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【自閉症(ASD)への有効な治療とは何か?】早期教育・二次障害の予防の重要性

投稿日:2022年5月26日 更新日:

 

自閉症(自閉症スペクトラム障害:ASD)とは、対人・コミュニケーションの困難さと限定的興味と反復的(常同)行動を主な特徴としています。

 

ASDは治るの?治らないの?といった議論が以前からありますが、有効な治療法などはあるのでしょうか?

 

今回は、自閉症(ASD)への有効な治療とは何かについて、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、早期教育・二次障害の予防の重要性についてお伝えしていきます。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

今回、参照する資料、「本田秀夫(2013)子どもから大人への発達精神医学:自閉症スペクトラム・ADHD・知的障害の基礎と実践.金剛出版.」です。

 

 

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【自閉症(ASD)への有効な治療とは何か?】早期教育・二次障害の予防の重要性

以下に著書を引用します。

現在のところ根治的な治療法は見つけれられていない。教育的な手法によって具体的な社会生活スキルを獲得させることが最も有効とされている。これは幼児期のなるべく早い時期から開始するのが望ましいため、近年では早期発見と早期介入の意義が強調されている。

 

著書の内容から、ASDへの根源的な治療はまだ見つかっていないとされています。

治療というよりもむしろ教育的なアプローチから、社会生活に必要な具体的なスキルを学習すること、それも早期に対応することが良いと考えられています。

ASDの特性は、対人面やコミュニケーションの苦手さから、社会生活においてデメリットが強調されることが多くありますが、考え方によってはプラスとして働くものもあります。

例えば、興味関心の偏りから、ある特定の領域で強みとしてその能力を発揮したり、自分のペースで坦々と物事をこなすことが得意な方もおります。

そのため、苦手な社会生活スキルに対して、ある程度本人が困らない程度のスキルの学習が必要になってきます。

早期介入の大切さは、早く療育などを受ければ良いというわけではなく、周囲がその特性を理解することが重要な課題となります。

 


以下、引き続き著書を引用していきます。

幼児期から学童期にかけては、保護者に対する支援の比重がきわめて大きい。(略)本人に対しては、療育あるいは特別支援教育の保障が重要となる。

 

著書の内容から、、ASDの特性を本人及び周囲が理解していくことがとても大切であり、子どもの頃は、その比重が保護者によっているということになります。

その後の、青年期・成人期以降は自分で自分の特性を理解するといった自己理解が重要な課題になってきます。

つまり、○○は自分はできる・好き・得意だが、○○は自分はできない・嫌い・苦手など、特性を踏まえた自己評価が適切にできる必要があります。

そして、こうした自己理解・自己評価を周囲に伝える能力も合わせて必要になってきます。

さらに、著書の内容から、本人への支援として、療育や特別支援教育の保障の重要性を指摘しています。

療育とは、教育的な側面と治療的な側面を併せ持っていますが、日々の教育が発達においてともて重要であり、本人への特性を踏まえた合理的配慮も必要です。

著者は長年療育に携わっていますが、日々の生活を支えることや、興味関心を活かした関わり、少しずつ苦手なことをクリアしていく関わり、苦手なことに対して配慮された環境、自己有能感を育てる関わりなど、療育において大切な要素は様々あります。

また、療育経験を踏まえて見えてきた成果も実感しています。

 


ここで再び著書を引用します。

二次的にこれらの問題が生じてしまった場合には、対応が困難な場合が多く、ガイドラインに示せるような定式化された治療法がないのが現状である。可能な限り本人の自己肯定感の回復を促す(略)

 

著者の内容から、二次障害への予防がとても大切だということが言えます。二次障害への対応は困難であり、治療法も確立されていないからです。

著者も療育を通して、問題は起こる前に未然に防ぐといった予防の観点がとても大切だと実感しています。

その実感は、実際に二次障害の症状が出ている人との関わりから、その対応は非常に困難であり、時には迷走してしまうことが多いからです。

そのため、問題点を早期に見極め、二次障害へと繋がらないように対応することがとても重要だと思っています。

 


以上、ASDへの治療についてみてきました。

ASDへの効果のある治療法は現時点ではなく、療育や特別支援教育など、その子に合った学習内容や配慮された環境、および特性の理解などが大切だと言えます。

ASDへの研究は年々着実に進んでいます。今後、新しい治療法などが出てくるかもしれません。

大切なことは、ASDの特性の強みを理解すること、特性に合った環境を調整すること、苦手な面の最低限のスキルを身につけることなどがあります。

私自身、まだまだASDへの療育の力は未熟ですが、今後も日々の実践を大切に、実践を通して療育でできることを見つけていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

関連記事:「【発達障害の治療について】○○療法以上に重要な理解と共感を通して考える

関連記事:「【自閉症(ASD)は治るのか?】自閉症(ASD)の治療と支援について考える

 

本田秀夫(2013)子どもから大人への発達精神医学:自閉症スペクトラム・ADHD・知的障害の基礎と実践.金剛出版.

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