発達障害には、自閉症(自閉スペクトラム症:ASD)やADHD、学習障害など様々な症状があります。
そして、発達障害への支援には、構造化、認知行動療法、ソーシャルスキルトレーニング、ペアレントトレーニングなど様々な手法があります。
一方で、自閉症児には○○の方法、ADHDには○○の方法といったように、パターン化した対応には限界があります。
それは、同じ特性のある子どもでも状態像が大きく異なるからです。
中でも、子どもの〝性格″を踏まえた関わり方を行うことは、支援がうまく進むかどうかを左右する大切な要素です。
それでは、発達障害児支援の中で性格を理解することの必要性にはどのようなものがあるのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害と性格について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながらオーダーメイドの支援を目指すことの必要性について理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「小嶋悠紀(2022)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」①.教育技術研究所.」です。
発達障害と性格について
以下、著書を引用しながら見ていきます
「この子はどんな性格の発達障害なのか」を、支援する教師が理解していなければならない。
発達障害の特性と合わせて「性格の理解」をすることで、より「個」に沿った支援を展開できるはずである。
「性格の理解」というと当たり前のようであるが、特別支援教育が注目される今だからこそ、大切にしたい観点である。
著書の内容を踏まえると、発達障害児支援には、子どもたちの興味関心、苦手なもの・得意なもの、自己表現の仕方など〝性格の理解″が非常に重要であり、より個別の支援が今後必要になっていくことがわかります。
つまり、〝オーダーメイドの支援″です。
発達障害に関する支援と言えば、○○の方法といった形式立ったアプローチもまた大切な視点ではありますが、どのようなアプローチを使用するにせよ、〝性格の理解″は支援において必要不可欠な要素です。
子供たちにとって、大人が性格を理解した関わりをすることで、活動が楽しくなり、また、大人が苦手なことを把握していき環境調整をはかることで安心して過ごせるようになります。
このように個にそった〝オーダーメイドの支援″は、例えば、同じ自閉症の特性を持つ子どもに対しても、関わり方や配慮事項がより深く異なっていきます。
著者の経験談
著者の療育現場には、発達障害など発達に躓きのある子どもたちが多く通所してきています。
支援を進めていく上で、ASDやADHDなどの発達特性を踏まえた配慮に関する知識はとても大切ですが、併せて、〝性格の理解″も支援を進めていく上で必要不可欠であると感じています。
例えば、ASDのお子さん(仮名A君)を例に考えていきます。
A君はASDの特性ゆえに興味関心が限定しています。
一方で、車の知識は大人顔負けのものをもっています。
A君と信頼関係を発展させたいのであれば、A君の〝車ワールド″に入り込んでいくことがとても大切です。
A君は自分の興味関心を理解してくれる大人が大好きになり、興味関心を通して、様々な知識や楽しい気持ちを共有・共感していくことができるようになります。
つまり、〝性格の理解″をおさえた関わりを通して、信頼関係を構築したり、自他の様々な心情を学ぶことに繋がるのだと思います。
次に、ADHDのお子さん(仮名B君)を例に考えていきます。
B君はADHDの特性ゆえに衝動的に行動することが多くあります。
例えば、他児の使っているものを勝手に取りトラブルになるなどです(衝動性の高い子どもにはありがちです)。
一方で、B君は事前にルールを伝えることで守れる様子が見られます。
ルールもB君にとってわかりやすい伝え方、B君が守れるルールのレベルなどより個に沿った関わりを行うことでうまく支援が進むことがあります。
このようにB君が他児とうまく関わることができるようにB君のことを理解し関わってくれる大人に対しては信頼感が高まっていったことを実感しています。
以上、【発達障害と性格について】オーダーメイドの支援を目指すために必要なことについて見てきました。
発達障害の支援は今後ますます個に沿った〝オーダーメイドの支援″が求められるようになると著者も感じています。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も発達障害の知識に加え、性格の理解も大切にしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考となる書籍の紹介は以下です。
関連記事:「発達障害の支援に関するおすすめ本5選【初級~中級編】」
小嶋悠紀(2022)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」①.教育技術研究所.