそれぞれの特徴を顕著に示したものであるため、すべての人がこのどれかにしっかりと当てはまるものではないと思います。
人によっては、不安型の傾向が少しある、回避型の傾向が少しあるなど、個人差が見られるかと思います。
愛着スタイルは、自分がどのような対人関係のスタイルを持っているのかをメタ的に把握するのに役立つものです。
愛着・愛着障害に関するお勧め関連書籍の紹介
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岡田尊司(2011)愛着障害 子ども時代を引きずる人々.光文社新書.