発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

不登校 原因 発達障害

【不登校の原因について】発達障害と心の病気を通して考える

投稿日:2024年1月10日 更新日:

不登校児童の数は年々増加傾向にあることが分かっています。

不登校に至る要因には、様々なものがありますが、中でも、無気力や不安感などが大半を占めていると言われています。

 

関連記事:「【不登校の原因について】学校に行き渋る要因について考える

 

一方で、発達障害や心の病気もまた不登校に繋がる要因になると言われています。

それでは、発達障害や心の病気と不登校にはどのような関連性があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、不登校の原因について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、発達障害と心の病気を通して不登校についての理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「下島かほる(2019)健康ライブラリーイラスト版 登校しぶり・不登校の子に親ができること.講談社.」です。

 

 

スポンサーリンク

不登校と発達障害について

発達障害には、自閉スペクトラム症やADHD、学習障害や知的障害(軽度)、発達性協調運動障害などが含まれています。

それぞれが持つ〝発達特性″が不登校と関連する要因は以下の点が考えられます。

  1. 自閉スペクトラム症→社会性・コミュニケーションの困難さから、場の雰囲気がうまくくみ取れない、他者の気持ちの理解が難しい、暗黙のルールが難しいなどから対人関係で躓きやすい。
  2. ADHD→衝動性などに見られる自己コントロール力の弱さから、ルールや順番を守ることが難しく対人関係でトラブルになりやすい。
  3. 学習障害→読み、書き、計算の困難さから、学校の基礎学力の習得が困難になり、学校の勉強で躓きやすくなる。
  4. 知的障害(軽度)→知的な遅れが学習や対人関係、自己コントロール力の弱さなど様々な場面に影響を及ぼす可能性があるため、学校の勉強や対人関係で躓きやすくなる。
  5. 発達性協調運動障害→粗大運動・微細運動の困難さから、学校での道具の使用(鉛筆・消しゴム・コンパス・ハサミなど)の苦手さから勉強に支障が出たり、体育などスポーツでの困難さが生じる可能性があるため、学校の勉強や体育などで躓きやすくなる。

以上、見てきた内容はあくまでも一例です(著者の実感として強いものです)。

〝発達特性″には、特性への適切な理解と配慮をしていくことで生きやすくなるため、〝発達特性″への理解は非常に大切だと感じています。

 

 

不登校と心の病気について

心の病気には例えば、〝うつ病″〝双極性障害″〝強迫性障害″〝統合失調症″〝摂食障害″などがあります。

 

こうした心の病気には以下の留意点があります(以下、著書引用)。

不登校が長引く理由のひとつに、精神疾患の見落としがかかわっていることがあります。

 

医師がなんらかの病気と診断するような状態であれば、ただ家で休んでいるだけでは回復しにくく、さらに悪化していく危険性もあります。薬物療法を含め、適切な治療を始めることが必要です。

 

著書の内容から、心の病気には様々なものがありますが、その可能性が疑われる場合には、児童精神科を受診して適切な治療を受ける必要があると記載されています。

もちろん、ある程度の期間、自宅で休息することで回復するケースもありますが、長期化している場合には自宅療養でも回復しにくいケースもあるため、心の病気の専門家による治療も考慮していく必要があります。

 

その他、朝起きられない症状〝起立性調節障害″や保護者と離れることに強い不安感のある〝分離不安障害″なども不登校の要因として考えられています。

前者は、症状が強い場合には小児科への受診後者は少しずつ保護者と離れていけるような丁寧なサポートが必要であると著書には記載されています。

 

関連記事:「【不登校・登校しぶりへの対応方法】3つのポイントから考える

 

 


以上、【不登校の原因について】発達障害と心の病気を通して考えるについて見てきました。

発達障害や心の病気には適切な配慮や治療をしていかないと、不登校が長引く可能性があります。

つまり、家庭での休息だけでは症状が回復しない可能性があるということです。

そのため、該当の可能性があると考えられる場合には、対応を先送りせずに、専門家に相談する必要があると思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も不登校に繋がる様々な要因についての理解を深めていきながら、対応策についての学びも行っていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

下島かほる(2019)健康ライブラリーイラスト版 登校しぶり・不登校の子に親ができること.講談社.

スポンサーリンク

-不登校, 原因, 発達障害

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

発達支援(理論編):発達支援の現場で役立つ視点について

前回・前々回と療育施設の現場で役立つ視点についてお話してきました(参照「発達支援(理論編):療育施設で役立つ視点について①」、「発達支援(理論編):療育施設で役立つ視点について②」)。 療育施設には、 …

発達障害の3つのグループについて【療育経験を通して考える】

発達障害への社会的な認知・理解が高まってきています。 発達障害には、ASDやADHD、学習障害などが含まれています。 そうした中で、昔ながらの重度の自閉症や知的障害、そして、愛着障害なども発達障害及び …

発達の多様性を理解することの大切さについて-発達障害児・者との関わりを通して考える-

発達障害のある人たちと、療育(発達支援)の現場で関わっていると非常に個々によって育ちや成長が多様であると実感します。 日本の学校教育ではとかく、協調性など周囲に合わせることや、一般的な基準に沿った学び …

【二次障害が悪化するケース】発達障害の重複例を通して考える

〝二次障害″への予防と対応は、発達障害児支援の現場ではとても重要です。 発達障害には、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、SLD(限局性学習症)などがあります。 これらの発達障害 …

発達障害児にとって大切な〝サードプレイス″の価値について考える

発達障害のある子どもたちにとって過ごしの場がとても大切です。 過ごしの場には、家庭や学校が主にあるかと思いますが、それ以外の第三の場所としての〝サードプレイス″も大切だと考えられています。 &nbsp …