発達支援の現場において、チームで支援をすることは難しい面がありながらも、同時に、大切な面など多くの利点もあります。
また、一人ではできないことや他者と喜びや苦難を共有できるという意味で非常に多くの学びもあります。
そうした中で、チームをけん引するリーダーの存在がとても重要です。
今回は、チームで支援するときのリーダーの役割について発達支援の現場から、私の失敗体験と成功体験についてお伝えしていこうと思います。
著者の体験談
私自身、初めて発達支援の現場(療育現場)でリーダーを任されたのは、幼児施設に入職して三年目になります。
クラスの子どもたちが10名に対して、支援者が4名というクラス編成でした。
私はリーダーに抜擢されたことへの期待と不安が入り混じった心境でしたが、どちらかというと、新しいことに挑戦できる楽しみの方が強くありました。
リーダーとしてのモデルはそれ以前の支援者の姿を見て学んではきましたが、実際になってみると何から手を付ければいいのかわからず、とにかく勢いに身を任せ、他の支援者への指示出しが多くなり、口調も以前より強くなっていきました。
それでも立場上仕方がないと思い(無理やり思いこませ)、そのままこうした状態を突き進みました。三か月程度経つと違和感が出てきました。それは、周囲の支援者がなんとなく自分に対して、冷たい、相談しなくなってきたと感じることが増えてきました。
私はリーダーという立場に縛られることで、他の支援者を気遣ったり、頼ったりということを忘れていたように思います。
目標に関してもどういった方向性を目指していけばいいのか、自分には何ができるのかなど正直迷走していました。
そこで、思いきって考え方と行動を変えていくことにしました。
私は自分の疑問や今後どうしていきたいのかを他の支援者に相談する機会を多く持つようにしました。また、指示出しも極力控え、一人ひとりの役割分担の明確化や何が問題でどう対応すればいいのかなど、みんなで意見を率直に出し合える環境づくりに徹しました。また、悩みや負担を分担する体制や、悩みを共有することも大切にしていきました。
目標に関しては、クラスの目標と個人の目標とを分けて考える方法を取りました。クラス目標はクラスでの話し合いで様々な支援者の視点をマネジメントしながら決定していく役割に徹し、どうしても考えが出ない時に限って私が設定するということにしました。個人の目標は発達の視点を学び現場に活用するという能力を磨くということを考えました。
上記のことを繰り返すことで、次第にクラスの支援者との結束が強くなり、楽しく活動できてきているという実感が出てきました。
他の支援者からも相談頻度が増し、やってみたいことなど伝えてもらえることも増えてきました。
目標に関してもクラスの支援者間で一緒に考えることができるようになり、クラスをみんなで作り上げているという感覚も出てきました。
こうした経験から言えることは、リーダーには様々なタイプや形があるということと、その中で大切な役割があるということです。こうしたことを試行錯誤の中で、探していく作業は後の自信に繋がります。
むしろ、失敗経験やうまくいかない過程を知っているということは、それを成功体験に変える大きなヒントに繋がる可能性があるということです。
私自身、大きな支えになっているのは、人を信頼し人に頼るということ、そして、より良い発達理解と支援に向けて人への探求を継続していくという好奇心です。
リーダーという存在は、負担や責任が大きいですが、その分、意思決定する力、人をまとめる力、新たな可能性を切り開く力など、多くの可能性に満ちています。
今後も、自分の好奇心を見失わずに、同じ志のある仲間と共に、より良い発達理解と発達支援を目指していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。